セキ島
「まずどこ行く?」
「どうしようか…」
星夜達はレジェド島を出て、チーム☆PEACE☆のアジトを見つける船旅を始めようとしていた
このサイヒョウ列島には、島が約百島ある
☆PEACE☆から聞いた情報を元に、8島に絞り込んだが、それでも8島ある
なので、最初にどこに行くのか決め兼ねているのだ
「うーん、取り敢えず、アクアポートから一番近いところで良くないか?」
「そうね。じゃあ、まずはセキ島ね」
「だな」
二人は長にもらったチケットを使い、セキ島行きの船に乗船した
(すごい!船って泳ぐより楽なのね!)
(水に触らないでも景色を見れるんだ!)
(空を飛んだりするよりも早いし楽だね)
(へー、船って言うんだ、これー)
ポケモン達もいつもよりはしゃいでいる
周りに他の人はいないので、ぎんもきんもボールから出ている
「そういえば、アクアポートで幻の島があるとかないとか話してたな」
「幻ね…。幻って言われるくらいだから、私達はお目にかかれないと思うわよ?」
「そうかな…」
星夜は少し落ち込んでいるようだ
「セイって、そういう話好きよね」
「良いだろ?別に」
「かわいいセイの時はね。本性出してる時はあまり考えられないかも」
「そう思うのは一部の人だけだよ」
(星夜は本性、なかなか出さないもんね)
ぎんも会話に加わった
(未希は本性知ってるからね。本性知らない人から見たら、可愛くて良いんじゃない?)
「そっか、皆騙されててかわいそうね」
<ピンポンパンポーン…、まもなくセキ島に到着致します。下船されるお客様は、準備をなさりますよう、お願い致します…、ピンポンパンポーン…>
「騙される方が悪い。そろそろ着くみたいだし、ぎん達はボールに戻ってくれ」
星夜はそう言って、ぎん達をボールに戻した
「きん、スカイ、また後で出してあげるからね」
未希もポケモン達をボールに戻した
「よし、行くか」
星夜達は船を降りて、セキ島に到着した
「すみません、白い服を着た集団を見ませんでしたか?」
星夜達はセキ島の島民に、チーム☆PEACE☆の事を聞いて回った
だが…
「あ"ーーっ!なんでここの奴らはあんなに不親切なんだよっ!」
「知らないわよ」
星夜達が話を聞こうとすると、ここの島民達は質問も聞かないで足早に去っていってしまうのだ
「何かあるのかしら?」
「何があんだよ…」
未希は立ち止まって星夜に言った
「島の決まりとか?よそ者とは喋っちゃいけないとか」
「そんなヘンテコな決まりあるかよ…」
「お前さん達、この島には今日来たのかい?」
星夜達が考えているとおばあさんが話しかけてきた
「はい。オレ達、さっき到着したばかりなんですけど、誰も話を聞いてくれなくて…」
「最近、この辺りは物騒でねえ。ポケモン達がどんどんいなくなるんだよ。しかも野生のポケモン達だけじゃないんだ。だからみんな警戒しているんだろうなあ」
「え?ポケモンがいなくなる?」
「そうなんだよ。大きな真っ白い船が少し前に来てねえ、中から同じような白い人もたくさん出てきたっけ?その白い船を見てから数日たった頃に島からポケモンが消えてしまってねえ」
星夜達は顔を見合わせてから同時に言った
「「その船、どこに行ったんですか!?」」
二人同時に喋ったことに、おばあさんは驚いたような顔をした
「二人とも双子かい?まあいいか。確か、トウ島の方に向かって行ったよ?」
「ありがとうございます!おばあさん!セイ、やったね!」
「うん!これでまた少し近づけるかな?」
二人は港に向かおうとしたが、おばあさんに引きとめられた
「そんなに急いでも良い事ないさ。急がば回れというだろ?今日はもう船は出ないよ」
セキ島は、観光地ではないため、船は1日一回しか来ないのだ
「そっか…、忘れてたね。どうする?」
「とりあえず、今日はここに止まるしかないだろ?」
「そうしなさい。この島にはホテルも旅館もないから、よければうちへ来ないかい?」
「え?でもいいんですか?迷惑じゃあ…」
「久しぶりのかわいいお客様達だからね。この島に面白いものは何もないけど、良いところをたくさん知ってから旅立ってほしいんだよ」
おばあさんは二人を見て言った
「どうする?未希?」
「迷惑じゃないなら…、是非…」
「よし、決まりだね。私の家はこっちだよ。迷子にならないようにね」
「ありがとうございます、おばあさん」
「助かります」
三人は家に向かって歩き出した
次の朝・・・
昨晩、星夜達はセキ島で出会ったおばあさんのキナの家に一晩泊めてもらった
星夜達は今日、セキ島を出発し、☆PEACE☆の物だと思われる白い船が向かった『トウ島』に向かうのだ
未希はキナにお礼を言っている
「キナさん、本当にありがとうございました!」
「ご飯、すごい美味しかったです!」
星夜もキナの家での一晩を気に入った様子だ
「そんなに言わなくても良いよ、こっちが恥ずかしいよ。でも、良かったよ、そう言ってもらえてね。急ぎの旅なら仕方ないが、次に来た時はもっとゆっくりしておいきなさいね」
「はい、本当にありがとうございました。私達の用事を済ませたら、絶対また来ますね!」
「それまで元気でいてね、キナおばあさん!」
「まだまだピンピンしてるから急がなくても大丈夫だよ」
三人が話していると、船がついにやって来てしまった
「ほら、乗り遅れちゃうよ?」
「うん、じゃあさようなら!」
「絶対また来るからね!」
二人は船に乗った
キナも星夜達も互いが見えなくなるまでずっと手を振っていた
「キナおばあさん、いい人だったな」
「うん、また来たいね!」
「だな」
この旅が終わったら再びセキ島を訪れようと決めた二人でした