第五十七話 巨大岩石ぐん
「ふぅ〜。やっと終わった〜」
場所は戻ってここは残された島、機械を壊したことにより散乱したヘドロの掃除をしていたリーフはようやく島全体の掃除を終わらせ、岩に持たれながら汗をぬぐっている。
「よし!ごくろうだったな!!持って行け!!」
ダイケンキは飛行のピアノをリーフに手渡した。島が綺麗になったからか随分と上機嫌である。
「ありがとうございます。それでファイア達は?」
「あぁ?お前のお仲間達か?それならあそこにいるぜ」
ダイケンキが指差した先には・・・・・・
『乾杯〜♪』
桜の木の下でブルーシートを敷き、楽しそうに騒いでいるリーフ以外のリーファイメンバー、ストロングメンバー、果てにはなぜか船にいた筈のローブシン・ダゲキ師弟までもが花見をしていた。
「・・・・・・・・・・・」
「お、おい!?」
リーフはその花見しているメンバーに向かっていった。そして・・・・・・・
「ソーラービーム!!」
ドガアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァッ!!
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ソーラービームが直撃し大規模な爆発を起こす。その爆発で煙が発生し、誰かの悲鳴が聞こえた。
「ちょっ!?」
あまりに唐突な行動にダイケンキは目が点になる。そして煙が晴れた。
「・・・・・・・・・・・・」
その先にはボロボロになって倒れているガブリアス、ガブちゃんことマッハが倒れていた。リーフのソーラービームが直撃したと思われる。そして先ほどの悲鳴の正体も彼だろう。
『セーフ!!』
「何が”セーフ!”じゃああああああぁぁぁぁっ(激怒)!!!」
マッハは怒りながら起きあがった。恐らく彼以外のメンバーが彼を盾にしてソーラービームを防いだのだろう。
「何でおれが盾にならなあかんねん!!」
『ガブちゃんだから♪』
「いいわけになってねええええええええええぇぇぇっ(激怒)!!それとガブちゃん言うなーーーっ!!」
いつの間にかマッハとそれ以外のメンバーの口論になってしまった。
「ちょっと待った〜っ!!」
『何?』
リーフの声に口論は一時停止。
「ほったらかし?」
「あ・・・・・・・・・・・・・(汗)」
図星のようだ。全員に沈黙する。
「やっぱり怒ってる?」
「当たり前でしょ!!何黙って花見なんかしてんの!!」
普段はそうそう怒ることはないリーフだが、今回はかなり怒っている。
「わたしをほったらかして美味しいもの食べるなんて!!」
『(やっぱり)そっちかよ!!』
ファイア達はリーフの怒りの原因をあらかた承知していた。だがストロングメンバーはてっきり彼女が怒っているのは自分をほったらかして花見をしていたからだと思っていた。当然食いしん坊な彼女は食べ物のことで怒っている。確かに食べ物の恨みは恐ろしいといわれているが・・・・・・。
そして、そんななか・・・・・・・
「よっしゃ〜♪次は○○に飲みに行くで〜♪」
スパークだった。彼は相変わらず酒に酔っぱらい顔を真っ赤にしながら酒をガンガン飲んでいた。
「なんでもいいからさっさと帰ってくれ〜っ!!!!」
ダイケンキは流石に鬱陶しいと思ったのか、無理やりリーフ達を帰らせた。
場所は変わってここはローブシンの船
「まぁ、色々ありましたけどなんとか五つ目の七つの秘宝を手に入れることができましたね」
「それはいいけど・・・・・・・・
何でいるんですか?」
船にはなぜかストロングメンバーまでのっていた。リーフはそのことが気になりマッハに尋ねる。
「なんでもクソもオレ達が残された島に来た手段をしってるのか?」
マッハの質問にリーファイメンバー(酔っぱらっているスパークは除き
)は首を横に振った。
「決まってるだろう。私達はマッハ(こいつ)に乗っかってきたんだ」
代弁するようにライクが答えた。実はマッハ、波乗りという技を覚えていたのだ。だがそれにより彼は二人を乗せていく役目を担うことになったのだ。
「そ・・・そうだったんですか!?」
ファイアが驚いたような声をあげる。まぁ確かに波乗りを覚えているガブリアスなどめったに見かけないものだ。
「・・・・・・・・・・・・・・」
ふとリーフは想像していた。マッハがシャインやライクに乗られ、シャインにばしばし叩かれて酷使されているマッハの様子を。
「それよりもこの酔っ払い親父なんとかしてくれ〜っ!!!」
ウォーターが困り果てた様子で叫んだ。その親父はというと・・・・・
「はぁ〜♪よきかな〜♪よきかな〜♪」
相変わらず訳のわからないことをいいながら酔っていた。まぁそんな感じで船は進んでいた
