第四十一話 迷惑な連中
翌日・・・・・・・・・
「まだ戻ってきてない!?」
朝っぱらから大きな声を出すのはファイアだった。と、言うのも昨日ズルズキンがサザンドラに招集されて以来いまだに戻ってきてないのだ。更にスパークの調子はまだ完全には治っていない。
「仕方ねぇな・・・・。オレが親父の面倒見るからお前達だけで・・・」
「いやウォーター。私は大丈夫だからお前も行け」
「そうか・・・・・」
ウォーターの言葉を遮るようにスパークが言った。密かにファイアが舌打ちをしていたことは彼以外知らない。
「じゃあ行ってきますね」
リーフの言葉を最後に三人は家をあとにした。そこにはスパークだけが取り残されることになった。
「・・・・・・・・・・・・・・
よし行ったな♪さ〜て♪」
スパークは三人が去ったのを確認してどこからか携帯を取り出し、誰かに電話をかけた。それにしてもこのオヤジ、ずいぶんと楽しそうであるが。
「で、どうすんだ?」
「とりあえず、情報がないからいつも通り依頼こなすことにしない?」
「そうですね」
ちなみに今回の依頼はこちら
依頼主 アバゴーラ
場所 黒い村
内容 お尋ね者討伐
報酬 木の実いっぱい
「おお、来てくださったか」
場所は変わって黒い村。依頼主のアバゴーラがリーファイを迎える。ちなみにこの村は名前の通り本当に暗い。
「あんたが依頼主か?」
「はい、ワシがこの村の村長のアバゴーラです。まぁこんなところじゃなんですしワシの家へどうぞ」
そう言われリーファイメンバーはアバゴーラのあとについていった。
「で、依頼ってなんです?」
「はい、実は最近三体のポケモンがこの村を荒らしまわってるようで、村の民も困ってるようでの・・・・・この前なんかワシが大事にしていたモモンの実が全部チーゴの実にすり替えられてたり、その前は子供たちからブランコを独占したりその前は・・・・」
「恐ろしいのか恐ろしくないかよくわからない連中ね・・・・・しょぼいのばっか・・・(汗)」
アバゴーラの説明にリーフは苦笑いを浮かべながら聞いてた。ファイアもウォーターも同じである。
「まぁとにかくそいつらを討伐そればいいんだな?」
「ということは引き受けてくださると・・・・?」
「まぁ、そうなりますね・・・」
ファイアは正式に引き受けると言った。するとアバゴーラの様子が一変する。
「よっしゃ!!交渉成立!!
おりゃ〜っ!!とっとと行かんか〜っ!!!」
「「「はぁっ?」」」
アバゴーラが態度をコロッと変えた。先ほどまでの低姿勢が今の彼には微塵もない。
「な・・・何これ・・・?」
「もたもたすんな〜っ!!さっさと行けぃ!!」
アバゴーラは三人を家からたたきだした。年だというのに(無駄に)元気だ。
「なんだあの爺さんは・・・・」
「まぁとにかく行きましょ」
「よお!!そこの三人!!」
リーフ達は村をあとにしようとすると不意に一人のポケモンに声をかけられた。そのポケモンは全身のトゲや三本の触手が特徴的なポケモン、ナットレイだった。
「あなたは?」
「オイラはナットレイ!!あんたら村長からの祝いを受けたのか?」
「祝い?」
「あっ間違えた依頼だ・・・。ところで、あんたらもしかして依頼の詳細を聞いてないんじゃないの?」
「「「あっ・・・・・・」」」
ナットレイの言葉に三人がハモる。確かにアバゴーラは討伐対象について悪行しか語っていない。
「でも何であんたがそんなこと知ってるんだ?」
「まぁ、オイラはあの村長のことはよく知ってるからさ。あの村長は子供っぽくて気が短くて説明もろくすっぽしない方だからさ。いつも依頼しても探検隊を困らせるんだよね」
