第六話 探検隊結成
目の前にはプクリンの顔のテントが立っている。幼い子供から見たらとても不気味に見えるだろうな。だって俺から見てもめちゃくちゃ怖いし。
「な、なあ。まさか此処がギルドじゃないよな?」
「ギルドだよ?」
そしてしばらくの沈黙が流れる。信じられるかよ。こ〜んなちっこいテントがギルドとか…。でもまさか…
「マジで?」
「うん。マジで」
…うん。マジみたいだね。うん。
「あんたまさかこのテントだけがギルドとか思ってない?」
「え?違うの?」
その時三人は呆れた顔で俺を見てきた。
「はぁ。この崖自体がギルドになってるのよ。もしこのテントだけだったらさすがにこんなギルド選ばないわ」
へぇ。この崖自体が…。なるほどな。でも最初の溜息何?俺そんなに呆れられてるの?
「で、このギルドに入るにはそこにある見張り穴の上に乗らないといけないわけ。分かった?」
「あ、ああ。…何かこいつに言われると腹立つな…」
「何か言った?」
「いいえ何も」
顔は笑っていても目が笑ってないよ。こえぇぇ…。
「じゃあとっととその見張り穴とかいうやつに乗ってギルドに入ればいいじゃないか」
「ええ。そうなのよ。なのにこのヘタレ。「怖い」やら「また今度」やら「お母さん助けて」とか言っていつも引き返すのよ。ほんと、ダメな男よね。だから彼女とかも出来ないのよ」
「そこまで言う!?酷いよね!?というか「お母さん助けて」なんて言わないし!それに彼女だって僕だって頑張れば…!」
「「「無理だね」」」
「う…!」
皆に無理と言われたからか、ラウルは半泣きになりながら、その場でしゃがんでへのへのもへじを描き始めた。ルミアが溜息を付く。「当り前でしょ?」とラウルに聞こえないように呟いたが、多分ラウルにも聞こえていただろうな。
「おいおい。こんな所でへのへのもへじ描いてる暇があるなら、とっとと見張り穴の上乗れよ」
「…うん…」
ラウルはすっと立ち上がって、少し泣きながら見張り穴の目の前まで行った。俺は本当の事を言ったまでだぞ?
「世の中にはたとえ本当の事でも口に出しちゃいけない事もあるんだよぉ…」
こいつ…心の中を読みやがった…
「じゃ、じゃあ乗るよ?」
ラウルは「えい!」と言って見張り穴の上に乗った。そんなに勇気がいるのか?そんな事を考えていると急に見張り穴の下から声が聞こえた。
「ポケモン発見!ポケモン発見!」
「誰の足形?誰の足形?」
「足形はリオル!足形はリオル!」
「わっ!!?」
ラウルは見張り穴から飛び退こうとする。が、俺はそれを尻尾で止めた。
「これで終わらせんのか?我慢しろよ」
ブルブルと震えているのがよくわかる。尻尾の振動がスゴいからな。
ラウルが「う、うん。」と言って見張り穴の上でしっかり立った。
「…よし。周りに他にいるだろ!お前らも乗れ!」
「やっ…」
「じゃあ私乗るわね」
ラウルが「やった!」と言ったのをルミアが遮って見張り穴の上に乗った。もちろんラウルはまた半泣きになりながら見張り穴から退いた。
「ポケモン発見!ポケモン発見!」
「誰の足形?誰の足形?」
「足形はロコン!足形はロコン!」
「よし次!」
その時ラウルが「僕より終わるの何か早くない?」と呟いたのは此処だけの話。
そして次はココアが乗った。
「ポケモン発見!ポケ…ゴホッ…ポケモン発見!」
今の絶対大声だし過ぎて喉が渇いたんだろうな。たまには水分補給させてやれよ?
