ビッパの相撲
貧しいけれど、心の優しいお爺さんとお婆さんがいました。
ある日のこと。
お爺さんがいつものように山に行くと、
「ハッケヨイ、ノコッタ、ノコッタ!」
という声がします。
お爺さんがそうっと覗いてみると、
二匹のビッパが相撲をとっていました。
「おやおや、あれはうちの痩せビッパと、金持ちの家の太っちょビッパだぞ」
お爺さんの家の痩せビッパは、何度やっても負けてしまいます。
お爺さんは家に帰ると、お婆さんにビッパの相撲の話をしました。
「あれじゃあ、可哀想だ。うちの痩せビッパにも勝たせてやりたいねえ」
「良いことがありますよ、お爺さん。お餅を食べさせてやりましょう。きっと力が付くでしょうから」
お爺さんとお婆さんは、お餅をついて、ビッパの住んでいる穴に転がしてやりました。
次の日。
痩せビッパと太っちょビッパは、また相撲をとりました。
でも、今日は痩せビッパが勝ちっぱなしです。
「君、どうして急に強くなったんだい?」
「昨日、お餅を食べさせてもらったから、力が強くなったんだよ」
「いいなあ。僕んちの金持ちはケチだから、お餅なんてつかないんだ」
「そんならうちへおいでよ。お爺さんは、きっと今夜もお餅をついてくれるから、君にも分けてあげるよ」
「本当に行っていいの?嬉しいなあ」
その夜、お爺さんは、ビッパ達の為にお餅をついてやりました。
お婆さんは、赤い布で、まわしを縫ってやりました。
お餅とまわしを見つけて、ビッパ達は大喜びです。
お爺さんとお婆さんは、太っちょビッパがお土産に持ってきた小判のお陰で、
大金持ちになりました。
そして、それから毎日、ビッパ達の相撲を楽しみましたとさ。
おしまい