成長
「ユウ…であってるよな。負けたよ…俺のワンリキーが飛ばす石たちをまるでピンボールのように弾いて攻略するなんて、思わなかった…」
勝負が終わった後2回戦の相手を偵察するため次の試合を見ていると、隣の席に先程の対戦相手、ケンが隣に座る…
「いや、君のワンリキーもすごかった。あんな威圧感のある相手と戦ったのははじめてさ。」
なんて軽く話してるとちょうど2回戦の相手が決まった…対戦相手はよく知るあの人物…コガネシティのカイ、、、彼が相手に決まった…2回戦が友人との戦いになるとは…試合表を見た時にまぁそうなるとは思ってたけど…俺自身実践授業ではカイと当たったことがない…はじめての対戦となる。そう考えてると隣のケンが口を開く
「俺、あいつと対戦したことあるんだ…3ヶ月前に…だが、あの時とは別もんだ。あそこまで腕の立つやつじゃなかった…アレは間違いなく、、、悔しいが、俺より強い」
先程ケンと対戦したばかりだからわかる。ケンは本当に強い、これまで戦った相手ではナミノ先生を抜けば一番の相手だったと思う。そのケンでさえ、自らの負けを認めるほどの実力者になってるとは思わなかった…カイは強い!友人だからと舐めてかかったら確実にやられる、、、彼はそんな相手へと成長していた…
「とりあえずポリゴンがそろそろ回復した頃だし、受け取りに行ってくるよ。」
この大会では勝負後、出張型のポケモンセンターに預けられる。それを受け取りに行かなければならんのだ…
「回復終わりましたか?受け取りに来たのですが?」
時間になったのでジョーイさんと軽く話してポケモンを受け取る。そうしてると後ろから声をかけられる。
「よぉ、ユウ!勝ったんだな!見てたよ!もちろん俺も勝ったぜ!」
そこには友人であり、対戦相手のカイの姿があった。
「お、おう。勝ったぞ。お前もおめでとう。」
少し複雑た気持ちを抱えながらそう話すと、カイは純粋な表情のままこう話す。
「ユウ!俺はお前が相手でも負ける気はないぞ!絶対に勝つ!」
少し前までは負けるたび、涙目でくっついてくるような坊ちゃんだったはずなのに、彼はまるでナイトのように誇らしく成長して自信を持ち、自分は強くなったと誇れるようになっていた。
「あぁ、わかってるさ…最高の勝負にしよう」
そんな成長した彼の姿の前では俺は…勝つとは言えなかった。勝利すると言えなかった…それほど彼の成長は俺の脅威となったからだ。カイは強い。これ以上ない強敵となって俺と戦うことだろう…つまり、そう、びびっちまったのさ。相手の強さに俺はびびってしまった…