シオン、布を買う。
「その前に、買いたい物買わないの?」
「わ、忘れてた!」
シオンは、すっかり見入っていたせいで、目的を忘れていた。急いで、カクレオンに聞いた。
「赤い布、売ってますか?」
「売ってますよ♪」
「何に使うんですか?」
「スカーフを二つ作りたいなって、思って……。いくらですか?」
「余り物なので、タダでいいですよ。」
「どうぞどうぞ♪」
カクレオンは、余り物の赤い布をシオンに渡した。
「ありがとう!」
シオンはお礼を言うと、赤い布をトレジャーバッグに入れた。シャイトは懐かしくてたまらなくなり、思わず聞いてみた。
「ところで、カクレオンの親戚っているんですか?」
「えぇ、いますよ。」
「いとこから、手紙で色々なお話を聞かされます♪あっちにも、『たぁーっ!』って叫ぶプクリンが居るらしいですよ♪」
「そうなんだぁ。」
カクレオンには親戚が居て、カクレオンのいとこは、自分が救助隊をやっていた大陸に居るということを確定すると、心が踊りだした。ふと、シャイトはシオンに疑問を抱いた。
「シオンって、スカーフ作れるの?」
「裁縫とか得意だから出来るよ!刺繍も入れちゃお♪」
「刺繍って、どんな?」
「チーム名の"レノール"って入れようかなって思ってるんだ。もし、落としたりしたらわかるように。」
シオンはニコッと笑った。すると、
「スカーフなんて落とすかなぁ?」
と、シャイトは、いらないことを言ったが、
「それに……、シャイトとは仲間だからさ。絆を誓い合いたいって言うのかな?うまく言えないや。」
「なるほど。」
シオンはプクリンから伝授(?)したスルースキルを使って、シャイトを納得させた。
「どれくらいで出来るの?」
「ちょっと、家の裁縫道具持ってって……。まぁ……、一日あれば足りるかな。夜とかに、ちょこっとずつやれば出来るよ。」
「おぉ、すごいね。」
「よし、お尋ね者選ぶから、ビッパのところに行こうか。そのあとに家に戻るね。」
「うん!」
二匹は、ビッパのところへ向かった。