シャイト、眠る。
―その頃、海岸では。
「う……、ここは……どこだ……?」
一匹のピカチュウが浜辺に打ち上げられていた。彼の名前は『シャイト』。
シャイトは目を覚ましてみたが、視界がぼやけていて何も見えなかった。
「まだ眠いや……。おやすみなさい……。」
シャイトはボケていた。目を閉じると、突然咳こんだ。
「けほっけほっ!砂が口の中に入った!じゃりじゃりする……。」
ふと口に手を当てると、人間の手の感触ではなかった。見てみると、黄色い可愛いらしい手だった。しかし、
「僕は寝ぼけてるんだ……。まさかこんなことあるわけないよね……。また……、こんなこと……。」
寝ぼけているのは当たっている。シャイトは、今度こそ二度寝を始めた。今度は口に砂が入らないように仰向けになって。心地好い潮風が吹いた。
―数日後。
「……。」
シオンは、またギルドの前に居た。ちょっとだけ、たくましくなっているような気がする。
「今日こそ大丈夫!昨日、宝物拾ったから、これを持っていれば勇気を出せる!シオン、行っきまーす!」
と、まあ何とも言えない大きな独り言を放って、ギルドの入口に立った。すると、やっぱり、
「ポケモン発見!ポケモン発見!」
「誰の足形?誰の足形?」
「足形はイーブイ!足形はイーブイ!」
という声がした。
「うわぁっ!?」
その声にシオンは驚いて、ひっくり返った。
「前回までと同じ事してどうするの……、私よ。」
シオンは、ガクンとうなだれた。そして、長いため息をついて、宝物を地面に置いた。
「はぁ……。とある遺跡で拾ったカケラ。あの時は役に立ったけど、今回は役に立ってないよ……。あれって、空耳だったのかなぁ。」
ふと、宝物を拾った日のことを思い出した。