噂の拡大
「はぁ…はぁ…」
私は疲れ果て物陰で休む。この館に入って最後の一匹になってしまった…友達は残酷な姿で全員死んでしまった。あの幽霊によって…
私は早く脱出してこの館の危なさを町の皆に知らせるその為に生きている。絶対脱出しなければならない…
休憩を済ませ私は歩き始める。あまり走る体力も気力も残ってはいない。2階の南東の部屋に入り鍵を閉めた。これであの幽霊も入ってはこれないだろう。私は奥の壁にある金庫のダイアルを回す4桁の番号に合わせると金庫は簡単に開いた。中には玄関ホールの鍵みたいだ。他の部屋の鍵とは違って古いタイプの鍵だったから。
「ようやく出られる!」
私の目には希望の光が差し込んでいた。急いで部屋から出て階段に向かう途中に皆を殺した幽霊が待っていたように妖しい笑みをこぼしていた。
「最後の最後に邪魔なところに立っているわね…」
踵を返し3階に繋がっている階段に向かって走った後ろには幽霊が追いかけていること気配で分かる。3階にたどり着きすぐの部屋に入り下へ続く穴に飛び降りる。そして階段を下るその時階段を踏み外し私は無惨にも下まで転げ落ちる。激痛で体を無意識に丸めてしまった…幽霊はゆっくりと階段を降りてくる。手には妖しく刃物が光っている。
「私も結局死んじゃうのか〜あっという間だったな」
幽霊が私に刃物を振り下ろそうとしたところで最後に呟いた。
「先に逝っちゃってゴメンねシル…」
私の意識は遠退いてそのまま息を引き取った。