#42 たまには、ほっと一息
「いらっしゃいませ〜」
「……あ」
私達がドリンクを頼んだ数分後、カフェの入口からサンとフライが姿を現した。サン達もここは初めての様で最初はうろうろしていたが私達の姿を見つけるとすぐに寄ってきた。二匹共、何だかワクワクしている様な表情だ。
「二匹も来てたんだあ。私、こんなお店出来てたの知らなかったなあ」
サンは相変わらず笑顔で言った。それにフライもうんうん、と相槌を打つ。
二匹に、ここのカフェは自分の持っている食材の中でドリンクを作ってもらうシステムだと説明すると、二匹は納得した様子でどこからか二つの椅子を取ってきて座る。しばらく待っているとソーナノがこちらに近づいてきた。
「お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」
妙に、高い声だった。ここのソーナノとソーナンスは、性別は一体……どっちなんだ?ケンジも同じ事を考えているようで、ソーナノの方を見ながら曖昧な顔をしていた。
「えっと……私は林檎ジュースで」
「僕はオレンティー」
バッグから林檎とオレンを取り出してソーナノに渡しながら二匹は言う。ソーナノは「かしこまりました」と言ってカウンターの方へ戻っていった。この大人数を相手に店員が三匹とは大変である。
その後、サンとフライと、談笑しているとすぐにドリンクが運ばれてきた。今度はソーナンスがお盆に乗せた四つのグラスを危なっかしげに持っている。
「モモンジュースを頼んだの……シズクさんでしたよね?」
不意に横からサマルが顔を出して訪ねる。ソーナンスは無言でグラスを机の上に乗せていた。こいつもしや、喋れないのか?
「そうだけど」
「それでしたら特別大サービス!!モモンジュースに、このモーモーミルクを足してみてください!まさにベストマッチですから!是非!あ、代金は頂きませんよ。これはサービスですからね」
何故かハイテンションでサマルが白い瓶を取り出した。そのなかに入っていた白い液体を、ゆっくりとモモンジュースの中に入れていく。桃色と白色がマーブル模様の様に混ざりあって、少し綺麗だと感じた。
「へえ、うまそうだな、それ」
「……フライのオレンティーは、なんかお茶が青いっていうか……」
「まあオレンだしねー」
なんて笑い合いながら、私はミルクの混ざったモモンジュースに口を付ける。それは何だか優しくて、濃厚で
そして素直な味がした。