「戻って来れましたね。やっぱここはいいですね〜」
「まぁ、あの島はちょっと前までヘドロまみれだったからな」
背伸びするファイアにウォーターが答える。
「えぇ!?それホンマかいな!?」
「あぁ、さっきファルコ保安官に聞いてみたが本当らしいぜ」
近くをすれ違うように走っていた二人のポケモンの会話が聞こえてきた。二人ともかなり慌てた様子である。更にその直後、
「えらいこっちゃで!!えらいこっちゃで!!」
「このこと速く皆に知らせないと!!」
また違うポケモン達が血相を変えて走っていた。
「リ・・・・リーフ。街の様子が・・・・」
「えぇ・・・・・・・・・・・
いつも通り平和ね〜♪」
『どこが平和じゃ〜っ!!!』
リーフの素っ頓狂な言葉に全員が突っ込む。
「でも、一体なにがあったんですかね?」
「・・・・・・・・・・さっきの奴らはファルコ保安官に聞いたと言っていた。
だったら、まずはファルコ保安官に聞いてみるのが早いだろ」
ルッグの言葉にライクが冷静に答える。
「おぉ!?リーファイさんにストロングさん!!」
現れたのはポッチャマのファルコ、サルと呼ばれているゴウカザルだった。グッドタイミングだ。
「おい!!おれをサル呼ばわりするな!!おれにはフレイムっつう立派な名前があんだよ!!」
一人勝手にほえるサルことフレイム。
「ファルコさん!!ちょうどわたし達、ファルコさん達を探してたんです!」
「それはちょうどよかった。こちらも話したいことがあって探していたところなのですよ」
どうやらお互いがお互いを探し合っていたようだ。
「それで話って何ですか?」
「はい、単刀直入に言います。実はですね・・・・・
キザキの森の時の歯車が何者かによって盗まれました」
『ええぇ!?』
「時の歯車が!!?
って・・時の歯車ってなんだっけ?」
『だあああああああああああああぁぁぁぁっ!!』
またもリーフの素っ頓狂な言葉に全員がずっこける。
「時の歯車ってのは、地域の時間を守る宝で、それをとるとその地域の時間が止まるもんなんですよ!!以前遠征で言った霧の湖で見たでしょうが〜っ!!!」
『・・・・・・・・・・・・・』
「あっ・・・・・・・・・(汗)」
突っ込むファイアだが彼も余計なことを口走ってしまう。霧の湖は秘密にしておくはずだったのに・・・・・。
「・・・・・・・・話を戻しますよ。時の歯車が奪われたキザキの森では今では風も吹かず、落ちかけている木の葉も制止したまま、本当に時が止まったかのごとく全てが制止しているのです」
真剣な表情でファルコは話した。その彼の表情にリーフ達も真剣な顔になる。
「で、その犯人は!?」
「まだ、はっきりとは分かっていません。我々もこれからキザキの森に捜索に向かうつもりです
いくぞ、サル」
「誰がサルじゃ〜っ!!!」
「お前だよお前」
ファルコとフレイムが口論をしながら去っていった。そこに別のポケモン達が現れる。キモリのグラスと白衣を着たラグラージのラックだ。
「久しぶりだな」
「貴方方は・・・・・・」
『台本通りにしかできないキモリさん!』
「その言い方止めろ!!」
リーフのボケにマジギレするグラス。全く大人げない。
「あ〜っ!!!あの最強の救助隊ブラザーズだ!!」
「ブラザーズってキモリとラグラージのコンビの最強の救助隊!?」
「・・・・・・・・・・・・」
マッハがグラス達を指差しながら叫んだ。それにシャインとライクは驚いた様子で言う(正確にはライクは黙ったままだが)。グラスは自分の正体を明かされたくなかったのか頭をかかえる。
「はぁ・・・・・・・・・」
「えぇ〜っ!!まさかあのブラザーズがここに!!?」
「凄〜い♪」
マッハとファイアとルッグは目を輝かせながらグラス達を見つめていた。グラスは面倒くさそうな表情を浮かべている。
「す・・凄いです!!!あの〜、サインを!!・・・・・・」
「しょがねぇな〜」
ファイアはサイン色紙を取り出す。それにこたえようとラックはどこからかペンを取り出す。
「上げます!!」
「いらねぇよ!!」
実は色紙には”ラグラージさんへ、ファイアより”と書かれていた。彼のボケ(?)にラックはまっとうに突っ込んだ。
「それより、一体どうしたんですか?」
「あぁ、戻ってきたばかりで悪いがお前達にまた頼みたいことがあってな」
『頼みたいこと?』
グラスの言葉にリーフ達はハモるように聞き返す。
「あぁ、さっき保安官の話で時の歯車が盗まれたことは知っているな?」
ラックの言葉に全員がうんうんと頷く。
「それをお前さん達に時の歯車の捜索の協力してもらいてぇ訳よ」
「本来ならわたし達も行こうと思ってるのだが・・・・・・」
「それで年だから行けないと」