「誰の足形?誰の足形?」
「足形はイーブイ!足形はイーブイ!」
「よし!次!」
やっと俺の番か。
「ポケモン発見!ポケモン発見!」
「誰の足形?誰の足形?」
「足形は…え〜と…この足形はぁ…」
そしてしばらく「う〜ん」と言う声が下から聞こえてきた後…
「多分ピカチュウ!多分ピカチュウ!」
「何だ多分って!」
「だ、だって分からないものは分からないんだもん!」
「子供かお前は!」
「子供だよ!」
何かもめてるな。てかいいのか?ギルドで子供を働かせて。
「何かもめてるみたいだね…」
「みたいね」
大丈夫か?このギルド。
「待たせたな。別に怪しい奴らじゃ無さそうだし、いいだろう」
そう声が聞こえると、急に目の前の門が開いた。
「わっ!!」
ラウルは驚いて尻餅をつく。どんだけ臆病なんだよこいつ。
「とっとと行くわよ」
「う、うん」
先にルミアが入り、次にラウルが入った。
「じゃあ俺たちも行くか」
「うん」
テントの中に入ると、中には地下へと繋がる梯子と何か大きな紙が貼られている看板だけがあった。
「ラウル達は先に行ったみたいだね。じゃあ私たちもいこっか」
「ああ。そうだな」
俺が先に梯子を下りる。そして、俺が地面に足をつけたのを確認すると、後からココアが降りてきた。そして、その瞬間…
「きゃっ!!」
ココアが足を滑らせて、梯子から落っこちた。もちろん。そのまま俺に近づいてくる。え?なにこれ?
俺にどうしろと?
「うおっ!?」
「!?」
俺はとっさに腕のうえに乗せようと、腕を前に出す。そして何とか腕のうえに乗った。これは世間で言うお姫様抱っこというものだ。それにしてもあぶねぇぇ。
「はわわわわ」
ココアが何か呟く。何故か顔が真っ赤になってる。おかしなヤツだな。…にしても
「重い」
「な!?」
バシーーン そんな痛々しい音が響いた。
「いっだああぁぁ!!」
音の原因はココアが俺の頬をビンタしたからだ。俺何か悪い事言ったかよ!
「コ、ココア…なんで…」
「知らない!」
それだけ言ってココアはルミア達を探し、すぐ見つけてそちらへと駆けて行った。
「な、何で俺が叩かれなくちゃ行けないんだよ…」
多分周りから見たら俺はむなしい男だと思われているだろう。
「大丈夫か?お前」
急に隣から声がしたので、そちらを見ると其処にはペラップが立っていた。
「大丈夫なわけないだろ」
「だろうな。ところで、さっき入ってきたのはあいつらとお前か?」
ペラップはココア達を翼の先で指す。
「うん。そうだよ」
ラウル達がいつの間にか此処まで来ていた。そしてココアが「ごめんね?」と言ってきたので、俺は「いや、気にしてない」と言っておいた。実際結構痛かったんだがな。
「でも悪いけど帰ってもらうよ。勧誘とかサインとかうちは拒否してるから」
「じゃあ探検隊になりたいって言っても?」
「ああもちろ…って。えええぇぇぇぇぇぇっ!!??」
急にペラップは声を上げる。多分このギルド全体に響いてるだろうな。とにかくそれくらいの大声。もう周りの人は全員こちらに目を向けている。てかそんなに驚く必要あるのか?
「本当かい!?」
「う、うん」
そしてペラップは後ろを向くとブツブツと何か呟き始めた。
「今時珍しい子達だよ。此処のギルドの修行は厳しすぎると言って殆どの探検隊が夜な夜な脱走した上、探検隊になりたいという者達もどんどん減ってきてるというのに…」
はい。丸聞こえですが?
「そ、そんなに此処のギルドの修行って厳しいの?」
ラウルが問う。厳しいに決まってるだろ!夜な夜な脱走する程だぞ!?
