海岸の洞窟
「う、うう...」
そのピカチュウは目を覚ました。
「大丈夫?君、ここに倒れてたんだよ?」
そうファナが声をかけると
「!?ポケモンが...喋っている?」
と混乱したように言った。
「ポケモンが喋ってるって...君だってピカチュウじゃない。」
「...何?」
そのピカチュウはいきなり自分の手を見たり、背中側を見たりし始めた。
「どういうことだ...?」
ファナは訝しげに尋ねた。
「君、何だか怪しいね。もしかして私を騙そうとしてる?」
するとそのピカチュウは首を振った。
「いや、そういう訳じゃない。ただ、俺は人間だったはずなんだ。」
「ええっ!人間!?でも君どう見てもピカチュウよ?」
ファナがそういうと、
「そうなんだよな。だが、何も思い出せない。」
「ふーん、そうなの。まあ悪いポケモンじゃ無さそうだし自己紹介しておくね。私はティルナ。種族は見ての通りアチャモよ」
「俺は...レイだ。よろしく。」
そのとき、ティルナに誰かが体当たりした。ティルナは突き飛ばされ、レイの足元に倒れた。
「何するのよ!」
するとティルナを突き飛ばしたズバット、バリーが
「ヘヘッ、わかんねえのか?お前に絡みたくてチョッカイ出してんのさ。」
と言った。
「ええっ!」
「それ、お前のモンだろ?」
今度はバリーと一緒にいたドガース、ウィルクが言った。ウィルクが指している物は、不思議な模様が描かれた石だった。
「これはもらっとくぜ。」
「あーーーーーー!」
バリーとウィルクは石を拾うと、
「取り返しに来ると思ったら、動けねえのか?」
「じゃあな、弱虫君。」
と言い捨てて近くにあった洞窟に入っていった。
「ああ、どうしよう。」
ティルナは今にも泣き出しそうだった。
「...なら、取り返しにいくぞ。」
「え?一緒にいってくれるの?」
「ああ、だから早くいくぞ。じゃないと逃げられる。」
「あ、有り難う!」
そうしてレイとティルナは洞窟に入っていった。
-海岸の洞窟-
入るといきなり茶色い殻に足が出てきているポケモン、カブトが襲いかかってきた。
「戦わないと!引っ掻く!」
ティルナは引っ掻くを繰り出したが、カブトは倒れなかった。
(戦うって、どうやるんだ?)
そうレイが考えているとカブトがレイに引っ掻くを繰り出してきた。
「おっと」
レイは軽く避けると頬に何か溜まっているのを感じた。それをカブトに向かって放出すると体から電撃か迸り、カブトを倒した。
(成る程、こうやるのか)
とレイが思っていると、ティルナが声をかけてきた。
「レイ、大丈夫?」
「嗚呼、問題ない。」
レイがそう言うとティルナは安心したように息を吐いた。
「さて、次がきたぞ」
今度は、ピンク色のウミウシのようなポケモンカラナクシと、目が大きく左右にヒレのようなものが生えているポケモン、アノプスだった。
「私はアノプスを叩くから、レイはカラナクシをお願い。」
「了解。」
二匹はそれぞれの敵に向かって走り出した。
「電気ショック!」
「引っ掻く!」
カラナクシに電気ショックが、アノプスに引っ掻くがクリーンヒットし、二匹共一撃で倒れた。
「うん、このままあいつらを追いかけよう!」
「...嗚呼。」
ティルナとレイは洞窟を進んでいった。