第五十四話 不死身の理由
不死身のキノガッサの城にもぐりこんだリーファイ&ストロング。珍妙な光景を目にしたもののそれ以降は特にトラブルはなく、いよいよボスのキノガッサの部屋と思われる扉の前についたのだが・・・・・
「・・・・・・・・・・・また妙な物音がしたな・・・・。しかも何だこれは・・・」
ライクは扉を指(?)さしながら怪訝そうな顔つきで呟く。その先は・・・・・・・
突然だが時間は少しだけさかのぼる。
「よし!今回こそは優勝だ!!」
この城の主、キノガッサが何やら必死にしていた。実は彼もまた、他の格闘ポケモン達と同じようにゲームしていたのだ。(ちなみに彼がプレイしているのはSFCのマ○オカー○である)
「キノガッサ様!!城に侵入者が入りこみました!!」
扉をけたたましく開けて入ってきたのは、キノガッサの手下と思われるドリルポケモン、ドサイドンが入ってきたが・・・・
「邪魔だ!!画面が見えないだろ!!」
「す・・すいません!!」
ドサイドンはテレビの真正面に突っ立ってしまい、キノガッサから画面が見えないようにしてしまったのだ。
「今ので抜かれてしまったじゃねぇか!!くそっ!!」
そのせいで彼はまたしても優勝を逃してしまった。当然彼の怒りの矛先はドサイドンに向けられる。
「このバカモン!!勝手にテレビの前にたつんじゃねぇよ!!」
キノガッサは説教しながらドサイドンを室外に連れて行った。
「出てけ!!この”入るな”の張り紙が見えなかったのかよ!!侵入者が入ってきたそうだけどよ・・・
入ってきたらお前らでなんとかしろよ!!」
「す・・・すいません・・・・」
話を戻そう。今リーフ達が目撃しているのはキノガッサがドサイドンを説教している光景だった。しかもなぜか彼の喋り方が普通になっている。
「せっかく二十三回目の正直が成功するかと思ったのに・・・・
二度と入ってくるなよ!!」
バタン!!
そう怒りながら言い残してキノガッサは去っていった。残されたドサイドンはどこかむなしそうな雰囲気を醸し出しながらその場を去っていった。そしてリーフ達とすれ違いざまに・・・・
「おやすみなサイ・・・・・」
そう言い残して去っていった。
「A○かよ!!」
ウォーターに突っ込まれてもドサイドンはスルーしていった。
「突っ込むぞ・・・・」
ライクが構えながらそう呟いた。
「何で今から?」
「奴は今、ゲームを妨害されて苛立っている。その時に戦闘を仕掛ければ心理的にはこちらが有利だ」
「そうか・・・・・・」
マッハはライクのアイディアに納得していた。
「行くぞ。バレットパンチ」
ライクは自身の手を鋼鉄化させて扉を破壊した。
「なっ!?・・・・・・・・・・・・ぐはっ!!」
扉を壊してもバレットパンチの勢いは衰えず、そのままキノガッサに殴りかかる。突然の出来事に反応しきれずにキノガッサはそのまま殴り飛ばされる。
「な・・・何事だ!?」
キノガッサは自身が攻撃された方向に振り返った。そこには以前自分の邪魔をしたハッサム達がいた。
「ぬっ!!ユー達は・・・・・!!」
「覚悟しろ。今度こそ貴様をこの島から駆逐する」
ライクは両手の鎌をキノガッサに向けて構える。しかしそれでもキノガッサは焦る様子を見せない。
「ぬっ!!ユー達何しにここに来た!」
「そんなの決まってるでしょ。ここに来たのは
3DS貰いに来ました〜♪」
ズドッ!!