「え!?いやいや、そんな事はないよ!此処のギルドの修行はと〜〜〜っても楽ちん!なんだぁ♪探検隊になりたいなら早く言ってくれないと♪」
いや、言わせなかったのあんただろ。というか、さっきと言ってる事逆だぞ。
「じゃあ付いておいで♪探検隊になる為に必要な事をするから♪」
それだけ言い残しペラップはさらに下へと続く梯子を使って下へと下りて行った。
そして、俺たちは一回顔を見合わせて、ペラップの後を追った。
俺たちはさらに下へと梯子を使って下りて来た。
そして、ペラップは梯子の隣にある扉の前で待っていた。
「さっき言い忘れたが、私は此処のギルドの親方様、プラン親方様の一番弟子。トークだ。普通にトークと呼んでくれて構わないぞ♪」
どうやらこのペラップはトークと言うらしいな。じゃあお言葉に甘えて今度からそう呼ばせて頂くか。
「で、此処が親方様の部屋だ。呉々も粗相がないようにな。親方様。トークです。入りますよ〜。」
そう言ってトークは扉を開けて中に入って行った。それに続いて、俺たちも中に入って行った。
俺たちは親方の部屋に入ってきた。目の前には一人のプクリンがいる。このプクリンがこのギルドの親方だろう。
「親方様。今日は新しく弟子入りしたいという子達を連れてきました♪」
…反応がない。ただの屍のようだ。
「親方様ぁ?どうしたんですか… !? 親方様ぁ!!」
ビクッっと親方が動いた。
「あれほどセカイイチの撮み食いは辞めてくださいと言ったのにまたやってるんですか!?」
「や、やあ君達!このギルドに弟子入りしたいんだって?これからよろしくね♪」
こいつ…思いっきりトークを無視しやがった。
「じゃあ早速チーム名を教えてね♪」
チーム名?ああ、探検隊につけるチーム名ね。
「「「え?」」」
…え?今の「え?」は何?まさかこいつら…んな訳ないよな?だって普通どんな隊でもチーム名って言うもんはつけるぞ。
「な、何も考えてきてなかった…」
………まじか。マジなのか。こんな事ってあるのか。
「ライト…何かいいのある?」
「は!?」
俺!? 何で俺に聞くの!?意味わかんねぇよ!……まあいいや…。何かいいチーム名ないかなぁ?…う〜ん…。
《レジェンド》
…なんだ今の…レジェンドって…いいや、これでいこう。
「『レジェンド』」
「『レジェンド』?」
「確かレジェンドって伝説って意味だよね?」
「そう。レジェンドって言うのは伝説って意味だ。だから俺たちも伝説の探検隊になってやろうってことだ!」
「「「!」」」
三匹は顔を見合わせる。そして俺を向いて…
「いいよ!それでいこう!」
「ええ!私も文句無いわ!」
「それでいこっか!」
あ、本当にいいって言ってくれるんだ。よかったぁ。笑われたらどうしようかとか思っちまったよ。
「じゃあ『レジェンド』で登録するけどリーダーは誰?」
「「「ライトです」」」
「はい!?」
え?俺がチームのリーダー?…悪くないかも…。…じゃねえぇよ!俺がリーダー!?
「じゃあ登録するよ?登録登録…」
「えっ!?ちょっ…まって…」
「皆登録…」
「お前達耳を塞げ!」
「「「「え?」」」」
言われた通り俺たちは耳を塞ぐ。そしてその瞬間…
「たあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
もの凄い爆音が響いた。もし耳を塞いでいなかったら多分鼓膜が破れていただろう。
「ふう…。うん♪登録完了だよ♪」
「「「「あ、有り難う御座います…」」」」
俺たちはふらふらになりながらもお礼を言う。…って、あれ。結局俺がチームのリーダー?…まあいいか…。
「はい♪これをあげるよ♪」
「? 何だこれ?」
目の前に置かれたのは黄色の少し大きめな箱だ。
「これは探検隊になると必ず貰える探検隊キット≠セよ♪中を見てご覧♪」
俺は言われた通り中を見てみる。そして中にはいろいろな物が入っていた。
「わぁ。すごいや…」
「うん♪中にも説明書を入れておいたから部屋で見てみてね♪それとそのバッグの中にもいい物を入れておいたからね♪
あら、もうこんな時間だ…じゃあ…此処のギルドの修行は少し厳しいかもしれないけど頑張ってね♪ともだち♪ともだち〜♪」
「はい!僕たちこれから頑張ります!」
ちょっと探検隊キット≠フ中を見てみると、説明書と見られる物が探検隊キット≠フ隅に入れられていた。そしてバッグも探検隊キット≠フ中に入れられていた。
「じゃあお前達、付いてきなさい。今度から住み込みになるからな。お前達用の部屋がある」
「は〜い」
そして、俺たちはプランの部屋を出てトークに付いて行った。
「ここがお前達の部屋だよ♪明日からは早いからね♪早いうちに寝なさい♪じゃあな♪」
新しい弟子が出来たからか少しトークはご機嫌だった。…さて、此処が俺たちの部屋かぁ。結構広いな。
「わぁ、ベッドの藁も結構あるよ!じゃあ早速敷こうか」
「そうね。もうさすがに眠いわ」
「でも寝る前に探検隊キット≠フ中を確かめようね」
「だな」
上からラウル、ルミア、ココア、俺の順だ。
そしてそれぞれ自分の好きな量の藁を取り出し、地面に敷いた。
「じゃあ早速中を見て見ようよ」
ラウルが目を輝かせながら俺に言う。
「そうだな」
俺はベッドの上で寝っ転がりながら探検隊キット≠開ける。そして一番最初に説明書を取り出した。
「え〜と。なになに?
