シャイト、眩む。
(シャイト目線)
転がったリンゴを渡したら、めまいがした。
「(な……何?今のは?…………め、めまい?かな?……。)」
そんなことを思っていると、急に視界が暗くなって声が聞こえた。
"た……、助けてっ!!"
そこで途切れると、視界が戻っていった。僕は、ハッとした。
「(な……なんだ?……。い、今……確かに助けを求める声が……。)」
そして、驚きながらルリリを見た。
「(い、今のは……、キミが言ったの?……。)」
驚きのあまり、声が出なかった。ルリリは首を傾げた。
「……?どうかしたんですか?」
「う、ううん!何でもないよ。」
やっと声が出せたが、嘘をついてしまった。申し訳ない。
「おーい ルリリ!どうしたんだ。早く来いよー!」
「うん。今、行くよ!お兄ちゃん!」
「大丈夫か?」
「うん!」
「買い物も終わったし……、あとは落とし物を探すだけだ。早く行こう。」
「うん!お兄ちゃん!」
マリル達は、また去っていった。シオンは、うっとりとした顔で見送った。
「ふふ。可愛いね。あの二匹……。」
僕は、シオンを呼んだ。
「ん?シャイト、どうしたの?」
そして、さっき起こった出来事を話した。
「えっ?さっき、助けてっていう声が聞こえなかったかって?いや。私、何も聞こえなかったよ?」
シオンは、カクレオン達にも聞いてくれた。
「カクレオン達も聞こえなかったみたい。多分、気のせいだよ。シャイト。」
シオンは僕に苦笑いをした。僕は思った。
「(いや。あれは気のせいじゃない。確かに聞こえたんだ……。あの時の声……。)」
『"た……、助けてっ!!"』
僕は、あの時聞いた声を思い出した。
「(あの声は……、間違いない。あれは……ルリリの声だ!)」
僕は確信した。シオンは不安そうに僕を見ていた。
「何、ボーっとしてるの?早く行こう!シャイト!」