第三十四話 こりゃダメだわ
クローと名乗るけったいなワニノコに絡まれて秘宝をかけて戦うことになったリーフ。それでも自分の持っていた秘宝を駆使してクローを負かすことに成功した(決してクローが実験台になったのではございませんwww)
クローは闘技場に放置して改めて水のハーモニカを探すために再び最果て砂漠にと向かっていくことになった。
「よし、ここが最果て砂漠の中央部だな」
「はい、ここにかの有名な七つの秘宝が隠されてますからね」
そうひそひそ声をあげるのは鋼鉄の青色のボディが特徴的なポケモンメタグロスと鉄色のアリのようなポケモンアイアント、さらに頭の刃物と赤色のボディが特徴的なポケモン、コマタナもいる。
「よ〜し、これで水のハーモニカは我ら”チームメタグロス”のものだ!!わはははははははは!!」
リーダー各と思われるメタグロスは高笑いをする。(チームメタグロスってネーミングセンスが微塵も感じられない・・・)そんなメタグロスを見てアイアント達は互いに顔を見合わせてから浮かない表情を見せる。
「でもメタグロス様。ここには何もありませんよ」
「うるさい!!!そんなことはわかっている!!さっさと見つける方法を探さんか!!」
「はいはい・・・」
理不尽に怒るメタグロスにアイアントは不服そうに答える。しばらくして三人とも辺りを探っていた。しかしそれらしきものは何一つ見つからない。
「??誰か来ますよ!!」
コマタナがメタグロスにそう叫ぶ。するとメタグロスの脳内に一つの作戦が浮かび上がった。そして彼(?)は部下達を集めて岩陰に身を隠す。
「確かこの辺じゃなかった?」
「地図上はここで間違いないんですけどね・・・」
リーフ達だった。チームメタグロスに遅れること五分近くたっていた。
「でも・・・・何もないですよね・・・・」
ファイアも辺りを見回すがやはり何もない。他のメンバーも手掛かりになるようなものを探り寄せるがやはり見つからない。
「(ちっ!あいつらが謎を解いてくれれば、オレ達が横取りしてやろうかと思ったのに!!)」
メタグロスは舌打ちをしながらそう思った。
いや、正確には言った、言ってしまった。
「誰ですか!?そこにいるのは!?」
シャンデラがメタグロスの隠れている岩陰に向かって叫ぶ。メタグロスはその場で、
「ギクウッ!!」
となったのではなく叫んでしまった。
「くそっ!!ばれちまったじゃねぇか!!誰のせいだ!!」
「(メタグロス(あんた)だよ・・・)」
メタグロスに密かに反抗するアイアントとコマタナ。
「で?あなた達は一体何者?」
リーフが尋ねるとメタグロスは待ってましたと言わんばかりのそぶりを見せた。
「オレ達は世界をまたにかける最高のたnけった・・・・・・・」
「(噛んじゃったよ・・/
」
「・・・・・・・・・・・・」
部下のアイアント達は愕然と、リーフ達は苦笑いを浮かべる。
「とにかく!ここの宝はオレ達が先にマークしてたんだ!!これはオレ達が手に入れるんだよ!!」
メタグロスはそう啖呵を切った。また厄介者が登場してリーフは思わずため息が出そうになる。
「はいはい。じゃあさっさと始めましょうや」
ウォーターが手をしゃくってかかってこいのポーズをとる。それを見たメタグロスは激昂する。
「この野郎!!食らえ!!メタルクロー!!」
メタグロスは鋼鉄の爪を思いっきり振りかざす。
「アイアンテール!!」
スパークは同じ鋼技のアイアンテールで迎え撃つ。メタルクローとアイアンテールは互いに衝突するも徐々にアイアンテールが優勢になり、最後にはアイアンテールはメタグロスを吹き飛ばす。
「十万ボルト!!!」
「大文字!!」
スパークは十万ボルト、ファイアは大文字をメタグロスに向けて放つ。弱点の大文字はかわせたものの、十万ボルトは交わしきれずに直撃してしまう。それを見たアイアントとコマタナは何かを確信した表情を見せる。
「メタグロス様!!」
「こんな状態で話しかけるな!!見てわからんのか!!」
