第四十八話 ネズミオヤジと見た目チンピラ君 3
「それにしても、さっきの技はなんだ?」
バンギラスは今思っていた率直なことを口にした。事実地面タイプに電気技が通るなんて普通ではありえない。
「”水浸し”って技を知ってるか?」
「「はぁ!?」」
明らかに素っ頓狂なことを喋られたか二人ともきょとんとする。
「・・・・・・・・・成程な・・・」
クロスが納得した表情を見せる。
「どういうことだクロス?」
「彼の体をよ〜く見てみな」
クロスにいわれバンギラスはスパークの体を凝視する。
「何見てんだゴルァ!!」
「仕方ないだろ!!」
スパークが凝視されるのを拒みバンギラスと口論を始めてしまう。
「成程な・・・・・自分の体中の水分を大量に放出して相手を”水浸し”、即ち水タイプにしたわけか。そしてその反動で水分を大幅に消費したと・・・・」
「そゆこと♪」
「しかし・・・・何で水分補給にビールだ・・・(汗)」
バンギラスはかなり呆れた様子である。
「よし、この作戦は成功しそうだな・・・・」
街のはずれでこの騒ぎを傍観している者がいた。そのポケモンの台詞からしておそらくこの騒ぎの首謀者だろう。
「それはどうですかね?」
「何!?」
ポケモンがそう呟くと背後から声がした。ズルズキン一行だ。
「がっ!!貴様があの時の!!」
「誰かと思えばあんたですかい」
その首謀者と思われるポケモンフライゴンは彼を見るや否や怒りの様子を見せる。
「誰なの?」
「知ってるんですか?」
「なんか馬鹿そうな奴だな」
ジャローダ・ファルコ・ゴウカザルが一斉に尋ねる(尤もサルは尋ねていないが)
「あいつは馬鹿で間抜けで自称王様の馬鹿でアホ丸出しの・・・」
「そこまで言うか〜っ!!」
「ところでなんでこんなことを!?」
ズルズキンの酷すぎる紹介に怒るフライゴン。
「決まってんだろ!!あまりにおれの扱いが悪いから復讐だよ!!復讐!!」
ズルズキンはあきれ果てた様子であった。しかし一人だけ様子が違っていた。
「そんなくだらない理由で街のポケモン達を・・・許せない・・・・」
「(うぐっ・・・・・)」
ジャローダだった。彼女は元から大きな体を更に大きく伸ばしフライゴンを凄まじい形相で睨めつけた。
今までの臆病な彼女からは想像もできないほど凄まじい形相から醸し出される威圧感にフライゴンは体が硬直してしまう。
「殺ってる〜っ!!」
ゴウカザルがフライゴンに向かって突っ込んでいった。
「馬鹿野郎!!安易に突っ込むな!!」
「大丈夫よ♪」
ファルコの焦る様子とは対照的にジャローダは余裕の表情を浮かべる。
「めざめるパワー!!」
「はっ!!返り討ちだ!!大地のちかr・・・あれ・・?」
突如技を出そうとしたフライゴンの体が硬直した。体が思うように動かなずまともにめざめるパワーを食らってしまう。
「ふごふぁっ!!」
フライゴンは技の勢いで大きく吹き飛ばされてしまう。ゴウカザルのめざめるパワーは氷タイプ、地面・ドラゴンのフライゴンには効果は抜群なのだ。
「がはっ・・・このクソ猿!!何しやがった!!あと技がガチすぎるぞ!!なんでめざパ氷持ちだ!!」
「誰がクソ猿だ!!別になにもしてないぞ!!あとこれは作者のせいだ!!」
フライゴンとゴウカザルが不毛な言い争いを始める。
「どういうことです?」
「さっきフライゴン(あいつ)を睨んだ時、”蛇睨み”で麻痺を仕込んでおいたのよ♪」
「なっ!!」
そう、先ほどジャローダはフライゴンを技として睨んだのだった。体が硬直したように感じたのは麻痺によるものだった。
「汚ねぇぞ!!こっちは一人しかいねぇんだぞ!!」
「ポケモン操っていたお前が言うな!!」
ごもっともだサル。
「さっさと終わらせるか。冷凍ビーム!!」
「真空波!!」
「リーフストーム!!」
「ぐふぁあああっ!!」
三人分の攻撃がフライゴンに直撃。誰か忘れているようだが気にしない♪
「く・・・・くそっ・・・こうなったら・・・」
「「「!?」」」」
フライゴンの行動に全員が構える。