リーフのボケに全員(キノガッサ含め)ずっこけてしまう。
「違うでしょうが!!全く!!」
ファイアが怒り気味に注意する。
「ポケモンBWも忘れてるじゃないですか♪」
「そっか!」
「お前らいい加減にしろ〜っ!!あのキノガッサの討伐!!そして七つの秘宝だろうが!!」
そんな二人にウォーターが突っ込む。まぁいつも通り(?)の光景である。
「とにかくキノガッサ。何であんたはこの島中に毒を仕込むなんて真似をしたんですか?そんでどこに七つの秘宝をかくし持ってたんですか?」
ルッグの問いにキノガッサは口をわずかにつりあがらせながら答える。
「決まってる。ミーにとって・・・・「ヘックショイ!!」あの毒があることによって・・・「ヘックショイ!!」ミーのボディが「ヘックショイ!!」・・・・・・・・・・・」
キノガッサの説明中にファイアが何度もくしゃみを連発した。
「こら〜っ!!そこのヒノアラシ!!なぜミーが喋っている最中にくしゃみを連発する!?」
「は・・・鼻水が・・・・
いや、違いますよ・・・。ここ花粉が滅茶苦茶多いから花粉症のぼくにはきつくて・・・・ヘックショイ!!」
ファイアは自分が喋っている最中にもくしゃみを出してしまう。
「とにかく七つの秘宝はこの城の裏に・・・・「ヘックショイ!!」そして、ヘイそこのハッサムボーイ。ミーにウィン「ヘックショイ!!」できるとでも?」
「ハンサムボーイ見たいに言うな!!」
キノガッサの言葉にスパークが突っ込む。くしゃみは続いているがそろそろスルーの方向で。しかしその言葉を聞いて一人のポケモンの様子が豹変する。
「おい・・・貴様・・・私のことをなんと言った・・・・・」
「ん?ミーにウィンできる・・・」
「その前だ・・・」
「ハッサムボーイがどうした?」
キノガッサの言葉を確認してライクは・・・・・」
「私は・・・・・・・・・・・・・・・・
♀だ!!!」
ライクが激昂した表情でキノガッサにきりかかったが、間一髪のことろで交わされる。人知れずリーファイメンバーもこの事実に驚いていた。
「(知らなかった・・・・・・)」
「(てっきり♂かと・・・)」
リーフとファイアは心中でそう思っていた。当然のごとくウォーター達も同じようなことを考えていた。
「マッハ!!あれの準備しろ!!」
「は・・・はい!!」
ライクに怒鳴られマッハは思わず背筋を伸ばしながら答える。
「剣の舞!!」
マッハは自身の気合を高める戦いの踊り、剣の舞を使用した。この技により攻撃力が大幅に上昇、ガブリアスの攻撃力の高さもあいあまってかなり凶悪な攻撃力となっている。
「・・・・・・・・・・・うがあああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
突如マッハが奇声を発してキノガッサに殴りかかった。だがこれは”逆鱗”というれっきとした技である。
「甘い!!守る!!」
キノガッサは緑色のバリアを自分の周りに発して逆鱗をガードした。しかし逆鱗はまだおさまらない。
「身代わり!!守る!!」
キノガッサは自身の体力を削って文字通りの”身代わり”を出して、さらに守るで逆鱗を防いだ。守るは連続では使用できない。だが身代わりを間に挟んだことで確実に守るを成功させたのだ。
「・・・・・・・・・・・・」
マッハは逆鱗の反動で混乱状態になってしまった。目を回してしまっている。
「うっとおしい戦法ですね・・・」
ルッグが困った表情を浮かべていた。何度も攻撃をスカされると、攻撃側としては鬱陶しいと思うのも無理はない。
「でも、身代わりは何度も出せないから一気に攻めれば!!」
そう言ってリーフは葉っぱカッターを出した。
「身代わり!!」
またキノガッサは身代わりで攻撃をかわした。しかしこれもリーフの想定の範囲内だった。身代わりを多く出させて体力の消耗を図ったのだが・・・・・
「火炎放sヘックショイ!!」
ファイアはくしゃみで火炎放射を暴発させてしまうが。狙いはキノガッサに向けられている。
