二匹、考える。
「うわっ!すごい雷!!」
「今夜は嵐みたいだね……。」
シオンとシャイトは寝床の窓から外を見ていた。激しい雨が窓を打ち付ける。
「……そういえば、私とシャイトが出会った前の晩も嵐だったんだよ。嵐の夜の次の日に海岸でシャイトが倒れてたのよ。」
「どうお?倒れた時の記憶とか、何か思い出せそう?」
それを聞いたシャイトは顎に手を乗せた。
「(……どうなんだろう?うーん……、嵐があって……僕は、どうしてあそこに倒れてたんだろう……ダメだ。何も思い出せない……。)」
唸るままのシャイトを見兼ねたシオンは、
「……やっぱり難しいかな。でもまぁ、少しずつ思い出していければいいよ。」
「……うん。」
「私、これからスカーフの刺繍とかしなきゃいけないから、先に寝てていいよ。」
そう言われ、シャイトは先に寝ることにした。しばらくすると、シオンも眠りにつこうとしていた。
「……ねぇ、シャイト。シャイト、まだ起きてる?」
「うん……。」
「私、あれから思ったんだけど、シャイトに起きた不思議なめまいは……、シャイト自身のことと深く関わってるんじゃないかな……。」
「めまいと僕自身が?」
シャイトが聞き返すと、シオンは苦笑いをした。
「なんとなくだけどね。でも、そのあとの未来を見る症状なんて、私知らないし、人間が突然ポケモンになっちゃったと いうのも聞いたことがないのよね。だからこそ、その二つが大きく関わっている……。なんかそんな気がしてならないのよ。」
「シオンも色々考えてくれるんだね……。」
「もちろん。だって、私達仲間でしょ?」
「……そうだね。」
シャイトはゆっくり微笑み、考えた。
「(僕の記憶を辿るカギが、あのめまいのなかにあるのかな……。でも、もしそうだったとしても、一体それがどう関わってるんだろう……。)」
「人間だった時のシャイトがどんなだったか知らないけど、でも私、絶対いい人だと思うよ。だって、シャイトのおかげで悪いポケモンもやっつけることができたんだし。」