「今日はこれくらいでかんべんしてやらぁ」
「お前が言うな!!」
フライゴンはボロボロの状態から帰ろうとする。
「っ!!」
突如攻撃がフライゴンに被弾した。攻撃を食らったフライゴンはそのまま地面にひれ伏すように倒れる。
「何勝手に逃げようとしてんだ!!あぁ!?」
攻撃を食らわした張本人、サメハダーは倒れているフライゴンを見下すように言い放った。
「ジ・・・・ジェット様・・・・」
「オレの命令も聞かずに何のうのうと帰ってんだ。おぉ!?」
「も・・・申し訳ありま・・・ぐはっ!」
フライゴンの言葉が終わらないうちにジェットと呼ばれたサメハダーはフライゴンの体を噛みついた。噛みついた後、体を左右に振り続けフライゴンを痛めつける。
「役立たずが!!これ以上オレの株を下げんじゃねぇ!!」
倒れて動かないフライゴンにそう吐き捨てる。
「へへっ・・・久し振りだな!!サメハダーことジェット様の登場だ!!・・・・・
ってこらぁ!!そこ!!トイレ掃除言うな!!」
「・・・・・(誰に向かって言ってんだ?)」
ジェット以外の面子は皆こう思っていた。
「お前はあのサメハダーだな。なぜここにいる」
「簡単なことよ。フライゴン(こいつ)にちょっとした実験を試させたんだが・・・・・・こりゃ想像以上の雑魚キャラだな」
ジェットはふてぶてしい態度でフライゴンを見下しながら言い放った。
「真空波!!」
ゴウカザルがジェットに向けて自身の腕を大きく振りかぶって、拳大の波を発生させた。そのスピードは凄まじくジェットにそのまま直撃し、そのまま煙が発生する。
「なっ!」
煙が晴れた時に見えたのは、すでにボロボロのフライゴンを盾に攻撃をかわして、自身はぴんぴんしているジェットの姿が。
「危ねぇな〜。そうやってすぐに暴力はいかんぞ♪」
「くっ・・・・」
「焦るな。そのフライゴンをどうするつもりだ」
ファルコはジェットにそう言った。
「決まってるじゃねぇか。こいつは・・・・」
「・・・・・・・・・」
ジェットの言葉を待って全員が黙りこむ。
「オレの跡継ぎ(トイレそうじ)に決まってんじゃねぇか♪」
「だあああああぁぁっ!!」
全員がコントのようにずっこける。
「とにかく今はお前らには用はねぇな。あばよ」
「逃がすか!!」
フライゴンを連れて逃げるジェットを追いかけるゴウカザル。
「ん?」
ふとゴウカザルは上を見る。そこにはほんのわずかだが青い物質があった。それも少しずつ大きくなってる。
「ぬわあああああああああああああぁぁっ!!!」
青い物質の正体はメタグロス、もといダメタグロスだった。ダメタグロスはそのままゴウカザルを下敷きにする。その間にジェット達は姿を消した。
「%##&$?*@‘&$#%#&!!!!!!」
最早言語とすらとれない悲鳴を上げながら潰される。
「お・・・おい・・・大丈夫か?」
流石のファルコも今回ばかりは心配の様子を浮かべる。
「・・・・・・・・・・・・」
「お前の好きなグミあるぞ」
「本当か!?」
ゴウカザルはダメタグロスを弾き飛ばしながらファルコに迫る。
「(オレの出番これだけ・・・・・)」
「ほ・・・ホレ・・赤いグミか橙グミあるぞ・・・・」
「せっかくだから俺はこの赤いほうを選ぶぜ」
「サル。分かる人にしか分からないネタを使うな・・・・・」
ゴウカザルはおいしそうにグミを頬張る。
「それにしてもあのフライゴンとサメハダーがどうして繋がっていたんだ・・・・・」
「とにかく、あいつらについては我々もよく調べておきます。行くぞサル・・・・」
ファルコはゴウカザルの方へ向きを変える。
「ジャローダさん♪今からオレとデートでもしない?」
「・・・・・・・・・(焦)」
相変わらずこのサルはナンパをしていた。
「ズルズキンさん。ちょっとお力をお借りしてもよろしいでしょうか・・・・」
「構いませんよ♪」
ファルコもズルズキンも構えに入った。
「「いい加減にしろ〜っ!!!」」
「あげーーーーーーーーっ!!」
サルはファルコ達にブッ飛ばされ星と化した。