ラン島へ
星夜達が放火をしているちょうどその頃、未希達は兄に稽古をつけてもらっていた
今、未希と優斗はスカイを見ている
「そろそろかな…?」
「そろそろのはず…」
二人が注目する中、スカイの体が輝き始めた
「「きた!」」
二人同時に叫んだ後、スカイを包む光はだんだんと強くなっていく
そして、光が消えて、その姿を見ると、小さなネイティだったスカイはいない
代わりにいたのは、同じ種類の他のポケモンに比べれば小さめのネイティオだった
「やった!スカイが進化したよ!」
未希は大きくなったスカイに抱きついた
「さすがオレとその妹!進化のタイミングもバッチリだ!」
「さすが、一つの地方の頂点に立つだけあるね」
未希は他の仲間の姿を探す
「きんー、どこー?スカイが進化したよー」
未希が少し大きめの声できんを呼んだ
するときんはすごい勢いで走ってきた
その後ろにはたくさんのポケモンもいる
「その子達…、どうしたの…?」
未希が恐る恐る口を開く
「ほら、あいつが呼んできたんじゃないか?ゴルダックの…」
未希はここでの修行をして新しい仲間ができた
最初に戦った、あのゴルダックだ
最初に挑んできただけあって、とても好戦的なのだ
「考えられるね。きん、マリンは?」
マリンというのが、あのゴルダックの名前だ
きんは後ろ、走ってきた方を向く
たくさんのポケモン達の先頭でマリンは楽しそうな顔をしていた
「軽く20はいるな。ノルマは10で、やるか」
優斗もマリンと同じで戦う気満々だ
「うーん、あのポケモン達、マリン達とは少し違う気がする…」
(とりあえず、戦おう?未希)
スカイも進化して手に入れた力を使いたいのか、戦う気満々だ。
もちろんきんもやる気十分
「タイムアタックだ!行くぞ、ジュア!」
優斗は相棒のウインディ、ジュアを繰り出した
「スカイ、きん、マリンも頑張ろね!10匹倒したら、早く次の島に行かなくちゃ!」
先に飛び出したジュアはトレーナーの支持を待っている
「ジュア、しんそく!」
「スカイ、追い風!」
ジュアはものすごい勢いで飛び出し、その勢いのまま、次々敵ポケモンにぶつかっていく
スカイの追い風もあり、一気に軽く五匹は倒した
「きん、ソーラービーム!」
きんは光を集める
岩ポケモンの多いここでは、ソーラービームはかなり効くはずだ
「マリン、後ろに下がって!」
未希は前で次々敵ポケモンの相手をしているマリンに、ソーラービームがくることを伝える
マリンが後ろに戻ったその直後、きんのソーラービームがポケモン達を一掃した
襲ってきたポケモン達はさっきまでの勢いもどこかへ飛んでいってしまい、散り散りになっていく
未希達には敵わないと悟ったのかもしれない
「おおー、未希達もずいぶん強くなったな」
優斗が感激して言う
「セイと一緒に戦ってきたんだもの。強くならない方がおかしいでしょ」
「それもそうだよな。そういえば、星夜は…、知っているのか?」
未希は優斗が何を言おうとしているのか分からず、黙っている
「あいつ、選ばれちゃったんだろ?」
ーああ、そのことかー
未希は納得した
「知らないはずよ。話してないから…」
「大丈夫なのか?」
「ぎん達にはちゃんと伝えたから…、もし、そんなことになったら、きっと止めてくれるはずよ」
優斗は悩んでいる
「ああいうことがなければ良いのにな…」
「レジェド島を守るためには…、辛い思いをする人がいないと…。皆がずっと幸せでいられる何てこと、ないんだから…」
未希と優斗はしばらく何も喋らなかった
未希と優斗は、これから星夜の前に立ちふさがる大きな壁のことを知っている
しばらくの沈黙を破ったのは未希だった
「私、そろそろ行くね」
「ああ。ラティオス達から聞いた。チーム☆PEACE☆…?ってのを追っているんだっけ。確か、ラン島にいた時、コウ島で奴らが変な実験してるって噂を聞いたぞ」
「コウ島…。セイと合流する所ね」
未希は立ち上がる
「ラン島で聞いたのね?」
優斗は頷く
「じゃあいってくるね」
「オレも…」
「お兄ちゃん!」
優斗が未希について行こうと、声をかけようとすると、未希が言葉を遮った
「気持ちだけ受け取ってくから。お兄ちゃんの仕事は、もう終わったんだからさ。新しい仕事しないと」
優斗はしばらく悩んでいる様だったが、未希についていくのを諦めた
「わかった。頑張れよ」
「うん、ありがとう」
未希達の話がひと段落つくと、ちょうどラティアスが未希を迎えにきた
未希は新しい仲間達と共に、次の島に向かうため、ラティアスに乗った
「全員で帰ってこいよ、レジェド島に」
優斗は小さくなっていく未希達に向かってつぶやいた