プロローグ
01
 古くからこの地域には、ポケモン同士で結成する探検隊や、彼らを育成するギルドという施設がありました。その一つにプクリンが親方を務めるギルドがありました。そして、多くのポケモンたちがこのギルドで修行をしていました。
 ある晴れた日の夕方のことでした。一匹のキモリが、このギルドに入門しようとやってきました。ところがどうしても決心がつかず、彼は近くの海岸まで項垂れながら去ってしまいます。砂浜を歩いていた彼は、一匹のリオルが倒れているのを見つけました。そのリオルは、目覚めるとさらにキモリを驚かせました。彼は今までニンゲンだったということ以外、何も覚えていなかったからです。
 その途中、ドガースとズバットがキモリの宝物を奪い、海岸の洞窟の最深部で二人は力を合わせて勝負に勝ち、無事に宝物を取り返します。 その影響で二人は瞬く間に意気投合して、その後ギルドに入門し探検隊を結成しました。この瞬間、後に世界を救った英雄として語り継がれることとなる探検隊「ウェーブ」が誕生したのです。
 ギルドでの厳しい修行の中で、二匹は様々なポケモンや場所に出会い、成長していきました。そんな彼らが直面した最大の難事が、時の歯車をめぐる冒険でした。

 時の歯車は世界に五つあり、時を司る役割をしています。そして、これが失われた地域では、時間が止まってしまいます。そのため、どんな大悪党でも時の歯車にだけは、けっして手を出してきませんでした。
 そんな時、ギルドでの生活に二匹が慣れた頃、事件は起こりました。きっかけは、盗賊・ジュプトルが一つの時の歯車を盗んだことでした。謎に包まれていたジュプトルの正体と目的は、時が経つにつれて明らかになっていきます。彼は未来から来たポケモンで、『星の停止』と呼ばれる時間の崩壊を目論んでいる、という話が彼を追う者たちの間で流れました。
 事件を受け二匹の修行するギルドでも、総出でジュプトルの捜索が行なわれました。そして苦労の末、彼らはジュプトルの逮捕に成功します。そのジュプトルを捕まえるために未来からやって来たヨノワールは、トレジャータウンで皆に別れを告げていきます。ところが、最後に呼んだリオルとキモリを突然鷲掴み、一緒に未来へ連れ去ってしまいます。
 拉致された二匹が目を覚ますと、そこはまさに『星の停止』が起こった未来世界でした。驚く二匹とジュプトルを、ヨノワールは処刑場まで連れて行きました。しかし、三匹は抵抗し、辛くも敵の手を逃れました。動揺を抑えられない二匹にジュプトルは、自分の本当の目的を話します。自分が過去へ渡ったのは、星の停止を食い止め、未来を変えることだった。そのために時の歯車を集め、『時限の塔』に納めるつもりだった、と。
 始めのうちは疑っていた二匹も、状況を飲み込むにつれてジュプトルを信用するようになります。そして彼らは、もう一度歴史を変えるために、過去へ戻ろうと決意しました。
そして、少し乙女チックなセレビィに頼んで、未来へ時渡りをしようと進む途中で、彼らはヨノワール達に追いつかれてしまいます。そして驚くべきことが告げられました。それはキモリのパートナー、リオルに関することでした。彼は元々未来のニンゲンでジュプトルの相棒であり、彼と共に過去へ渡ったというのです。
 三匹は非常に驚きました。中でも、ジュプトルの受けた衝撃はとても大きなものでした。しかし、彼らは何とかその場を切り抜け過去へ戻っていきます。そして、三匹は改めて星の停止を阻止するべく、時の歯車や幻の大地についての情報を集めていきました。

 ギルドの仲間達の協力もあって、三匹はラプラスに乗って幻の大地へ向かいます。幻の大地を抜けると古代の遺跡があり、そこには時限の塔へと誘う『虹の石舟』がありました。しかし、ここでもまた三匹はヨノワールとヤミラミ達に邪魔をされてしまいます。それでも三匹は死力を尽くしてヨノワールを撃ち破り、キモリは一足先に虹の石舟へと向かいました。虹の石舟の起動を待つリオルとジュプトルに、ヨノワールは恐るべきことを伝えます。

 「過去を変えたらお前たち未来のポケモンも消えてしまうのだぞ」

 この言葉に嘘偽りなどありませんでした。ジュプトルも、ニンゲンだった頃のリオルも、このことを覚悟して過去へ来たのですから。しかし、記憶を無くしてしまったリオルには覚悟の記憶もありません。それでも彼は決心しました。この世界を守ろう。自分は消えても構わないと。
 虹の石舟が起動した隙を突いて、ヨノワールも最後の攻撃を仕掛けます。ジュプトルはリオルをかばい、その攻撃を一匹で受け止めました。そして、ジュプトルはリオルたちに別れの言葉を言うと、ヨノワールを道連れに未来へ帰っていきました。未来への希望を二匹に託して。
 リオルとキモリは、ジュプトルの集めた時の歯車と共に時限の塔へと向かいました。塔の頂上に時の歯車を納めれば、星の停止は阻止できます。ところが頂上にたどり着くと、そこには時が壊れた影響で闇に染まったディアルガがいました。そして、闇のディアルガは二匹に襲いかかってきました。
 死闘の末、闇のディアルガを鎮めた二匹は、無事に時の歯車を納めます。星の停止はこうして、食い止められました。正気に戻ったディアルガに礼を言われ、二匹は帰っていきました。

 その帰り道で、リオルはだんだん足が重くなっていくのを感じました。過去を変えた影響が、リオル自身にも表れ始めたのです。そしてリオルの身体から淡い光が……ついに別れの時です。
 リオルから淡い光が出ているのを見て、キモリは心配そうに声をかけます。リオルは自分たち未来の者の定めと、今までのお礼を別れの言葉として最後に告げ、戸惑うキモリを残して消えてしまいました。
 たった一匹残されたキモリは、未来の者たちの思いを胸に、涙を流しながらギルドへ帰っていきました。そして、様々なポケモンにこの冒険の話をしました。二度と同じことが起こらないようにと願い、消えていったあのポケモンたちを想いながら……。
 そして数日経ったある日のこと、キモリはリオルと出会った海岸を訪れます。今までの冒険を回想するキモリの目には、自然と涙が溢れてきてしまい、彼を心配して来たビッパの前で悲しみをぶちまけます。
 その悲痛な想いを受け止めたディアルガは、感謝の意を込めて消滅したリオルを再び海岸へ呼び戻します。突然現れたリオルに驚くビッパを見て、キモリは後ろを振り向く。そこには、共に苦難を乗り越えてきた唯一無二の相棒、リオルの姿。キモリは子供のように泣きじゃくりながらリオルに抱きつく。
 感動の再会を果たした二匹は、これからも更なる成長と功績を築き上げていく。そして、今日もどこかで探検隊として動き回るのであった……。

■筆者メッセージ
いかがでしたか?本編をプレイした人もそうでない人も、話は掴めたかなと思います。次回からオリジナリティを加えた物語を作っていくので、どうかよろしくお願いします。
netsusibuki ( 2015/09/24(木) 04:03 )