第三十話 クローの物語3
「ぬわあああああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
ゼニガメズの爆弾の爆発に巻き込まれたクローはそのまま吹き飛ばされていた。
「・・・・・んん?
ぬわあああああああぁぁぁぁっ!!!!」
クローは自分の状態に気がついた。自分がなぜか落下運動を続けていることに。自分を止めることができるものはない。
グワッシャーンッ!!
クローがそのまま落ちた先は一軒の豪邸だった。クローはそのまま再び一人のポケモンの上に直撃する。
「痛っ!!!」
クローとそのポケモンは互いに頭をぶつける。クローはそのまま地面に落ちる。
一方でそのポケモンは掃除をしていたらしくモップを持っていて、近くに汚れた水が入ったバケツがあった。しかし、先ほどぶつかった衝撃でモップが折れ、されにはバケツの水がそのポケモンの全身にかかってしまう。
「いたたたたた・・・・・全く酷い目にあったぞ・・・・・」
クローは体を起こしボロボロの体をさする。
「・・・・・・・・・・・・・」
「な・・・・・・そ、どうした・・・・?」
水をかぶったポケモンは激昂した表情でクローを見ていた。クローはその様子に汗だくになる。
「流星群!!!」
「ちょっ!!問答無用か!!!ぐわあああああああああぁぁっ!!」
怒り狂ったポケモン、サザンドラはクローに向けて流星群という名の大量の隕石を落とした。流星群はクローに直撃する。
その時扉が開いた。そこからフシギダネ・ナエトルを連れたワルビアルの姿が。フシギダネとナエトルは変わり果てたクローの姿を見るや否やクローのもとに駆け付ける。
「く、クロー様!!?」
「大丈夫ですか!?」
フシギダネのシード、ナエトルのシノは倒れているクローの安否を気遣う。しかしそんな彼らにも・・・
「おい」
「なんだ・・・・・・?」
怒り狂ったサザンドラの怒りはまだおさまらない。
「そいつはお前達の連れか・・・?」
「そ、そうですけど・・・・・・・・」
シードとシノはサザンドラの尋常じゃないプレッシャーを感じていた。
「あいつの仲間は許さん!!問答無用じゃ!!逆鱗!!!」
「「うわああああああぁぁぁっ!!」」
サザンドラは文字通り逆鱗を起こす。逆鱗でシード達も吹き飛ばされて、のびてしまう。
「さ、サザンドラさん!落ち着いて・・・・」
「うがああああああぁぁっ!!!」
「ぐえへっ!!」
サザンドラは止めに入ったワルビアルまで攻撃してしまう。残ったサザンドラは見境もなく暴れてしまう。
しかし、彼の逆鱗もしばらくしておさまった。それと同時にまた別のポケモンが入ってきた。そのポケモンは部屋に入ってきた瞬間目を丸くした。
そこには見るも無残な部屋に見ず知らずのワニノコ・フシギダネ・ナエトルそして自分がよく知るワルビアルがその場で倒れており、唯一サザンドラだけが立っていたのだ。
「あ〜、すっきりした〜、
ん?うるさいな」
サザンドラは自分の方をたたいた方向に振り向いた。その瞬間彼の顔が凍った。そこにいたのは銀色のキュウコンだったのだ。読者の方達はすでにお気づきかと思うがここは以前ズルズキンが勤めていたキュウコンの屋敷だったのだ。
「サザンドラ、これは一体どういうことですの・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
キュウコンはあくまでも冷静だが、めったに見せない怒りの表情を見せながらサザンドラに詰め寄る。対してサザンドラは大量の冷や汗を垂らしながら後ずさる。
そして、この屋敷内で本日一番の断末魔がこだまする・・・・・・・・
「・・・・・・・ううっ・・・・」
クローは本日二度目の気絶から目を覚ますと、そこには心配そうな表情を浮かべている自分の部下のナエトル・フシギダネ・そして、初対面の銀色のキュウコンとワルビアルが目に入った。
「く、クロー様!!」
「大丈夫ですか!!?」
シードとシノはクローの顔を至近距離で覗き込む。
「あ、ああ・・・・・・
あとお前達・・・近すぎるぞ・・・・」
「「あ、すいません・・・・」」
クローはゆっくりと起き上がりながらそう言った。そう言われたシノ達はクローから少し離れる。
「ふぅ、とりあえずは一安心といったところですわね」
キュウコンが医療道具が入っている道具箱をしまいながらそう言った。
「あ、あんたは誰だ?」
クローが目の前のキュウコンを指差す。
