第一回葉炎人気投票!
いつものように探検活動を行なっているリーファイメンバー……。と思ったらどうにも様子がおかしいみたいである。一体何が行わられているのであろうか……。
「さて、いよいよ締切まで一週間となった第一回葉炎人気投票」
と、銀色のキュウコンことお嬢様がメガネをかけたキャスタースタイルで街に立っていた。彼女の言葉から人気投票が開催されているのだろう。
「途中経過から今現状の第一位は大きな差をつけているジェット候補が、このまま独走をすると考えられるでしょう」
「ええええええええええええええええぇぇぇっ!?」
解説するお嬢様に割って入ったのはこの物語主人公リーフだ。
「なんで悪役のジェットが主役のわたしを差し置いてどーしてジェットが一位なんですか!!」
涙を流しながらお嬢様に迫るリーフではあるが、キュウコンは冷静に手渡された一枚の紙切れに目を通す。その様子はスルーの三文字がお似合いであろう。
「えっと……。”ツンデレ至高” ”手を貸す悪役ってのがいい” ジェット可愛いよジェット” といったコメントが人気のようですね」
「じゃあわたしの準位……じゃなくて順位は!?」
と、リーフが懇願するとアシスタントらしきサザンドラがカンペを見せた。そこには”二位”とだけ書かれている。--自分は二位だったなんて……。
ショックを受け愕然とするリーフ……。そして……!
「こうなったら……絶対にわたしが一位になるように策を練らないと!」
そう叫んでどこかに走り去っていった。
--☆
「あああああああああああぁっ!?」
自分たちの探検隊基地に戻ったリーフが目撃したもの。それは他のチームメイトもなんとキャラ投票のことについて話していたところである。
「はぁ〜、なんで僕パートナーポジなのに……断定七位なんだろ……」
「俺やっぱ人気ねぇのかなぁ……」
「絶対スパークさんには負けませんからね!」
「まさかこの私が三位とはな……」
悪態を吐く者、闘志を燃やすもの、嬉しさで笑みを見せるもの。同じことをこのメンバーは考えていたようだ。
「み、みんなも知ったの……?」
「たりめーだ!」
「誰が一番人気か知りたいに決まってるじゃないですか!」
「考えることは皆同じな訳ね……」
とリーフが言い切った直後、五人はクラウチングスタートの構えをとり……。
「誰が一位をとるか……。今勝負!」
とリーファイでの人気対決が始まったのであった。
--☆
「ふーん……」
場所は変わってノコタロウの研究所。この人気投票をでっちゃげ……でなく立ち上げた張本人はこの途中経過のランキングをパラパラとめくっていた。
「一位が主人公でなく、果てにはパートナーがノコタロウにまで負けるとはねぇ……」
その眺めている表情は芳しくなく、仏頂面に近かった。断定一位のジェットに少し不安を感じていた。同時に自分に負ける相方とそのアニキに……。
--ガラガラガラ!
けたたましく扉が開いた。と、まばたきをする間もなく黄緑色の何かがノコタロウに突進する。
「ノコタロウ!」ちょっと頼みがあるんだけど!」
「あー!あーッ!んな皆まで言わんでもわかる!ジェットに人気で負けたのが悔しいんだろ!」
この二人の大声での喧騒に近いやり取りがとりおこなわれ、リーフは首を縦にふった。
「よし、ならば少し研究を行わんとな」
「研究?何を?」
「選挙だよ。せ ん き ょ 。こう言った類のもんはただ単純に力押しじゃ通用しねぇからな」
「ふーん……」
--☆
「で、選挙って言っても具体的に何をすればいいの?」
「まっ!一番手っ取り早いのは街頭演説だな」
「なるほど!それじゃ行ってくるッ!」
と、タンカを切ったリーフは扉を突き破りながら外に飛び出した。ノコタロウの脳裏に不安がよぎったのは言うまでもなかろう。
--☆
「ったく、あいつホントにわかってるのか?
……っとあれか?」
外に飛び出したリーフを探しに行ったノコタロウ。そこにリーフを見つけたのだが……。
「えーつまりですね。公共の場所や道路、並びに街の明かりをもっと増やすためにですねぇ……。えっと……、また夏場には昆虫採集にも一役買うために」
「待て待て待て!」
明らかに人気投票とはかけ離れた演説に思わずノコタロウは反射的にリーフに止めに入る。
「ちょっ……!なんで止めるの!?」
「お前……一体何やってんだ……」
「何って……。ノコタロウに言われたことを実戦して……」
「なるほどな。街の明るさをより得るためのみならず子供たちの楽しみのためをも考える……って
街灯(が い と う)の演説をしてどうすんだあああああああああああああああああああぁッ!」
ノリツッコミ。本気かどうかは定かではないが間違えていたのだろう。
「いっけない……わたしとしたことが、ちょっと脇道にそれちゃったみたい。てへっ☆」
「いやいやいや、脇道どころか大暴走した挙句地平線の向こう側までぶっ飛んでいた気がするんですけど今のは……」
--☆
「演説はダメだダメだ!」
「うーん、じゃあ今度は就活の練習?」
「って、なんで今度は
面接をやろうとすんだお前はッ!」
「ミュウツーやカイオーガの対策について考察するとか?」
「そりゃ伝説だろーがッ!なんでそんな生々しいボケばかりかますんだよ!」
連続でのツッコミに若干息切れを起こすノコタロウ。
「じゃあ他に何をしようか?」
「そうだなぁ……
(選挙ポスターって言おうと思ったが小説じゃとても表現しきれんし……。困ったもんだな……)」
突っ込んでおいて案を出さないのはどうかと思ってはいた。しかし案が出ずに困惑。そこで……。