ナットレイは苦笑いを見せながら説明する。全く迷惑な村長だ。
「と、まぁそういうことで・・・よろしく!!」
「「「はぁ!?」」」
「はぁじゃないでしょ。オイラも同行するから」
いきなりそんなことを言われて、はいそうですかと納得するわけがない。
「はいしゅっぱ〜つ!!」
「「「勝手に決めるな〜っ!!!」」」
「ところでその村を困らせているポケモンってどこにいるんですか?」
「そいつらがいるところに今向かってるんだよ」
「その必要はないぜ!!」
「ん?」
草陰から声と共に三体のポケモンが現れた。そのポケモンはヤナッキー・ヒヤッキー・バオッキーだった。依然ヒトカゲ達にやられたためか、ボロボロである。
「お前達!!(随分情けない姿だな・・・・)」
「よお、あの村の住人じゃねぇか」
ナットレイは三猿に面識があるようだ。
「もしかして、あの猿達が村を困らせていたポケモンじゃ・・・・」
「こらそこ!!誰が猿共だ!!」
「(お前だよお前・・・)」
ファイアの言葉にヤナッキーが突っかかる。(ちなみに最後の言葉はナットレイ)
「とにかくオレ達を討伐しに来たようだな!!その勝負受けて立つぜ!!」
「はい?何考えてんの!?」
ありえないヤナッキーの返答に残りの二体も素っ頓狂な声を上げる。確かに三人とも戦闘をして間もない状態であるにも関わらず。
「うるせぇ!!このまま帰るのはなんか納得できねぇんだ!!だからこいつらでストレス発散してやる!!」
「(無茶苦茶だ・・・・)」
馬鹿なヤナッキー(リーダー)を持つと大変なもんだ。
「まぁ、こっちもお前達を討伐するつもりだったし、丁度いいっちゃあ丁度いいんだけど・・・」
ウォーターが頭をポリポリ掻きながら呟く。
「よし行けぃ!!」
「はぁ!!?」
ヤナッキーはバオッキーをまるで投げ飛ばすように前に出した。
「とととととと・・・・とりあえず火炎ほうs・・・」
「ハイドロポンプ」
「あげーーーーーーーーーーっ!!!」
バオッキーはハイドロポンプがまともに食らいノックアウト。
「ま〜たやられちゃったじょ〜、ケラケラ」
流石のヒヤッキーも今回ばかりは苦笑い……でなく笑っていた。いくらなんでもこれは扱いが酷すぎるというものだ。
「じゃあオイラもハイドロポンプ♪」
「ぬっ・・・・・」
二つのハイドロポンプが直撃。威力はほとんど同じなのか互いに相殺される。
「じゃあ今度は・・・・」
「パワーウィップ!!!」
「じょーーーーーっ!!」
ヒヤッキーの背後からナットレイが太い鞭を叩きつける。相性がいいためにヒヤッキーもそのままダウン。
「残りはあいつだけか・・・・」
「調子に乗るな!!めざめるパワー!!」
「なっ!!!?」
まさかの技がナットレイに炸裂。このめざめるパワーは炎タイプなためナットレイにはかなりダメージが入った。
「まさかめざめるパワーを持ってたなんて・・・・・」
「ナットレイ(だけじゃないけど)対策にめざめるパワーは必須だろ!!」
「(いや、そうでもないって・・・・)」
ヤナッキーどや顔を見せてくる。リーフ達にはかなり鬱陶しく思えたに違いない。
「火炎放射」
「えっ!?うそ?!ちょ!!おま!!」
ヤナッキーは倒れた。
「鬱陶しかったので燃やしました」
「ナイスファイア♪それにしても戦ったからおなかすいてきたわね」
「お前は何もしてないだろ!!」
リーフはカバンから何かを取り出す。
「何食べてるんですか・・・・?」
「納豆。ナットレイも食べる?」
「共食いさせる気か!!」