二匹、出会う。
―海岸にて。
「はぁー……。潮風が気持ちいいし、クラブ達の泡も綺麗だなぁ……。」
シオンは、うっとりしながら呟いた。クラブ達の吐く泡は美しい虹色に輝いていた。
ふと、左を見てみた。
「わぁ、あのポケモン、仰向けに寝てる。気持ちよさそう……、ん?」
シオンが見ていたのはシャイトだ。バカは相変わらず健在していたが、異変に気が付いた。
「見たことないポケモンだ……。もしかして、倒れてるのかな?ちょっと起こしてみよ。」
シオンはシャイトの近くに寄り、揺さぶった。
「おーい、大丈夫ー?」
「ん……?」
シャイトは、眠たそうな片目を開けた。シオンは、ホッとした。
「あ、起きた。」
「イーブイが……しゃべってる……。」
シャイトは両目を見開いた。シオンはクエスチョンマークを浮かべた。
「私、しゃべるよ?だってポケモンの世界だから。」
「えっ!?」
シャイトは飛び起きた。シオンは驚き、少しのけぞった。
「……まぁ、いいとして。私、シオンって言うんだ。君の名前は?」
「僕は……シャイト。……人間です。」
「にんげん?どうみても、ピカチュウだけど……。ちょっと、海見てみて。」
シャイトは、うなずくと海を見た。そして衝撃を受けた。……ピカチュウの顔だったから。
「嘘……。僕、ピカチュウになってる!?え、なんで!?どうして!?こうなった記憶が全く無いんだけど!」
シャイトは混乱した。シオンは、すかさずキーの実をシャイトの口に放り込んだ。
「……キーの実って、すごいや。」
「でしょ?」
シオンは、ニコリと笑った。すると、後ろからドガース達がぶつかってきた。
「おっと、ごめんよ。」
ドガースとズバットは通り過ぎた。シオンはカケラを盗まれたのに気が付いた。
「……あ、カケラが無い!」
「悪いが、これは頂くぜ。」
「捨て台詞、決まったな。」
二匹は足早に去っていった。シオンは泣き顔になっていた。そして、シャイトの方を向いた。
「ねぇ、シャイト。私と一緒に取り返して!」
「あのカケラ、大事なの?」
「取り返してって言ってるんだから、当たり前でしょ?」
「それもそうだね。よし、僕も行くよ!」
二匹は、ドガース達を追いかけていった。