シオン、驚く。
―ギルド内にて。
二匹は、ギルドのポケモンと挨拶を交わして、地下1Fで待ってくれていたビッパと、お尋ね者ポスターの前に立った。
誰にしようか迷っていると、
「情報を更新します!危ないですので下がってください!情報を更新します!危ないですので下がってください!」
と同じセリフを二回警告した途端、お尋ね者ポスターの板が回転して裏側になった。
シャイトは、見たことのない仕組みに、「おぉ……。」と感嘆の声をもらし、シオンは、目が飛び出そうな勢いでビックリしていた。
ビッパの話によると、これはダグトリオが情報の書き換えをしているらしく、地味な仕事であるが重要な仕事であり、誇りに思っているとのこと。
「カラクリ屋敷の忍者が使ってそうな仕組みだね!板に張り付いて回転した時に、驚かせようかなぁ♪」
「それ、危ないよ。タイプ的に。とっさの地面タイプの技が出たらどうするの……。」
シャイトの企みを拒むシオンのツッコミ。久々に感じるのは気のせいだ。きっと。
「更新終了!危ないですので下がってください!」
ダグトリオが、そう言うと板が回転した。今更シオンは、手が見えないのにどうやって回しているのだろうと考えていた。
「内容も新しくなったから、選び直すでゲス。」
二匹は頷くと、選び始めた。選んでいると、シオンは何かを見つけて震えだした。
「ん?どうしたんでゲスか?急に震るえだして……。ここ、特に寒いワケでもないでゲスよ?」
ビッパは、そう言って周りを見回した。シオンは口も震わせていた。
「シャ、シャイト…………。見て……。一番左上のところ……。」
シャイトは首を傾げて、シオンの言うとおりに一番左上を見た。シャイトの目には見覚えのあるポケモンが映った。
そのポケモンは……、そう……。
―スリープだ。
「スリープ!アイツお尋ね者だったんだ!!また恥ずかしい間違いした……。そんなことより早くしないと……、ルリリが危ないっ!!」
「電光石火!」
「まだそんなレベルじゃないでしょ!」
「そうだった。てへっ。」
こういう時にも漫才をしてしまう二匹だった。緊張感がなさそうだが、ああ見えて結構急いでいます。
「わわっ!?急にどうしたんでゲスか!?どこに行くんでゲスか!!?」
一匹取り残されてしまったビッパだった。その頃、二匹は高速移動並の速さで交差点へ向かっていた。