「申し遅れました。わたくし、この屋敷の主のキュウコンと申します。以後お見知りおきを
それと先ほどはサザンドラ(わたくしの部下)が暴れてしまい貴方方ご迷惑をかけて申し訳ありません」
キュウコンはクロー達に頭を下げる。
「わし達は探検隊でわしはリーダーでワニノコのクローだ。よろしく頼む」
クローが(彼にしては)珍しく頭を下げる。
「リーダー・・・・・っていうことはシノとシード(おふたり )が探していたのはこの方ですか!?」
ワルビアルがクローを指差しながらそう言った。二人とも首を縦に振る。
「お二人が探していたって、どういうことですの?」
「実はこの方達、ご自分達の探検隊のリーダーが行方をくらましたから、聞き込みとしてここを訪ねたんです」
キュウコンの疑問にワルビアルが答える。
「そうか・・・・心配かけたな・・・」
「全くですよ・・・」
クローがめったに見せない反省の様子を見せる。それにシノは少し怒り気味で言う。
「それより、あんた達七つの秘宝について知らないか?」
クローがはっと気付いた様子でそう言った。彼の宝に対する情熱は並ではない。
「そうですわね・・・・ここからかなり離れたところに最果て砂漠という土地があるのはご存じですか?」
「ああ、あの広大な砂漠とそれに巨大な街があるあの最果て砂漠か!?」
「魚でも食うのか?」
「って、それは"サバ食う"でしょ・・・・」
クローのボケにシードが突っ込む。
「・・・・・・・話を戻しますわよ。最果て砂漠の中央部に七つの秘宝が隠されていますわ」
「なんではっきりと言えるんだ?」
キュウコンの言葉にクローは疑問を持った。それもそのはず、そんな所にある時点で必ずあるとは言い難い。にも拘わらず彼女の言葉ははっきりしていたのだ。
「最果て砂漠の街はわたくしの知り合いが治めてます。その方いわくそこの七つの秘宝は以前その方の先祖が隠し持っていたと聞きましたわ」
「ほぉ・・・・・・」
キュウコンの言葉にクローの気持ちは高ぶってきた。それと同時に今度こそという気持ちが強く湧いてくる。
「よし!!次の目的地はその最果てサバ食うだな!!そこにはどうやって行けばいいんだ!?」
クローは興奮のあまり立ちあがる。
「ここから最果て砂漠に向かいますと数週間はかかりますわよ」
キュウコンの言葉にクローがガクッとずっこける。
「何〜っ!!他に方法はないのか!!?」
クローの興奮は増すばかりだ。
「ないことはないのですが・・・・・」
「その方法で頼む!!」
クローは必死にキュウコンに懇願する。
「わかりましたわ。ではわたくしについてきてください」
そう言ってキュウコンは向かいの扉に向かって歩き始める。
「それにしてもサザンドラ(あいつ)大丈夫か・・・・?」
クローはその辺に転がっている、サザンドラ・・・・・・と思われる真っ黒に焦げた物体を見てそう呟いた。そんな彼
にワルビアルが耳元で呟く。
「( キュウコン様は普段は優しいんですが、いったん怒るとサザンドラさんよりずっと恐ろしいですからね・・・。まぁサザンドラさん、数週間は目を覚まさないんじゃないですかね・・・)」
ワルビアルは若干苦笑いを浮かべていた。その言葉にクロー達の表情が凍った。
「ここか?」
クロー達が連れてこられたのは、無機質な機械的な部屋だった。
「そうですわね。ではそちらにたってもらえますか?」
「あ、ああ・・・・」
キュウコンに言われた通りの場所にたった。
すると・・・・・
「「うわあああああぁっ!!」」
突然クロー達の立っていた足場が突然消えた。クロー達はそのまま落下する。するとそこから巨大な大砲が出現した。
「ワルビアル、準備を」
「かしこまりました」
そう言ってワルビアルは小さい一室の中に入っていった。そこは大砲の操縦席のようなものである。
しかしそんなことは露とも知らないクロー達は戸惑っていた。
「なんだなんだ!?一体何が始まるんだ!?」
「わかりませんよ・・・」
「んにしてもここ狭い・・・・」
「準備Okです!!」
「発射!!」
キュウコンがそう叫ぶと大砲が勢いよく弾・・・・・・もといクロー達を発射した。
「「「うわああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!」」」
青空に三人分の叫び声が響いた。そしてそのまま三つの星が輝くことになった。
「あっ・・・・・・少し角度間違えたかも・・・・・・」
操縦席でワルビアルがあってはならないことを呟いていた。しかしそんなことは彼以外誰も知らない。