オウ島
チーム☆PEACE☆と戦った星夜達は森の入り口についた
「ラティオス達、次はどこに行くんだ?」
(今は適当に飛んでるし、特に行く所はない)
(そうね。うーん、未希ちゃん達のお手伝いでもしようか?)
ラティアスがアイデアを出した
「私達のお手伝いって?」
(星夜達は、さっきの白いヤツらを探しているんだろ?オレ達も、これから行く所に、もしヤツらがいたら、教えてやる)
「お、それ良いな。そうしてくれると助かるぜ」
(じゃあ、そうするわね。見つけたらすぐに知らせるわ。またね)
そう言って、ラティオス達は大空へ飛んでいった
「なかなか心強い仲間ができたな」
「そうだね。私達も、さっき行けなかったポケモンセンターに行こ?」
未希は提案しながら、ポケモンセンターの方へ足が動いている
「それじゃあ「行こ?」じゃなくて「行くよ」だな」
星夜も未希の後に続いて歩いていった
「そういえば、なんでアイツら、ラティオス達を狙ったんだ?」
ポケモンセンターに着いて、星夜は気になっていたことを口にした
「あれ?セイ知らないの?ラティオスとラティアスもあの子の友達よ?」
「あの子って…、ああ、あの子な」
未希のいうあの子が最初はわからなかった星夜だが、少し考えたらわかったようだ
「そうか、ラティオス達を捕まえとけば、後で楽に事が運ぶのか」
「もし☆PEACE☆の狙いがあの子ならね」
未希はポケモンセンターの椅子に座った
「そうだったら、どこで秘密が漏れたんだ?」
星夜も未希の隣に座る
「うーん、島民以外、島に出入りはできないはずだけどね」
未希は考えているが、なかなか答えは出ない
星夜も頭を捻らせて考える
「そういえば、未希ってどのくらい秘密を知ってるんだ?」
星夜が未希に聞く
すると、未希はさっきまでと雰囲気を変えて喋り始めた
「…全部は知らないわよ。でも、…多分セイよりは知ってるわ」
「秘密は、未希から話すことはできないのか?」
「…できるわよ。…おじいちゃんから、私がそろそろ良いかなって思ったら教えて良いって言われてるの…」
星夜は未希の言葉の途中から、驚いた顔をしていた
「なら教えてくれよ、気になるだろ?」
「…まだダメかな…。…とりあえず、ここで話すことはできないし」
「場所を変えれば良いんじゃないか?」
「そういう問題じゃないのよ…」
未希はずっと下を向いている
星夜は、かわいいモードになる
「ねぇ、未希?…早く教えてほしいな…」
未希は顔を上げない
「……私にその攻撃はきかないわよ」
「ちぇ。まぁ良いよ。まだオレには秘密を聞く資格がないってことなんだろ?どうすれば聞けるのか知らないけど、その時まで待つ」
「うん。ごめんなさい」
星夜は立ち上がった
「さて、どうする?聞き込みするか?」
「そう、捜索のことなんだけど、分担しない?」
未希は顔を上げて、提案した
「分担?確かにその方が早いかもしれないけど、戦力が落ちるぞ?」
星夜は再び座った
「それは承知の上」
「じゃあなんで?」
「なんでも」
「ちゃんとした理由ないのか?」
「セイは私と一緒に旅してたいの?」
未希はいつかの仕返しをしようと、星夜に言った。
「別にそういう訳じゃ…」
「あーあ、いつもこうならセイもかわいいのに」
未希は、焦る星夜をからかう
「ちゃんとした理由、あるわよ。知りたい?」
「当たり前だろ」
「じゃあ秘密を少し話そうかな。場所を変えよ?」
未希はポケモンセンターから出ていった
星夜も後に続く
しばらく歩いて、二人は森の前に来た
「スカイ、人いそう?」
未希はスカイをボールから出して、聞いた
(うん。沢山いる)
スカイはテレパシーを使って未希に伝えた
「じゃあ、どこに行こうかな」
未希はまた歩きだした
「あの海岸なら誰もいなさそうだぞ?」
しばらく歩いた二人は、海の近くにいた
「そうね、あそこで良いかな」
二人は砂浜の上に座った
「おじいちゃんは、セイが選ばれた時、簡単に説明したと思うけど、最初から詳しく話すね」
ーレジェド島は、この世界を作ったと言われているアルセウスがミュウの為に作った島。ミュウは、いろんな研究者から追いかけられていて、逃げ切ることは簡単だったけど、やっぱり休憩したくなる時もあった。だから、他の人には行くことも見ることもできないレジェド島を作った。人間にはたどり着けないレジェド島は、ミュウ以外の伝説、もしくは幻のポケモンにとっても、安心できる場所になった。ミュウは、いつものポケモン達だけじゃつまらないから、島にあった森に、何匹か、ポケモンを生み出した。ミュウが生み出した特別なポケモンは、他のポケモンと区別できるように、普通の色とは違う色で生み出された。きんも、ぎんも、ミュウの遊び相手なんだよ。その頃、レジェド島以外の所では、ポケモンと人間が戦争をしていた。ミュウは人間とポケモンが仲良く出来る世界を作りたかったから、レジェド島に一人の人間を連れてきた。それが私のご先祖様よ。ミュウが連れてきた人間は、平和な島をすごく気に入って、喜んで島の番人として、ポケモン達のお世話役としても沢山働いたの。それを見て、ミュウも喜んで、他の人達もレジェド島に連れてきたの。もちろん、適当に連れてくるんじゃないわよ。ちゃんと選んでからね。そして、ミュウは、レジェド島に自分の力を残したの。たとえどんな世界になっても、レジェド島がいつも安全だったのは、そのおかげ。周りからは見えないから、悪い人達が来ることもなく、台風が通っても、皆が餓死しない程度の食料は確保できた。それで、ミュウは毎年一回、レジェド島に遊びにくるの。ミュウ…、あの子がくるのは、いつも決まった時期だったの、覚えてる?ー
星夜は頷いた。
未希は再び話し始めた。
ーあの子が私達と遊ぶのにも、理由があったのよ。セイが山の神に選ばれたのは、偶然じゃない。決まった一族とか、そういうわけでもないけどね。そろそろ、あの子が私達の前に現れる時期なの。だから、☆PEACE☆の狙いはぴったりその時期とかぶる。きっと、向こうもそれを狙ったの。だから、たとえ危険が増えたとしても、早く決着をつけたいの。もし、あの子がレジェド島にこれなくなったら、きんも、ぎんも、私達も生きていけないの。レジェド島に生きる命は、あの子がいるから続いていけるのー
「ごめんね、セイ。詳しく話すとか言ったけど、言ってないことあるの」
「それは話さないのか?」
「セイなら大丈夫なはずだけど…、後でぎんとレンに話させて?」
「わかった」
星夜は未希の話を聞いて、真剣になったようだ
顔もいつも程明るくない
星夜も選ばれた者として、この話に感じるものが何かあるのだ
「じゃあ帰るか。明日から、オレ達が西の方の島、リョク島とラン島に行く。未希達は、セイ島とシ島に行くってことで良いよな」
「うん。わかった。あの子気まぐれだから、いつもより早くくるかもしれないし、できるだけ早く決着つけて、合流しよう」
「でも、連絡手段がないぞ?」
星夜が言うと、未希は得意気に言う。
「きっとラティオス、ラティアスが、明日までに戻ってくるわ」
「そうか。なら大丈夫だな」
二人は夕日の光の中に、今までと同じような平和を思い描いていた。
しかし、現実は二人を、特に星夜を絶望の谷に突き落とすように、甘くはなかった