まだ、君を待っている自分がいた・・・・・。
―――――シンオウ地方・ナギサ―――――
今日もまた、退屈な時間を過ごすことになるだろう。
強い相手と勝負がしたいという一心でなったジムリーダー。
力を求め、強さを信じ、いつしかシンオウ最強のジムリーダーなんて呼ばれた。
だか、そんなのは、嬉しくもなんともなかった。
強いトレーナーはなかなか来ず、ジムには縛られ、怒りをジムの改造にぶつけた。
一年ほど前だろうか・・・・・。
強いトレーナーと勝負がしたい。
心からそんな気持ちが溢れ出てきた。
次の挑戦者を倒したらシンオウリーグに挑戦しようと決めた。
そんな折、君が来た。
まだ、子供だったので、軽くあしらおうと思ったが・・・。
良い目をしていた。
君なら、俺を楽しませてくれると思った。
「・・・・・・さて、挑戦者。
たまに俺と戦えるトレーナーがいるけれど、
皆 つまらない というか 手応えが無いんだよ・・・・・・」
思ってた事が口に出てくる。
「・・・・・・ふう 俺がジムリーダーのデンジ
シンオウで一番のジムリーダーだと言われるが・・・・・・
まあ いいや」
心の底から、思っていた事を口に出す。
「俺にポケモン勝負の楽しさを思い出させてくれるトレーナーであってくれ!」
そして、君とのポケモン勝負が始まった。
つまらないトレーナーと勝負するほど、憂鬱な事は無いので
ルールは、一対一の真剣勝負と決めている。
俺のレントラー
君のドダイトス
相性の問題もあったが、それ以上に君は強かった。
「ここまで 追い詰められるとは!」
ただただ、楽しい勝負だった。
勝負には、負けた。
ただ、悔しいという気持ちよりも、
勝負の余韻が、俺の心を支配した。
「参ったな・・・・・・!
君の気持ち ポケモンのひた向きさ 戦ってるだけで熱くなる。
とても良い勝負だった」
あの時、自然と笑いが零れた。
自分でも、自分の笑い声なんて久しぶりに聞いた。
「・・・・・・フッフッフ
ハッハッハ!
・・・・・・久々に楽しいポケモン勝負だった!
そして これからも ポケモンが!君が!どんな戦い方をするのか 楽しみで堪らない。
さあ 8つ目のジムバッチ
受け取ってくれ!」
あれから、君はここを訪ねて来ない・・・・・・・・・。
特に、約束をした訳では無いので、当然といえば当然なんだが・・・。
君にとっては、シンオウリーグに挑むための一つの難関に過ぎなかったのだろう。
いや、難関ですら無かったかもしれない・・・・・。
君は、あの後、
リーグでチャンピオンを倒し、
ポケモンを悪い事に使う組織を壊滅させ、
神と伝えられしポケモンを捕まえ・・・・・
この世界を守った・・・・・・。
英雄 コウキ
電気が走る、このジムで、
俺は今も、まだ、君を待っているのかもしれない。
そんな、淡い期待を胸に、
それでも、また、退屈な日々を過ごしていた俺の所に
一通の手紙が届いた・・・・・・・・・・。