ジムリーダーは仕事を全うしない
それは、ポケモン協会からの手紙だった。
手紙に書かれていた内容に、正直、俺は胸が震えた。
『デンジ様へ
最近、協会が定めたルールに違反しジムの仕事をしている方が
大変多く見受けられます。
そこで、私達、ポケモン協会は、ジム業務の意識を高めるために
ポケモンバトル大会を開催する事を決定致しました。
さらに、各地方の、四天王・フロンティアブレーン・サブウェイマスター
そして、チャンピオンの大会参加の許可も頂きました。
日時は○月×日の8時
クチバの港までに集合願います。
今回は、コガネテレビ協力の下、全地方テレビ中継致す予定です。
持ち物
・手持ち、控えあわせてあなたの最強ポケモン9匹をお持ち下さい。
※この大会は強制参加になっております。
尚、大会への無断欠席の場合はポケモン業務の権利を剥奪致します。
質問等がありましたら下の番号までお問い合わせ願います。
○○○-○○○○-○○○○
ポケモン協会より』
“プルルルルルルルルッッッ”
久しぶりに良い勝負が出来そうだ、そんな事を思っていると
俺のスマホが着信音を放った。(最近の通信機器は、ほとんどスマホになっている)
「・・・もしもし・・・・・・・・・」
『おぉ!デンジッ! 俺様だ、オーバだ!!』
声の主は、シンオウリーグ四天王のオーバだった。
「わかってる・・・・・・・余り大きな声で喋るな」
『おっと、そりゃ悪かった!ハハハハハハハッッッ!!』
・・・・・・・・・・・・・・・・・うるせぇ。
「なにか、用か?」
解りきった質問をしてしまった・・・・・・・・。
『おうよ!デンジ、ポケモン協会からの手紙読んだだろ!』
「・・・・・・・・・・あぁ、読んだ」
『シンオウ地方は、クチバから近いようで遠い!早めに出発しておいた方が良いぞ!』
「おぉ、そうだな・・・・・」
『今からちょっくら迎えに行くからよ!ちょっとジムで待ってろ!!』
「・・・・・・ってろ!!・・・・・・・・・・」
ん?誰かの声が・・・・・・聞き覚えがあるが・・・・。
「・・・・・・ちなみに、オーバ。今、どこに・・・・・」
“ドンッ!”
「迎えに来たぜっ!デンジ!!」
突然、ジムの扉を蹴飛ばし、謎の男が入って来た。
赤色のアフロヘアーに濃い顔立ちキラリと光る歯。
・・・・・・・・・・・・キモッ。
というか、オーバだった。
「・・・・・・・・・・・」
「よぉ、デンジ!元気にしてたかー?」
「誰だキモい帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ帰れ」
「うぉ!どうした急に!!なに怒ってんだよ!!?」
「・・・・・・・・来るの早過ぎだろ、お前」
「なにぃ、言ってやがってんだ!大会まで後二日!
余裕を持っていった方が良いんだよっ!」
・・・・・・・・・・・そういうものか?
「あぁ、そういうものだ!」
「人の心を読むな・・・・・・・」
「準備出来たか〜、デンジ」
「・・・・・・・あぁ、出来た」
「・・・・・特になにも変わってないじゃん」
「スタッフに、挑戦者が来たときの対応を確かめさせた」
「結構まめなんだな」
「お前は四天王としてもっと責任を持て・・・・・」
「・・・・・・・オーバ、お金は、持ったか?」
「金?・・・・特に必要ねーだろ?」
「・・・・・・・・・・なにで、クチバまで向かう気だ・・・・?」
「?・・・・・・・・・飛行ポケモン」
「それは、絶対に間に合わない」
「なあ、デンジィー」
「・・・・・・・・・ちょっと爺さんっぽく言うな・・・・・!」
「なんで、さっきから、4コマ漫画の活字版見たいになってんだ?」
「・・・・・・・・・・・さあ?」
「たいして面白くないしなっ!」
「・・・・・・・・・・・それは言うな・・・・・!」
「間繋ぎって所か!・・・・・ハハハハハハハッッッ!!」
「・・・・・作者の意図を読むなよ」
「とりあえず、コガネまで新幹線で向かうぞ・・・・・・」
「クチバまで行かないのか?」
「クチバに新幹線は通っていない・・・・・・」
「まあ、港町だから、そりゃそうか、、、」
「コガネに行き、モーモーミルクを買った後、ヤマブキまで行き、そこからクチバに向かうぞ」
「たぶんだが、モーモーミルクを買わなければ、直でヤマブキまで行けるんじゃないのか?」
「・・・・・・・・・・・・・うるせぇ」
そんな、下らない話をしながら、俺たち二人はクチバまで向かったのであった。