シャイト、怪しむ。
「落とし物、早く見つかるといいよね。」
「シオン……。」
シャイトは、おずおずとシオンを呼んだ。
「ん?どうしたの?シャイト。そんな深刻な顔をして……。」
「話があるんだけど……。」
「えっ!?」
みるみるシオンは顔を真っ赤にしてあたふたし始めた。シャイトはシオンが思っていることを察した。
「えっと、告白じゃないからね?あのね……。」
シャイトは、さっき起きたことをシオンに話すと、とたんにシオンは驚いた。
「えぇっ?!さっき、めまいが起こって、ルリリがスリープに襲われるところをみたって!!?」
「う、うん。」
「だから、ルリリを早く助けにいこうって?それは大変だよ!大変だけど……。」
シオンは、ためらうと目をつぶって首を横に振った。
「……やっぱり私、信じられないよ。だってスリープは、すごく親切そうなポケモンだったでしょ?」
「そうだけど……。」
シャイトは心配そうな顔で言葉を詰まらせた。そしてシオンは話を続けた。
「私、さっき三匹が行くのをずっと見送ってたけど……。すごく仲良さそうにしてたよ?」
「見かけに騙されるのって、よくあるよ?」
シャイトは、このセリフを言うと、心の中で勝ち誇った表情を作った。しかし、
「見た目にも騙さちゃいけないと思うけどね。」
思いがけない返しに言い返せないシャイトは黙ってしまった。シオンは苦笑いをした。
「シャイトは、多分疲れてるんじゃないかな?それで悪い夢でも見たのかもしれないよ?」
「僕、立ち寝とか変な寝方したことないよ。」
「あ、そうなんだ……。じゃあ、何なんだろうね?私にもよくわからないよ。」
シオンは、申し訳なさそうな顔で「ごめんね。」と言うと、シャイトは体勢を立て直した。
「そっか……。そんなことより、どうしよう、早く行かないとルリリが!」
「私もそうしたいよ?でも……私達、修行中の身だから勝手なことは出来ないよ。とにかく今は、ギルドの仕事をしなくちゃ。お尋ね者を倒す準備をして、ビッパのところに行こ。」
「……うん。」
シャイトは気持ちが晴れないまま、シオンと準備を始めたのであった。