#6 臆病者の真髄
俺は一体、何をやっているんだ。
目の前でシズクが戦っているのに、俺だって戦わなきゃいけないのに、何をしているのだろう。
状況は二対一。圧倒的不利な中でも、シズクは互角に戦っている。俺が入っていけば間違いなく勝てるであろうこの状況。
そんな中で、俺は何をやっているのだ。
どうしてこういう時に、体が動かなくなってしまうのだろう。
“動かない”じゃない、“動く”んだ。
自分が臆病者だと決めつけて、動かなきゃいけない時に心のどこかで怖いから無理、なんて思ってて。
本当に意気地無しだ。俺は。
でも、その意気地無しを変えようと、変えたくて、この大陸まで足を運んで、宝物も握りしめて、ここに立っていたんじゃないのか。
自分が意気地無しなんてことは知っている。だからそれを変えるんだ。
震える足に鞭打って立ち上がった。
怖い、怖い。
でも、立ち向かわなくちゃいけない。
悔しさから溢れ出る勇気、勝利への欲望が、恐怖の気持ちを飲み込んだ。
一歩踏み出す勇気が無くたって、戦う勇気が無くたって、立ち向かう勇気さえあれば、
「…行くぞ!」
いつだって前を向けるんだ!