第五十一話 不死身のキノコ
ここは残された島。リーファイとストロングメンバーがいた場所から少し離れたところで戦闘が起こっていた。そこにいたのはキノコの頭をしたポケモン、キノガッサが貝の甲冑と身につけた髭が特徴的な貫禄ポケモン、ダイケンキと闘っていた。
「ちっ、相変わらずしつけぇ野郎だぜ・・・・」
キノガッサと闘っているダイケンキが忌々しそかつ疲弊しきった様子で呟く。
「フン、ユーの攻撃などミーのパーフェクトボディには意味などナッシングネ!!」
キノガッサはまるでル○大○のような喋り方でダイケンキを馬鹿にする。だが彼の言うとおりキノガッサの体には傷一つなく、逆にダイケンキの体は見るからに疲弊しきっている。
「さて、これでフィニッシュネ!!マッハパンチ!!」
「バレットパンチ!!」
「「なっ!!?」」
キノガッサの攻撃を阻むかの如く鋼鉄の拳が飛んだ。ダイケンキの前にはハッサムのライクが立っていた。
「ぬっ!!ユーは何者!?」
「答える必要はない。燕返し」
「くっ・・・守る!!」
キノガッサはライクの燕返しを薄緑色の壁でガードする。それでも燕返しはキノガッサには効果抜群の技、彼の体に軽い衝撃が走る。
「なかなかやるね。だがミーのボディはフォーエバーにキープされるのサ!!」
「シャドーボール!!」
「大文字!」
今度は後から遅れてきたシャインとマッハの攻撃が飛ぶ。だがその攻撃もキノガッサに反応され交わされてしまう。
「シット!!また邪魔が入ったネ・・・・・。ここは一旦引かせてもらうネ!!」
「そうはいきませんよ」
キノガッサの後ろにはすでにリーファイメンバーが彼を取り囲むように立っていた。
「ヘイ、そこのチコリータ、ミーが通るから道を開けてもらうネ」
「嫌です」
「緑グミをギブしよう」
「どきます」
あっさりとどきやがった・・・・・・。そのせいでキノガッサはあっさりと逃げてしまった。
「このアホ!!」
「とにかく助かったぜ、ありがとよ。もしかしてお前らが俺様の依頼した探検隊”ストロング”か?」
「はい、依頼を受けて来たストロングです」
「そうか、ところでこのガキどもは一体誰だ?」
「・・・・・・ちっ」
見ず知らずのポケモンにガキ呼ばわりされ、ウォーターはこっそり舌打ちをする。
「ちがうんです。この子たちも探検隊で七つの秘宝を探しにここに来たんですよ」
フォローするようにマッハが説明する。
「おっと!!こりゃ失礼。探検隊だったか!!こりゃすまねぇ!!」
言葉とは裏腹にダイケンキの言葉は先ほどと同じトーンである。
「それで、一体何があったんですか?」
「ああ、ここで話すのもあれだからオレの家に来てくれ」
一行はダイケンキを先頭に彼の家に向かっていった。そこは集落とは少し離れていた
「ここだ」
ダイケンキは自分の部屋にリーファイとストロングを入れた。そこは性格に合わずきっちりとかたずけられていた。
「おい!!性格に合わずは余計だ!!
と、まぁ事情を話すぜ。オレ様がいつも通り島の見周りをしていたんだが、地面が紫色に変色していたんだ」
「それって、今島中にあふれている毒のことですよね?」
リーフの問いにダイケンキは”そうだ”と答える。
「それが気になって俺様はその汚ねぇ物質を調べたんだが、そうやらこれは黒いヘドロが主成分らしい」
ダイケンキが言う黒いヘドロとは、本来はポケモンの道具の一種であり毒タイプのポケモンの体力を少しずつ回復する代わりにそれ以外のポケモンの体力を徐々に削っていく道具なのだ。
「さらにこの物質は黒いヘドロの成分に毒毒玉の成分も入ってたらしい」
毒毒玉とはもとは人間が作った戦いの道具で所持したポケモンを猛毒状態にする危険な道具だ。しかも所持している限り毒を治したとしてもすぐに毒状態になってしまうのでこのメンバーで例えるならルッグの特性”脱皮”なども意味をなさないのだ。勿論猛毒状態は普通の毒状態よりはるかに強い毒である。
「こんなモンを流され続けちゃ、俺様も我慢の限界ってもんよ。ヘドロ流した先を突き止めてブッ飛ばしてやろうと思ったんだが・・・・・」
「「だが・・・・?」」
徐々に威勢をなくしていくダイケンキの言葉にリーフとファイアは復唱するように彼の言葉をまねる。
「あいつは何度攻撃してもちっとも倒れやしねぇんだ。どれだけ攻撃しても倒せねぇから不死身のキノガッサと呼ばれてるんだ」
「ふじみって、味噌汁の具にしたらおいしい貝の一種?」
「って、そりゃしじみだろうが!!」
「頑張れ!頑張れ!できる!!」
「あの人のネタでもねぇよ!!確かにしじみネタ多いけど!」
リーフのボケにウォーターが突っ込む。
「しじみってあたしみたいな外見のことでしょ?」
「それはぶきみだろうが・・・・・・」
今度はシャインとライクが。
「・・・・・・・・・・・(汗)。とにかく話しを続けるぞ。それからというもの、あのキノガッサはあれからこの島を好き放題しやがって、しまいには城まで建てやがったんだ!!完全に自分のものにしやがったんだ!!」
ダイケンキは体を震わせながら話した。それは怒りによるものだと誰の目にもとれた。
一方その頃ローブシン・ダゲキ師弟は、
「・・・・・・よし。いまならあいつがトイレに行ったいまの隙に・・・・」
「何してるんすか師匠♪」
「あっ・・・・・・・(滝汗)」
辺りを警戒しながら船の舵を取ろうとしたローブシンだがギリギリのタイミングで見つかってしまう。
「まだ、懲りないようッスねぇ・・・(黒笑)」
「ちょ・・・・これは軽いジョークだ・・・・(滝汗)」
真っ黒な笑みを浮かべながら師匠に詰め寄る。
「まだやられたりないようなんで遠慮なく・・・・(黒笑)」
「ぬわあああああああああああああああああぁぁぁっ!!
おい!!ちょっ!!そっちには曲がりません!!」
何が起こっているかはご想像にお任せします♪
「”♪”じゃねぇよ!!」
「いや、いる!?さっきのシーン!?」
「どう考えてもいらんでしょ!!」
「だぁ〜っ!!あんな変な師弟は置いといてお前ら!!あのキノガッサをぶっ潰してくれ!!いいな!!」
「「は・・・はぁ・・・」」
有無を言わせずダイケンキは二組の探検隊に討伐依頼をした。尤も二組とも受ける気ではいたのだが・・・・・
「よし!!じゃあこれは俺様の選別だ!!持って行け!!」
そう言ってダイケンキは持っていたカバンを逆さにし、大量の種を落とす。
「これを・・・・持って行って・・・」
「かまわん!!さっさと持ってけ!!」
リーフの言葉が終わらないうちにダイケンキはせかすように言う。リーフとシャインは彼が落とした種を拾い自分達のカバンに入れる。
「よし!!じゃあ頼むぜ!!」
「「はい!!」」
返事のあと(なぜか)マッハを先頭にリーファイ・ストロング両チームは家を後にした。
「おい!!あいつの城は逆だぞ!!」
「いや、ちょっとトイレに・・・・」
「城に行け!!」