卒業、それぞれの進む道へ
卒業大会決勝が終わり、閉会式が行われる。この大会をそしてこの学校を支援してくれているオーキド博士から、優勝者に賞品の授与が行われる。
「君が優勝した、ユウ君じゃな?これが賞品のポケモンの卵じゃ…嬉しくなさそうじゃがどうかしたのかね?」
先程からの悔しさが抜けておらずずっと考えていた。それが表情にも出てしまったのだ…ポリゴン自体の力や偶然起きた状態異常効果などと、俺自身の力じゃない部分で勝利したことが、俺自身では勝てないと心に刻まれてしまったのだ。
「いえ、とても嬉しいです…ですが、俺自身の力で勝てたと思えないんです…」
「ほぉ、そうじゃったか…そういうふうに悩むトレーナーは思った以上に多い、特に君のような真面目なトレーナーには多い悩みじゃ…全て自分でと背負ってしまう。負けた時も自分が弱いからと考えてしまったのじゃないかの?」
確かにナミノ先生に瞬殺された時、俺自身がポリゴンを活かせてやれないからと悔いていたのだ…
「確かに君のいう通りかもしれない…じゃが、そこまで君のポケモンを成長させたのも君自身であるし、運で勝てたとしても…そんなもの実力のひとつじゃ、もしも対戦相手のポケモンが、偶然前の戦いでグラウンドが濡れていたせいで滑ってその隙に攻められてしまったら?もしも君のポケモンが偶然にも攻撃を外してしまったら…そんなこといくらでもある…結局は君は素直に喜んでいいんじゃよ?ほら、他の出場者をみてごらん?みんな君が優勝で納得がいかないなんて顔してないじゃろ?」
その時初めて俺は後ろを振り返った…みんな、俺の優勝を素直に称えてくれている。俺が勝ったことに対して悪いと思っちゃいない…そんな顔だった…レッドもレナもカイもケンも、また他の出場者達も…俺は、今、こいつらの代表でこの賞品を受け取り、優勝したという称号をもらっているんだ……
「なぜ、みんな納得がいってるのか、それはみんな君を認めてるからじゃ…認めてるから納得がいくのじゃよ…素直に喜んでいいんじゃ、まだ子供なんだから無理に考えなくていいんじゃ、、、君にはいずれワシの孫が成長した後戦って欲しいもんじゃよ。」
優しく嬉しそうに話す。オーキド博士に俺は、心をうたれた、そうだ、今は素直に喜ぼう…ポリゴンと2人で掴み取った勝利を……こうして、俺たちの卒業大会は終わった…
ーーーそしていくつかの時が過ぎーーー
「みんな、今日で卒業だ!俺は、みんなの教師ができてとても嬉しかったと思う!!お前達の将来を俺は信じてる!」
卒業式当日、式が無事に終了し、、、教室で先生が最後の挨拶が終了する。そしてその場を後にして廊下に出た先生に俺は声をかける
「先生、、、面談の日のこと俺は今でも覚えています…俺、、、卒業後旅に出ます!外の世界を見て、今後の糧にしていきます!」
「そうか、元気でやれよ。お前ならきっといいジムリーダーになる。だが、結局なんで旅に出ようと思ったんだ?お前なら言われても曲げずにジムリーダー用の講習施設に行くと思ったが…」
と、ナミノ先生は俺の、ことをよくわかっている。俺は意外と頑固で自分で決めたことはあまり曲げないのだ…
「いえ、、卒業大会を通して分かったんです…このままじゃダメだって…優勝はしましたが、みんな俺よりもポケモンを信じていた、そして俺よりも強かった…今でもそこでダメだったら負けてたかもしれない…なんて考えてしまう時もあります。ただ、負けてらんないと思いました!!!俺はジムリーダーを目指します!ですが、いろんなトレーナーを導けるジムリーダーになるには、俺自身ももっと学んで、俺自身強くなるしかないっす…だから旅に出ようと思いました。」
「なんというか…お前らしいな。その長ったらしく真面目な言葉が特に」
先生はクスッと笑って、俺にそう返した…
「まぁ、頑張れよ。俺はここで教師続けてるから寂しくなったらいつでもこい」
そう先生は俺と話し、その場を後にした…その後…
「ユウ〜〜!!会えないのやだ〜〜!!ジョウトまで来てよ〜」
1人の金髪の少年が号泣して抱きついてきた…忘れてたけど、カイってこういう奴だったな。最近精神的な成長がすごいから、忘れてた‥.…
「さ、流石にジョウトには行けないけど…ま、いずれ会えるからさ…」
よしよしと、号泣してるカイを慰めてやると…その後1人の少女がやってくる…
「ユウ!卒業大会じゃ再戦できなかったけど!次やる時は必ず勝つわよ!覚悟しなさい!それまで強くなるから!あんたも負けんじゃないわよ!」
レナか、確かに卒業大会じゃ、レッドが勝ったからあたらなかったな…
「まぁ負けないかどうかは分からないけど、それなりに頑張るよ。」
「にえきらないわね!あんたはそういうとこがダメなのよ!そこは、絶対負けないでしょ!」
なんか指摘までされたが、なんだかんだでいい奴なんだ…きっと彼女もいいトレーナーになるさ…そして俺たちはこの学校を…卒業した、、、
ーーーあれから一月が経ちーーー
それぞれの少年たちはそれぞれの進む道へと歩み始めた……
かくとう使いのケンは、実家ヤマブキのポケモン道場の跡取りとなり、今でも挑戦者を待ち受けている……
「いくぞ!ワンリキー!俺たちに負けはねぇよなぁ!」
「リキー!」
ハナダシティ出身、最強を目指す少女レナは、カントーリーグ制覇を目指して旅へと出た。
「行ってきます。必ず制覇して帰ってくるわ…いくわよニョロモ」
「ニョロ!」
コガネシティ出身にして、親友のカイはジョウト地方にてポケモントレーナーになる旅に出る、、、いずれはポケモンリーグを制覇し、トレーナー達が目指す対象になることを夢見て、、、
「いくよ、ニャース!いずれは僕たちが、みんなの憧れになるんだ!僕が憧れたトレーナーのように!!」
「ニャー!」
マサラタウン出身のレッド、太陽のようなその男、相棒フシギダネと共に、カントーポケモンリーグ制覇を目指し旅に出る。
「俺は!誰よりも強いトレーナーになってみせる!」
「ダネダネ!!!」
ナミノ先生は、今年も教師を続け、生徒達を引っ張っている。
「やぁ!生徒諸君!俺が担任のナミノだ!よろしく!!!」
そして…
ここにも1人の少年が、、、自分の道を進もうとしていた。
「父さん、母さん。行ってきます。俺は、父さんと母さんが誇れるような人間になって帰ってくるよ。」
「そんなこと考えなくていいから頑張ってこい!父さんは応援してるぞ」
「もちろん私も応援してるわ。自分の夢、叶えるのよ。」
「あぁ……行ってくる」
ポケットモンスター、縮めてポケモン。ポケモンが与えた影響は数知れず、広く、大きく、ポケモンとトレーナーの数だけ夢があり、それぞれの進む道がある。この世界は誰もが主人公でヒロインだ。誰もが夢を見て、誰もがヒーローを目指せる。この世界…一つの物語が今終わり、そしてまた一つの物語が紡がれていく…それぞれのストーリーがいいものとなることを信じて……………