「守る!!」
「冷凍ビーム!!」
「身代わり!!」
攻撃が連続で繰り出されるも、キノガッサは余裕で交わし続ける。それも何度も繰り返して身代わりを出し続けていたのだ。
「無駄ネ!!ユー達のアタックなどミーには意味などナッシングネ!!」
キノガッサはバカにした笑みを浮かべる。リーフはその言葉に唇をかむが彼の言うとおりまともに攻撃が通らずに疲弊していくだけだった。
「(くっ・・・ここは一旦引くしかないわね・・)みんな・・一旦引きましょう・・・」
リーフは小声で他のメンバーに伝えた。
「(な・・ふざけんなよ!!逃げるのかよ!!)」
ウォーターは納得がいかずに反論する。しかしリーフは説得を続ける。
「(わたし達は安易にキノガッサに戦いを仕掛けてしまった。説得力はともかくあのカイリキーの言うとおり不死身のカラクリを一度明かさないと勝ち目はないわ・・)」
「(・・・・・・・・あぁ・・・)」
リーフのまじめな表情にウォーターも納得した。そして一行は逃げる準備をした。
「逃がさないネ!!」
逃げるリーフ達をキノガッサは追いかける。そんなキノガッサにリーフは・・・・・・・・
「(こうなったら・・・)
ヒヒダルマが転んだ!!」
「うぐっ・・・・・・・」
人間でいう”ダルマさんが転んだ”である。キノガッサは反射的に動きを止めてしまう。
「今のうちに!!」
「あいつ結構バカですね!」
「シット!!逃げられたか・・・・・・」
キノガッサが止まったすきに、逃げ切ることができた。
「ふぅ・・・なんとか逃げ切れたようだな」
マッハが一息つきながらそう言った。
「でも、リーフちゃんの言うとおりあいつの弱点を探さない限り勝てないよね?」
シャインの言葉に少しの間沈黙してしまう。そこに四人分の影が。
「おぉ!!ここにいたのですね!!」
ゼニゼニズだった。彼らはあの後ダイケンキに言われビンを渡しに来たのだ。
「確かゼニゼニズさんだったっけ?なぜここに来たんだ?」
そんなことは露とも知らないスパークは彼らがここに来た理由を尋ねる。
「実はダイケンキさんに頼まれてこれを持ってきたんですよ」
リーダーの赤いメガネをかけたゼニガメはカバンから液体の入っているビンを渡した。
「なんだこれは?」
「我々もよくわからないのですが、あの人がおっしゃるにはキノガッサを攻略しうる手段だとか」
「キノガッサを!!?--------うぐっ!!」
ルッグは大声を出してしまいリーフに口をふさがれてしまう。
「しかし、これが何か分からないのか・・・・」
「困りましたね」
ライクが困ったような口調で呟き、ファイアも同じような口調で呟く。
「本当なら我々もキノガッサ討伐に移りたいのですが、力不足で皆さまの足を引っ張りかねません。ご健闘を祈りますよ」
そう言い残してゼニゼニズは去っていった。
「・・・・・成程、そういうわけね♪」
リーフは満面の笑みに納得した表情を見せた。それは不死身の攻略法を見いだせたようだった。
「どういうことだ?」
「実は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
他のメンバーにリーフが自身のアイディアを話した。そしてカバンの中にビンを入れる。
「さて、キノガッサを探さないとね」
「その必要なないネ!!」
キノガッサが現れた。
「今度こそは逃がさないネ!!ミーの邪魔をしたことを後悔させてやるネ!!」
「(ルッグさん・・・・・)」
「(分かりました)」
リーフはルッグに何かしらの合図を出していた。ルッグはその合図に首を縦にふり、キノガッサのまえに立つ。
「フン!ユーのようなチンピラなどミーがひとひねり・・・・・」
「ケッ!その割にはあんた、補助技ばっか使ってますよねぇ。攻撃もしないで何がひとひねりですか。やれるもんなら拳でやってみな〜。あっかんベーwwww」