やあ、君達がこの説明書を見ているという事はこの探検隊キットを開けたって事だね?じゃあ早速説明するよ♪まずバッグの説明をするね♪」
「これの事ね」
そう言ってルミアはバッグを取り出した。
それを見て、俺はまた説明書を読み出した。
「そのバッグは探検隊バッグ≠ニいう物で、ダンジョンで拾った物やお店で買った物を持っている事ができる物だよ♪此処までは普通のバックと一緒だね♪でもこのバッグは君達が世界のあちらこちらを冒険していくと、バックの中に入れられる量が増えるというとても不思議なバッグなんだよ♪」
「へぇ〜。スゴいわね」
「確かプランはその中にいい物を入れておいたって言ったてけど後で確かめるか」
「だね」
そして俺はまた説明書を読み出した。
「次に地図の事を説明するね♪」
「これの事だね」
ラウルが地図を取り出した。ちょっとボロついているように見えるが、新品らしい。説明書に書いてあった。
「え〜と…。その地図は不思議な地図≠セよ♪広げてご覧♪…だってさ」
「うん」
ラウルは地図を広げる。そして其処には雲が沢山乗っていた。
「これじゃあ何も見えないよ…」
「意味ないじゃないのよ!」
「僕にあたらないでよ!」
「ちょっと落ち着けよ。まだ続きがあるからよ」
急に喧嘩を始めた二匹を俺は抑える。そして説明書を読み出す。
「その地図は君達が沢山冒険すると少しずつ晴れていくとても不思議な地図なんだよ♪だってよ。これで納得したか?」
「ああ、そう言う事ね」
ルミアが納得する。だがちょっとラウルは別の理由で納得していないようだった。多分自分にあたられたのが納得できないんだろうな。
「じゃあ次ぎな。次はバッヂの説明をするよ♪」
「これの事だね」
ココアがバッヂをそれぞれ四つ取り出す。
「そのバッヂは探検隊バッヂ≠ニいう物だよ♪もしダンジョンで迷ったポケモン達がいたらそのバッヂを使う事で此処のギルドに送る事ができるよ♪もし自分が迷っても使えるよ♪…ダンジョンって何だ?」
「あ、そっか。ライトは知らないんだったね。ダンジョンって言うのはね。“不思議のダンジョン”の事を言うんだよ」
「不思議のダンジョン?」
「ええ。“不思議のダンジョン”には理性を失ったポケモンや凶暴なポケモンが沢山いるのよ。私たちが今日行ったのも“不思議のダンジョン”なのよ」
ルミアが引き取って言った。引き取られてちょっとムスッとしたラウルだったが、ルミアは気にしない。
「なるほどな。…じゃあ続きを言うぞ。バッヂの中には種類があってリーダーバッヂ、メンバーバッヂっていうのがあるよ♪リーダーバッヂは自分と仲間、そして依頼主とお尋ね者をギルドに送る事ができるし、特別な場所…たとえば探検隊連盟などに行く時に必要になるよ♪」
探検隊連盟…その名のとおり探検隊の連盟だろうな。
「メンバーバッヂは自分と依頼主、お尋ね者をギルドに送る事ができるよ♪そしてリーダーバッヂもメンバーバッヂもランクというものがあるんだ♪ランクの種類は自分の目で確かめてみてね♪依頼を沢山こなせばポイントが貯まってランクが上がるんだよ♪じゃあ大体の僕からの説明は終わったから、後は君達の使い道次第だよ♪頑張ってね♪ともだち♪ともだち〜♪…だってさ」
結構スゴいな。
「え〜と、これがリーダーバッヂだね」
ココアからバッヂを受け取る。そのバッヂは他のに比べて少し大きかった。