「--!!そうだ!こういうときはマニフェストでしょ!」
「マニフェストにお前を加えるといかがわしさしか感じないんだけどなぁ……」
不信感を募らせるノコタロウをよそにリーフはニッコリと笑みを見せたまま続ける。
「もしわたしが人気投票で一位になったあかつきには!」
「うんうん……」
「チコリータ一族の隠れ特性に”マルチスケイル”を付けてみせましょう!」
一体何を言い出すのやら。
「それって夢特性のことだろうが!それはもう決まってるから!」
「あと、ブースターに自力でフレアドライブを覚えさせましょう!」
「自力で覚えさせるって……現状では物理的にありえないからそれ!」
「最後に、ペラップさんにランダムバトルの出場権を与えてみせましょう!」
「使用上絶対今のままじゃありえないから!」
到底かないそうもない(あくまでも現状であるが)マニフェストという名の大法螺にノコタロウは怒涛のツッコミをぶち込む。そんな彼の額には一筋の汗がにじみ出る。
「つーか、さっきからマニフェストとか言ってできもしねぇ法螺吹きばっかりじゃねぇか!」
「えぇー!マニフェストっていかに大きな法螺を吹くんか競争するんじゃないの?」
「…………」
これが俗に言うお茶の間ブリザードという奴であろうか、本来凍るはずのないノコタロウが一瞬であるが凍りついた。
「お、お前なぁ……今のセリフ政治家全体に聞かれたら間違いなくアウトだぞ……
(大体合ってるけど……)」
こいつの方が最後にえらいことを言ってのけおった。
---------♫♫
「おっと時報だ……。何!?」
「どうしたの!?」
「投票の結果が出たそうだ!!我々にもスタジオに招集がかかっている。急ごう」
「わ、わかった!」
と、結局まともな活動もできずに結果発表に映る。
--☆
「それでは第一回葉炎人気投票の結果発表と移りましょう」
「ぜぇ……ぜぇ……」
ギリギリにスタジオ入りとなったノコタロウ。彼は息切れした状態で背後に6と書かれた椅子に座っている。一から八までの番号が書かれており、そこに対応した形で八つの椅子が置かれている。ちなみに一と二と書かれた椅子には誰も座っていない。
「……と待て」
「はい?」
「ちょっと待てと言ってんだ!!どういうことだ!!なんでこのウォーター様がノコタロウごときに負けなきゃいけねぇんだあぁ!?」
悪役のような脅しに近い口調でウォーターが叫んだ。彼は後ろに七と書かれた椅子に座ってたが、怒りのあまり立ち上がっている。
「では八位から三位までのおさらいと行きましょう」
だがスルー。
八位:クロー
七位:ウォーター
六位:ノコタロウ
五位:ファイア
四位:ルッグ
三位:スパーク
「と、なりました」
七位・八位となったクロー・ウォーターはガックリと肩を落としたまま椅子の上で小さくなっていた。
--リーフの奴……。ジェットの負けて暴れなきゃいいが……。
おそらく一位・二位はジェットとリーフで間違いないと思うリーファイ(ウォーター以外)。あれだけ燃えて負けたら彼らの懸念も無理はないであろう。
「では一位と二位、同時の発表です!」
「おおぉ!!」
「だあああああぁはっはっはっはっは!!やはり一番人気はこのジェット様であったな!!」
「…………」
ガックリと膝を落とすリーフ。そんな彼女に当て付けるように勝ち誇った表情を見せるジェット。ジェットは悠々と一と描かれた椅子に座った。
「リーフよ。さすが主人公さまやのぉ!かっかっか!!」
「…………」
勝ち誇った顔を隠せずにジェットはゲラゲラと笑い続ける。
「一位はジェット候補となりました……。それでは……あら?」
キュウコンが一位はジェットだと断言した直後、彼女は外からのカンペに目をやった。その内容は……。
「速報です!先ほど開票にミスがあり、一位はリーフ候補!二位がジェット候補となりました!!」
「なにいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃ!!?」
「ほんとうに!?」
リーフとジェット、性質こそは違うが同じ驚きを込めた眼差しでキュウコンを凝視。そのあとジェットは……。
「うや……ありょ……そのだねぇ……」
「ジェットめっちゃ動揺している!あんだけ嫌味言って逆転されたからめちゃくちゃ動揺している!」
千鳥足に近い彼の動きは動揺しか見て取れなかった。一方でリーフはその場で誰にも聞こえない声を漏らしながらプルプルと震えている。
「……った……」
「はい?」
「いやったあああああああああああああああああああああああああああ!!」
涙を流しながら、それでいてこの上はないほどの笑顔で彼女は両手を上げた。気がついたらジェット、ウオーター、クロー以外の面々全員が彼女を胴上げしようと取り囲む。
「やったよ!わたしやったよ!!ありがとうみんな!!」
「おめでとうリーフ!」
「やっぱりあなたにはかないませんよ」
「ふふっ……」
「おめでとさん」
上からファイア、ルッグ、スパーク、ノコタロウの順に賛辞の言葉を投げかけた。その背後でジェットが頭を抱え、クロー、ウォーターが隅っこで八の字を地面でなぞっている(俗に言ういじけの構えだ)
「では、これより第一回葉炎人気投票を閉幕したいと思います。これからも葉炎を応援よろしくお願い致します。
それでは……ごきげんよう」
まとめ
1s リーフ
2nd ジェット
3rd スパーク
4yh ルッグ
5th ファイア
6th ノコタロウ
7th ウォーター
8th クロー