第三十六話 砂漠の王者……じゃないけどね
「え〜と・・・影を探してたんだっけ?」
「いや、だから鍵だろうが・・」
まさかのふすまのカギを探すために内部を散策し続けていた。しかし、それらしきものは見つからない。
「だいたいこういった類のもんはなぞ解きがあるのが一般的なんだけどな・・」
「まぁ、今のところ謎解きらしい謎解きは一切してないですからね・・・・・」
「まぁ、そうほめないでよ♪」
「「いや、褒めてないから・・」
こんな感じで散策を続けていると・・・
「あれ?な〜んか見るからに怪しいスイッチがありますね・・・」
ズルズキンが押してくれと言わんばかりの見るからに怪しげなスイッチを発見した。
「たぶん罠でしょうね・・うかつに押さない方が・・・・」
「スイッチオン!!!」
「へっ・・・・?」
シャンデラだった。彼は即効で押したのである。
「この馬鹿シャンデリア〜!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
ウォーターが叫ぶと、突然地ならしが起こった。
「な・・・なんじゃこりゃ!?」
ピンポーン♪
「「え??」」
妙な効果音と共に壁がパネル状に回転し、宝箱が現れた。
「どうですか!!僕が正しかったでしょう!?」
「す・・・すまん・・・・」
勝ち誇った表情を見せるシャンデラにウォーターはがっかりした表情を見せる。
「もしかしてふすまのカギが入ってるんじゃないか?」
「さ〜て・・・オープン♪」
ファイアは箱を開けた。中に入っていたのは・・・・・
「あ・・・・あれ・・・?」
「これって・・・・・・・・」
ただの紙切れ一枚だった。そこにはこのように書かれていた。
:鍵だと思ったろ!?ざ〜んねんでした〜!!騙されてや〜んの!!あははははははははは!!:
こう書かれていた。
「んだとごるあぁっ(激怒)!!」
ウォーターは怒りにまかせて宝箱を蹴り飛ばした。その衝撃で壁が崩壊し、別の小部屋が出現した。
そこにはふすまのそれと思われる鍵があった。
「あった!!」
「こういうカラクリだったとは・・・」
「たぶん違うと思うぞ・・・・」
「とりあえず、先に行こう・・・」
「ここだったな」
スパークはふすまの鍵穴に先ほどのカギを差し込んだ。鍵穴はガチャリという音を発し、同時にスパークにも開いたと思われる手ごたえを感じた。
「よし、先に行きますか」
「!!!!???」
「な、何これ!?」
突如辺りが真っ暗になった。
「・・・・・貴様ら・・ここに何の用だ・・・」
「だ・・誰ですか!?」
奇妙な声の主にシャンデラが叫ぶ。
「オレ・・・いや、私はこの最果て砂漠の王だ。繰り返し聞くが貴様らは何しにきたのだ・・」
「いや、成り行きでこんな汚いダンボール箱に入っちゃって・・・・」
「貴様ら!!このすんばらし〜住居を汚いだと!!そんな不届き者はオレ・・・じゃなくて私が成敗に盛大してくれるわ!!」
「「ええっ!?」」
その場がなんだか気まずい空気になってしまった。
「い・・・いや、あれだ!!言っとくがここに水のハーモニカとか言う七つの秘宝なんてどこにもないし。それにだぞ!あのオレ・・・もうオレでいいや・・・」
もはやわけがわからない。
「一つ聞きます。水のハーモニカはここにあるのですか?」
「はい!・・・・・・・あっ・・・・」
リーフの唐突な質問に声の正体は即答してしまった。
「掛け算の六の段を全部言いなさい!!」
「ええっ!!?六・・・六・・・六と一・・・・あれ・・・?」
声の主は全く答えられない。
「結論。この声の主は国宝級のアホってことが確定しました」
「確かにいろんな奴を見てきましたけど、ここまで馬鹿な奴は見たこともないですよね・・」
「まぁ、六の段なだけに碌に勉強できませんといったところだな」
宣告ともとれるリーフの発言にファイアも同意する。そして付け足すようにウォーターが言い放った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・
貴様らああああぁぁっ!!散々王者を愚弄しやがってええええぇっ!!もう許さんぞ!!」
声の主は怒りを爆発させる。
「そんなことはどうでもいいですからいいかげん正体を現してもらいますよ!!」
シャンデラは自身の炎を強くして辺りを照らす。
すると先ほどまで真っ暗だった部屋に明かりがともされた。そこには畳や古い蛍光灯、果てにはちゃぶだいと凄まじいものがそろっている部屋だった。そこにいたのは黄緑色の体と赤い目が特徴的なポケモンフライゴンがいた。恐らくこのポケモンが声の主の正体なのだろう。
「何この昭和初期みたいな部屋・・・・」
「随分古臭せぇ・・・」
「馬鹿もの!!レトロと言わんか!!」
ウォーターの言葉にフライゴンは言い返す。
「とにかく貴様らみんなまとめてゆるさね〜っ!!覚悟!!」
「って!結局闘うのかよ!!」
「そう簡単に見逃してくれる敵がいると思うのか!!食らえや!!」
フライゴンはそう叫んでとび上がった。しかし・・・
「ぐえふぁっ!!」
フライゴンは天井に頭をぶつけてしまう。そんなところで飛ぼうとするから・・・・
「ほんっとにどうしようもないなこいつ・・・・」
スパークがあきれ果てた様子で見ていた。様子というか完全に呆れてるけど・・・・
「痛いではないか!!王者を馬鹿にするでない!!地震!!」
フライゴンは地面を揺らす地面タイプの大技、地震を出した。特に地面技が苦手なファイア・スパーク・シャンデラは辛そうな顔をする(シャンデラは浮いてますけど・・・・)
「ははははははは!!オレの力を思いしr・・・・ぐげばああっ!!!」
勝ち誇ったフライゴンの頭に金色のたらいが落っこちた。まるでコントのようだ。
「・・・・・・・・・ぷぷっ」
「(馬っ鹿で〜、今更だけど・・)」
「(間抜けにもほどがあるな・・・)」
上からリーフ・ウォーター・スパークが。
「畜生〜っ!!こうなったら・・・」
「リーフストーム」
「大文字」
「冷凍ビーム」
「アイアンテール」
「とび膝蹴り」
「シャドーボール」
全員が一斉にフライゴンに向けて一斉攻撃をする。
「ふぎぇごわあああああああああぁぁっ!!!!」
フライゴンはその場でのびてしまう。
「なんか今までのボスよりかなりあっけなかったような・・・・」
「でも、楽だからいいけど・・・」
「でも一人相手になんかリンチしているような気が・・・・」
ズルズキンが少し哀れみた目でフライゴンを見ていた。
「とりあえずお前は何者でなんでここにいる?」
「は・・はい・・・・ここは知っての通りダンボール箱に見せかけたピラミッドでオレはたまたまここを見つけてそうして水のハーモニカを見つけたんです・・・・・」
ウォーターの問いにフライゴンは答えた。フライゴンはかろうじて息があったようだ。
「でも、これはある方のものなんです。それを僕達は戻してもらおうかと思ってるんです」
シャンデラが諭すようにフライゴンに言った。
「だ・・ダメだ!!これはオレが見つけたんだぞ!!だからこれはな!!」
「ダメなんですか・・・・?」
「わかりました・・・お返しします・・・・・」
ファイアが黒い笑みをフライゴンに見せながら詰め寄る。フライゴンはその笑みに背筋がぞくっとした感じがした。ファイアはフライゴンから水のハーモニカを受け取る。
「こんなあっけなくていいのか!?」