第四十話 ちょっとした休み
翌日、最果て砂漠の秘宝をなんやかんやで譲りうけたチームリーファイは無事に自分たちの家に戻ることができた。
否、正確には約一名無事ではないものが・・・・・・
「よっこらどっこい!!」
「$%%¥?#%%&¥@*+!!!!!!」
もはや言語としてとれるのかどうかすら危うい悲鳴を上げるのは大の酒好きの親父ピカチュウことスパークだった。彼は酷い関節痛など諸々の中年特有ともいえる病気(?)に悩まされているのだが、彼がわめいているのはそれではなく彼の息子のゼニガメのウォーターによる荒療治によるものだった。
「親父・・・まだやるのか・・・・?」
呆れた様子で言ってるのはハンマーを持っている執行人・・・もとい荒療治をしているウォーター。実は彼、痛みに我慢できないスパークに頼まれて攻撃して殴っていたのだ。しかし流石に乗り気ではない様子(尤もこんなことに乗り気だったらドン引きは間違いないが・・・・)。
「そ・・・それより第二段階を・・・・」
止める様子は微塵もないスパーク。するとウォーターはハンマーを捨ててスパークに近づく。
「っ・・・・・あはははははははははは!!!」
ウォーターはスパークをくすぐりだした。当然のごとくスパークは声を出して爆笑している。まぁこの二人は今日はずっとこんな調子である。さて他のメンバーはというと
話は数時間前にさかのぼる
「はぁ〜疲れた・・・・」
そう呟くのはズルズキンだった。すると彼の顔面に一通の手紙が投げ飛ばされる。
「ほらよ!!郵便!!」
郵便屋のペリッパーは乱暴に手紙を性懲りもなく投げ飛ばしていた。
「あいつ・・・・ちゃんと教育し直してもらった方がいいんじゃないのか?」
以前は自分に手紙を投げとばされたウォーターが若干苛立った様子で呟く。まぁそんなことはさておきズルズキンは手紙の送り主を確かめていた。
「さ・・・・サザンドラさん・・・・・・(汗)」
彼の表情が一瞬で曇った。とりあえずは手紙を読むことにし、そこにはこう書かれていた。
:早急に屋敷に戻れ!!以上終わり!!:
「短っ!!」
「と・・・とにかくしばらく離脱してもかまいませんか?」
「まぁ、構わないけど・・・・・」
送り主が自分の上司とあらば言われた通りにしなければならない。彼は渋々離れることになってしまう。
「ところでウォーター・・・手伝ってくれんか・・・?」
若干辛そうな表情を浮かべながらスパークはウォーターに頼みこむ。
「ま・・・まぁいいが・・・・」
ウォーターとスパークは部屋に入っていった。さて残されたリーフとファイアはというと・・・・
「どうする?」
「とりあえずその辺歩きまわります?」
展開が無理やりな気がするがこうしてこの二人は街中を散歩することになった。
街に着いたリーフとファイア、辺りには様々な屋台があった。即ちこの街は祭りとなっている。
「うわぁ〜今日は祭りだったんですね〜♪」
ファイアが目を輝かせながら辺りを見ていた。やはり子供なのか楽しそうな表情を浮かべる。
「と、とにかく色々見てまわろうよ!!」
ファイアは走って向かっていった。
「しょうがないわね・・・」
口ではそう言ってるがリーフの表情はどこか嬉しそうだった。
「え〜と次はどこに行こうかな〜♪」
ファイアは大量の食べ物を持ち、満足げな表情を浮かべていた。その量は普段食べ物に執着しているリーフをも上回っている気がしないこともない。
「おう!そこのお二人さん!!」
「「!!??」」
突如二人を呼びとめたのは鉢巻きを巻いたキングドラだった。よく見ると(まぁよく見なくても)彼も屋台を構えていた。
「あんたらさっきから食いもんばっかいってるようだけど、うちの射撃もやってかねぇか?」
キングドラが玩具の銃をとり出しながらそう言った。
「射撃ってなんですか?」
「まぁ簡単に言うとここに置いてある人形をこの銃で打ち落としゃあいいんだ。祭りってのは食いもんだけじゃなくてこう言うのもあるんだぜ!」
「へぇ〜♪」