コマタナは助言を加えようとするもメタグロスはそれを拒否する。
「ちっ、食らえや!!突進!!」
メタグロスは足を折りたたみそのまま突撃してくる。
「とび膝蹴り!!」
ズルズキンはとび膝蹴りで突進に対抗する。ズルズキンの膝とメタグロスの頭が衝突するも、優勢になっていくのはズルズキンだ。またもメタグロスは力負けして吹き飛ばされてしまう。
「大文字!!」
今度はシャンデラの大文字が飛ぶ。その火力はファイアのそれとは比じゃなく、尋常じゃない。メタグロスはかわすも彼の爪にわずかながらかすってしまい、爪は真っ黒に焦げてしまう。
「メタグロス様!!こいつらが相手だと・・・・」
「こんなときにお前らいい加減にしろ!!」
またしても部下をはねのけるメタグロス。そこにスパークがすでに接近していた。
「気合パンチ!!」
「ありゃありゃりゃりゃ!!ぐえはぇっ!!」
気付いた時にはすでに目の前におり、まともに気合パンチを食らってしまう。メタグロスはすでにふらふらになっている。
「さぁてまだ続けるつもりですか!?」
シャンデラが威嚇するように言い放った。どう見てもメタグロスは劣勢極まりない。
「念力!!」
「はぁ・・・まだやるのか・・・ウォーター!!」
「はいよ!!雨乞い!!」
ウォーターが叫ぶと同時に大量の雨雲が空を覆った。それとほぼ同時に大量の雨粒が音を立てて降り注ぐ。
「これで終わりだ!!雷!!」
「ぐえふぇあぁぁぁぁぁっ!!!」
雷鳴が響いた刹那、メタグロスに巨大な雷が直撃する。メタグロスはそのまま真っ黒になって崩れ落ちる。
「ふぅ・・・久々にメインで戦ったから疲れた・・・」
「お疲れ様です。スパークさん♪」
スパークがその場で腰を下ろす。リーフはそんな彼にオレンの実を渡す。
「メタグロス様!!」
「さっきからなんだというのだ・・・・」
「あいつ等のレベルとメタグロス様のレベルが違いすぎるんです」
「あのピカチュウは雷とか十万ボルトを使うのに、”メタルクロー”や”突進”じゃあ技の威力が違いすぎるんですよ!!それに言っときますけど我々まだノーマルランクですよ!!」
「挙句の果てには炎タイプが二体もいるのに地震がない時点でアウトですよ!!」
メタグロスにアイアントが遅すぎる助言を加える。
「なっ・・そう言うことは早く言わんか!!
思いっきり啖呵切ったのに無茶苦茶かっこ悪いじゃないか!!挙句の果てには全く闘おうとしない役立たずな部下なんて大っきらいだ!!」
メタグロスは部下達に逆切れする。
「だから何度も呼びとめたでしょうが!!それにメタグロス様がかなわない相手じゃ我々なんかどうしようもないでしょう!!」
「うるせぇ!!だったら無理やりにでも止めろよ!!ヴァーカ!!」
「どっちにしても怒ったでしょうが!!」
しまいにはメタグロスとアイアントが喧嘩を始める。
「って言うかコマタナ(おめぇ)もなんか言えよ!!さっきから黙りこくりやがって!!」
「だってこんな争い、面倒だから関わりたくないんですもん!!」
「やかましいわ!!とりあえず今回は撤収!!」
そう捨て台詞を残してチームメタグロスは去っていった。リーフは密かにメタグロスのあだ名を考えていた。そして彼には”ダメタグロス”という不名誉なあだ名が定着することになるだろう・・・・。
「なんだったんでしょうか・・・?」
「知らん・・・・・・・」
「と、とりあえず謎解きの続きを・・・・」
「おっと、そうだったな」
一行は再びなぞ解きを始める。それでも謎は解けなかった。
「う〜ん、わかりませんねぇ・・・・」
「あっ・・・・・」
「リーフさん?何かわかったんですか!?」
リーフがはっとした表情を見せる。
「確かジャローダさんに”最果て砂漠の中央部の岩の窪みにこの石をはめるように言われたんだった♪」
--ずごっ!!
「そういうことは早く言わんか〜っ!!!」
「てへっ♪」
「”てへっ♪”じゃネーヨ!!」
リーフにウォーターが突っ込む。こんな調子で大丈夫なのか・・・・。