「じゃあ次はバッグの中を見てみよっか」
「ああ。…ラウルが開けていいぞ」
ラウルが「やったぁ!」と言ってバッグを開ける。バッグの中には四つの布とまた説明書が入っていた。俺は説明書をとる。
「え〜と?その布はとても不思議な布なんだよ♪波動のスカーフと言われているよ♪その布に振れて目を瞑ったまま十数えてみると自分の波動の色になるんだよ♪不思議でしょ♪その布はスカーフにしてもいいしリボンにしても使えるよ♪探検頑張ってね♪ともだち♪ともだち〜♪」
「へぇ。不思議ね。じゃあ早速やってみましょうよ!」
「そうだね!」
「うん!」
「だな!」
そう言って俺たちは一枚ずつ布をとって目をつぶって十秒数えた。
「…そろそろ十秒だな」
そう言って目を開けると、其処には白から青へと変わった布があった。
「すごい!僕はオレンジ!」
「私は紫よ」
「私はピンク」
「俺は青だな」
それぞれ自分の色を言った後、俺は布をテーブルの上に置いた。
「さて、明日も早いし今日はもう寝るか」
「そうね。さすがに私眠いわ」
「じゃあ寝よっか!」
「おやすみ〜」
「おやすみ!」
「おやすみ〜」
「おやすみ」
そして俺たちは眠りについた。
ここは…どこだ…? …夢か?
《よく来てくれたな》
「誰だ!?」
《俺はお前の分身。全く同じの遺伝子をもつお前の分身だ》
そしてその瞬間、目の前に全身真っ赤なピカチュウが出てきた。
「うおっ!」
《初めまして、俺の仲間も教えるよ。全員お前と同じ遺伝子を持っているんだ》
《やっほ!》
「!?」
また何処からか声がしたと思ったら急に大量のピカチュウが出てきた。
それぞれ全員色が違う。白や黄土色、オレンジに紫などいろいろな色だ。
「誰だよお前ら…」
《残念だけど僕たちに名前はないんだ。ごめんね》
《でも一つだけ答えられるわよ。私たちはあなたが生まれたときから一緒に生きてきた者よ》
「じゃあお前ら俺の過去を…!」
《残念だけどそれは分からないの。あなたが海岸で目を覚ました時、私たちもあなたの中で目が覚めたの》
《でも、俺たちが生まれたのはお前が生まれたときだ。詰まり俺たちは生まれてからずっと眠ってきたって事だ》
《そして、君が人間からピカチュウになったのと同時に、僕たちもピカチュウになっちゃったんだ》
それぞれ言葉を引き取って喋っている。さすが同じ遺伝子…と言った所か。
《時間がないから一気に言うよ?君はこれから全てのタイプになれるし全ての技が使えるようになってしまう。だからピカチュウが使える技の範囲をしっかり覚えて、ピカチュウが使える技以外を使うときは十分な注意が必要だよ》
《もし変な組織とかの目の前で使っちゃうと狙われる可能性があるからね》
《でもあえて普通に使ってもいいかもね》
《だから全て君次第だよ》
何言ってんだこいつら。やばい。頭の中がこんがらがってきた。全てまとめると? 俺は全ての技が使える上、全てのタイプになる事が出切る。そしてピカチュウの使える技以外を使うときとピカチュウのタイプの電気タイプ以外になるときは十分な注意が必要と…?
《じゃあ僕たちはこれで。また僕たちに会う時は君が望めば会ってあげるよ。でも出てくるのは夢の中とかだから夜にならないと会えないよ》
《でも急用のときは無理矢理夢を見させるから気絶させちゃうときもあるからその時はごめんね》
《じゃあこれで》
「え、ちょ、待て
」
俺は其処で気を失った