ファイアが興味を持った様子で射撃屋を眺めていた。そこには人形がいくつか置かれてありそれぞれサメハダー・チコリータ・ズルズキン・キュウコン・ヘラクロス・バンギラスの人形が。
「・・・・・・・・・・・・・・何このラインアップ・・・(汗)」
「まぁ、こりゃあ完全に作者の好みのポケモン達でしょうね。特にキュウコン・ヘラクロス・バンギラスが特に気に入ったようでそれぞれ三体も育成したようですからね」
「そうなの?」
「まぁ聞いた話では。他にもボスゴドラも特性によって育成されてたりしてるようですからね。強化された頑丈を使ったメタルバースト型と特性石頭による無反動諸刃の頭突き型とツーパターン作ってますからね」
「でもキュウコンとバンギラスはどう考えてもパーティーに合わないんじゃないの?」
「そうですよね。だから好きなポケモンだけで組みたい作者にとってはやりにくいそうです」
なぜこんな会話が飛び交うのかはさておき。
「とりあえずやってみようかな♪」
「はいよ!!」
キングドラはファイアに玩具の銃を手渡す。
「よいしょ!!」
(なぜか)叫びながら発射。弾はヘラクロスの人形に直撃した。
「うぐふぉあっ!!!」
なぜか場所は変わってヘラクロスのクロスの家。突如クロスは急に打たれたような腹痛に襲われる。
「どうした?」
「いや・・・なんでもない・・・(なんか急に打たれた気が・・・・)」
隣にいた彼の親友のバンギラスが尋ねる。
「お見事!!ヘラクロス人形ゲットだぜ〜っ!!」
キングドラが鐘を鳴らしながらそう言った。
「やった〜っ!!欲しかったんですよね〜この人形!!」
ファイアは嬉しさのあまりヘラクロス人形を強く握ってしまう。
「いてててててて!!」
今度はクロスの体が強く圧迫されてしまう。勘のいい方ならお気づきかと思うがこのヘラクロス人形とクロスの体はシンクロしているのである。したがって今のクロスはファイアに握られているも同然なのだ。
「????????」
そんなまるで一人コントを見せつけられているバンギラスはただ唖然とするばかりである。
「ルンルン♪」
「嬉しそうねファイア」
「そりゃあ嬉しいですよ♪ヘラクロスかっこいいよヘラクロス♪」
「ここの作者、ファイアに自分の好みを代弁させてるんじゃないの・・・・?」
またなんか言ったようだが気にせずに・・・・・・
「痛っ!!」
ファイアが足をつまずかせ転んでしまう。その勢いで大事に持っていたヘラクロス人形を手放してしまい川に落としてしまう。
「ぬわあああああああああぁぁっ!!!」
クロスの体が飛ばされ家を突き破ってしまう。そしてそのまま川へダイブ。
「ああ〜っ。どうしよ〜・・・・・・」
「任せて!!蔓の鞭!!」
リーフは自分の首から蔓を伸ばし人形を掴んだ。勿論クロス本人も無意識のうちに川から引き上げられる。
「ああ〜よかった〜」
「でも濡れてしまったわね」
そう言ってリーフはどこからかタオルを取り出し人形を拭く。勿論(ry
「はぁ・・・はぁ・・・・一体何なんだ・・・・」
川から引き上げられたクロスは答えのない疑問をぶつける。当然バンギラスも知る筈がないだろう。
クロスがまさか自分のせいで酷い目にあってるとは露とも知らないファイアはこの後も祭りを堪能し続けていた。当然だが人形に何かあるたびにクロスの体にも同様のことが起こることに。
そうこうしているうちに祭りも終わりを迎える。
「は〜なんかあっという間に終わっちゃったわね・・・」
「うん・・・・・」
ファイアはすでにいつ寝てしまってもおかしくないほど、というか半分寝てしまっている。
「ちょ!ファイア!?」
「・・・・・・zzzzzzzzzz」
完全に寝てしまった。ダメだこりゃ。
「はぁ・・・仕方ないわね・・・」
そう言ってリーフはファイアを自分の背中に乗せる。
「でも、悪くないかな。こういうのも♪」
それでもリーフの表情はまんざらでもなかった。ファイアは眠っているがそれでもヘラクロス人形は大事に握っている。
「・・・・・・・これからもよろしくね。
・・・・パートナー・・・・」
リーフは眠っているファイアの耳元にそう囁いた。