ルッグは舌を出してキノガッサをバカにした。勿論これは”挑発”というれっきとした技である。これによりキノガッサは攻撃技しか出せなくなった。
「なっ!おのれ〜っ!!どこまでミーをバカにする気だ!!マッハパンチ!!」
「それっ!!」
リーフはキノガッサの正面に立ちカバンを投げ捨てながらゼニゼニズから貰ったビンを取り出し投げつけた。
「無駄だ!!」
「-----っ!」
しかしキノガッサのマッハパンチの勢いは完全には落ちずに、リーフは真正面からマッハパンチを受けてしまう。しかしその直後、攻撃したキノガッサの表情が豹変し、逆に攻撃を受けたリーフの方は最早勝ったような笑みを浮かべる。
「ぬっ・・・・こんな液体ごときでミーを攻略など・・・・
ぐっ!!」
突如キノガッサは膝をついた。それに加え彼の表情が一気に苦しそうになる。
「な・・・なんだ!これは!!」
「ポイズンヒール・・・・」
苦しそうなキノガッサに向けてリーフはこう言い放った。その一言でキノガッサは顔が真っ青になる。
「あなたはこの島に大量の毒を流した。それはあなたの不死身の理由、特性”ポイズンヒール”を生かすために・・・。違う?」
「なっ!!なぜそれを!!」
キノガッサは自身の不死身のカラクリ、ポイズンヒールを見破られ愕然となる。
さて、読者の方はいい加減ビンの中身が何か気になるところだろう。先ほどのリーフの話では特性の話が出た。また少しばかり時間は遡る。
「なんだろうなこのビンの中身は・・・・・」
一行が正体を探っているときに、ふとリーフはビンの底を見た。そこにはラベルが貼られていて、そのラベルにはこう書かれていた。
ウツボットの胃液
「(何でこんな分かりにくいとこに・・・・・)」
リーフはまっとうに突っ込んだ。ちなみにこの胃液とは特性を無効化する能力がある。この胃液をかけられたためキノガッサの特性”ポイズンヒール”は無力化されてしまったのだ。
「ポイズンヒールって・・・なんだ?」
「毒状態になると回復する特性のことですよ」
一人首をかしげるウォーターにルッグが説明を加える。
「くそがっ!!マッハパンチ!!」
「蔓の鞭!!」
「ぐはっ!!」
キノガッサの攻撃を受けても難なく蔓の鞭で反撃される。マッハパンチには明らかに威力がなかったのだ。
「リーフストーム!!」
「ぐはあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
大量の葉の嵐をまともに食らったキノガッサ。たとえ効果はいま一つとはいえ草タイプでも屈指の高威力技をまともに食らったためかキノガッサはそのままダウンする。
「(つうかリーフ(あいつ)が一人で倒したな・・・・)」
こっそりとマッハはこんなことを考えていた。
「さて、どうしてくれるか・・・・・」
「す・・・すまない!!」
「!?」
ライクが詰め寄ると、いきなりキノガッサが土下座した。その意外な光景にリーフ達は困惑する。
「ミーはバトルが弱くていつもバカにされてた・・・・。いつも弱虫ガッサとバカにされ・・・・。
だから・・・・」
「腹いせに毒を流して苦しめていたと・・・・」
スパークの言葉にキノガッサは黙って頷いた。
「関係ないポケモンには済まないとは思ってたが・・・・。止めることができなくて・・・・」
「謝る相手が違うんじゃないの?」
「えっ・・・?」
リーフの言葉にキノガッサは思わず顔を上げる。
「わたし達よりもまずは島のポケモン達に謝らないと」
「あぁ・・・・そうだな・・・・。でも・・・・」
「大丈夫♪気持ちを表せばきっと分かってくれるわ」
「・・・ありがとう・・・」
キノガッサは小声でお礼を言った。その時彼の目に一筋の涙が浮かんだ。
「じゃあ集落に戻りましょうか」
リーフはそう言って城を後にしようとした。
「待ってください!!」
ファイアが呼びかける。
「カバン忘れてるぞ!!」
ウォーターが先ほどリーフが投げ飛ばしたカバンを拾いながら突っ込んだ。やはり最後がしまらないのであったとさ♪