グラスの言葉を遮るようにファイアが言う。グラス以外のメンバーがその言葉に笑いかける。
「おい、それは言いすぎだろう
いくらなんでもクソじじいとか台本も読めない年よりキモリだとか言うもんじゃない」
「お前が一番酷いだろうが!!」
ラックのはファイアに注意するが、彼が一番グラスに暴言を吐いていたためグラスに殴られる。
「とにかくだ。わたし達だけでは人手が足りない。そこでお前達にまた協力を依頼しようと思ってな」
「それで、時の歯車の場所に先回りして犯人を捕まえればいいんですね?」
リーフの問いかけにグラスは”そうだ”と答えた。
「じゃあ、戻ってきたばかりできついだろうが、頼めるか?」
『はい!!』
リーフ達四人は元気よく返事をした。内心グラスはほっとしていた。
「でも、時の歯車ってそこらじゅうに散らばっている訳じゃないですよね?どうやって探せばいいんですか?」
ルッグの言う事はもっともだ。時の歯車などそこいらにある訳がない。
「心配するこたぁねぇ。オレが調べといたからな。この地図を見てくれりゃあわかるからよ」
そう言ってラックは一つの地図をとりだした。そこには印がつけられている。
「巨大岩石群というとこだ。そこの最深部に隠されてるぜ♪じゃ、頑張れよ♪」
そう言ってラックは去っていった。後を追うようにグラスも去る。
「なぁグラス」
「なんだ?」
「あのことはいつになったら確かめるんだ?」
ラックの言うあのこととは前回グラスが最後に言っていたことだ。
「それはあとだ」
「何で?」
「今日はこの救助依頼が優先だ」
グラスはそう言って、一枚の救助依頼の紙を取り出した。ラックはそれをどれどれといいながら読み始める
「え〜と”遭難して寒くてこごえそうです。助けてください”
依頼主はユキノオーで、場所は炎の山か」
「行くぞ」
「いや、おかしいでしょ!!」
どこから突っ込んでいいのかわからない依頼にファイアは後ろから突っ込んだ。
「まぁ、依頼の文章は置いといて、わたし達は巨大岩石群に向かいましょう!!」
『はい!!』
リーフの掛け声にファイアとルッグが返事する。
「って、その前に・・・・」
ウォーターが勢いづいた空気を冷めるような発言をする。
「この親父の回復を待ってやってくれ(汗)」
スパークはなぜかマッハに異様に絡んでいた。この後マッハは色々とスパークに絡まれ、いじられまくったのは言うまでもないか(?)
「ヘヘヘヘヘヘ、いいこと聞いたぜ」
今までの会話を終始盗み聞きしていたポケモン達がいた。ドクローズだった。
「しかしヒトカゲアニキ〜、時の歯車なんか盗んでどうするつもりなんですかい?」
下っ端のスカタンクがボスのヒトカゲに尋ねる。
「お前らもバカだな〜。いいか、時の歯車を盗むような奴がいるんだぞ。だからそんなことするには相当な理由がある訳だ。そこで俺様達が先回りして盗んでおいてそいつを時の歯車で脅して大金を手にするって訳よ」
ヒトカゲは自分の考えた悪だくみを手下たちに話した。
「成程!!」
「流石アニキですな!」
「悪さだけは一人前っす!!」
部下達は彼に称賛(?)する。
「くくく、ありがとよ。それよりも腹が減ったな。お前ら、何か食い物持ってこい。そうだな・・
リンゴとオレンの実と白いグミが食べたい。さっさと持ってこい!」
『へい!』
スカタンク達は食料収集に向かった。
「持ってきました〜。どうぞ」
ズバットは翼にリンゴを持っている。それをヒトカゲに手渡す。
「うん!うまい!!」
ヒトカゲは美味しそうにリンゴを食べる。
「オレンの実持ってきました〜」
今度はドガースが。どうやって木の実を持ってきたかは想像にお任せします。
「うむ!!いいぞ!!」
また、美味しそうに木の実を食べる。
「あとは白いグミだが・・・・・」
「お待たせしました〜」
今度はスカタンクが持ってきた。
「うむ、それじゃあ・・・・・・・
ん?」
ヒトカゲは渡されたグミを食べようしたが、なぜか食べるのを止めた。そして渡されたグミを凝視する。
「これ・・・・・・・・・
白いグミじゃなくて透明グミじゃねぇか〜っ!!」
「えええええええええええええぇぇぇぇぇっ!!?」
ヒトカゲは怒りながら白いグミではなく透明グミを放り投げた。スカタンクはこのことに驚きを隠せない。
「いや・・・だって見た感じはどう見ても白いグミじゃ・・・・・」
「だから違うわ〜っ!!!火炎放射!!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ヒトカゲは問答無用でスカタンクを焼きにかかった。スカタンクは真っ黒に焦がされましたとさ♪
この後透明グミは美味しく頂きました by蝙蝠