第二十六話 到着
クロスと別れたリーフ達は遠征地に向けて再出発していた。
「そう言えばスパークさんって大丈夫かな?」
「さぁ?今頃吐いてウォーター(にいさん )やズルズキンさんに迷惑かけているんじゃないの?」
「確かにありそうね」
「「はははははははは!!!」」
他愛ない会話だったがそれを見ていたエンブオーはほっとしていた。特にファイアについては先ほどのこともあり彼なりに心配していたのだ。
「ん?おい、あそこじゃないか?」
エンブオーが指差した先にはベースキャンプと思われる森があった。
「きっとあそこね!」
「よし!行くか!!」
エンブオーを先頭に森に走って行った。
「おや?もう着きましたか?早いですな♪」
プクリンとペラップだった。彼らはリーフ達とほぼ同じタイミングで到着していたのだ。
「そうだね〜♪早く皆来ないかな〜♪」
プクリンが今か今かと他のメンバーの到着を待っている。
しばらくして、ギルドのメンバー全員が到着したがひと組だけ到着していない組があった。
スパーク組である。
彼らが到着したのはリーフ達が到着した二時間後だった。すでにノックアウトしたスパークをウォーターとズルズキンが支えている。
「すいませ〜ん、遅くなってしまって・・・・・」
ズルズキンが申し訳なさそうにそう言ったが誰一人として彼を責めなかった。当然悪いのは飲みすぎたスパークであるのだから。
「・・・・チリーン。あれを・・・」
「はい♪」
ペラップに呼ばれた風鈴のようなポケモン、チリーンがスパークのもとに向かう。そして・・・
「癒しの鈴♪」
そう言ってチリーンは自身の体からとても心地よい音色の音をだした。その音に全員が気持ちよさそうな表情を浮かべる。そして肝心のスパークも徐々に顔色が良くなっていった。
「ううっ・・・・
ん?なんか調子が良くなってきたな!!」
スパークは嬉しそうに体を動かす。同時に吐き気もなくなったようだ。
「いやぁ〜、君のおかげで助かったよ!!どうだね?これから一杯・・・」
「「いいかげんにしろ!!!」」
「ぐはあっ!!」
ウォーター・ズルズキンの怒りが爆発。スパークの頭をド突く。スパークはその場頭から煙を出してでのびている。他のメンバーはその様子を苦笑いを浮かべて見ている。
「と、とにかく全員揃ったんで、話に入りますよ・・・」
ペラップが話を変えた。
「え〜、今回の遠征の目的は霧の湖にある宝を探すことになった。それで・・・・」
「なにか見つけたら連絡してね〜♪じゃあ解散〜♪」
「ちょっ!?」
プクリンの台詞で全員が探索に向かった。ペラップは台詞を完全に取られてしまった・・・・。ペラップはその場で頭を抱える。
「あのギルドって大体あんな調子なんですか?なんか凄く不安なんですけど・・・」
「まぁ、確かにプクリンはあんな感じだがな・・」
リーフの問いにエンブオーも苦笑いを浮かべる。
「あっ!!リンゴ!!」
リーフがいきなり叫んだため他のメンバーは少しびっくりする。
「いっただきま〜す♪」
リーフは嬉しそうにリンゴを手に取り、食べようとするが・・・
ガブッ!!
彼女がかぶりついたのはリンゴではなく自分の手(というより蔓だが)だった。手(しつこいようですが蔓です)に取っていたはずのリンゴが消えていた。リンゴを盗ったポケモンはまるで当てつけるようにおいしそうにリンゴをほおばる。
「もぐもぐ・・・・はぁ〜おいしかった♪
さぁ〜て寝〜よぉっと♪」
そのポケモンはまるでたれ○ンダのように寝転がった。リーフはそのポケモンを恨めしそうに見ている。
「り、リンゴが・・・・
リンゴが〜っ!!わたghjpaihのりhkfoagjが〜っ!!!」
「リーフさん落ち着いてください!!それと異言語をしゃべるのはやめてください!!」
暴れるリーフをズルズキンが必死に止める。寝転がっているポケモンはまるで他人事のように見ている。
「何でリンゴ盗っちゃうの〜っ!!!」
「だって、落ちているものはだれのものでもないじゃ〜ん」
寝転がっているポケモン、ヤドキングはかなり嫌みっぽく言う。
「そんなもん先に拾ったもの勝ちでしょうが〜っ!!!(激怒)」
「でももう食べちゃったし〜」
「(こんな怒るリーフ初めてやな・・・・)」
怒り狂うリーフに対して相変わらずのヤドキングである。他のメンバーは今まで見たことのないリーフの怒りっぷりに茫然とする。
「まぁまぁ、僕のリンゴ上げますから落ち着いてください」
「ううっ・・・・」
リーフはズルズキンにリンゴを差し出され、不服ながらも落ち着く。ヤドキングはその様子をみ見てこそこそ笑っている。
「ところで、あなたどうしてここに?」
「どうしてって・・・適当に歩いていたら迷っちゃっただけだけど」
ズルズキンの問いにヤドキングはなんのためらいもなくそう答える。
「まぁいいや、君達も探検隊みたいだし、一緒に行ってもいいでしょ?」
ヤドキングは唐突にそう言いだした。
「いやで・・・・」
「まぁ、いいんじゃないか。 別に困ることもないし」
「そうですね」
リーフが即答で断ろうとしたが、エンブオーに阻まれてしまう。
「はい、じゃあよろしくね〜♪」
こうして(リーフにとっては無理やり)ヤドキングが同行することになった。
しばらく歩いて行くと、ヨルノズクが現れ、て襲いかかってきた。
「サイコキネシス!!」
ヤドキングはヨルノズクの動きを止め、そのまま地面にたたきつける。ヨルノズクはそのまま目を回して気絶している。
「あ〜疲れた」
なぜかヤドキングは再び寝転がってしまった。そうしている間にも、別のポケモンが襲いかかってくる。
「火炎放射!!」
ファイアが火炎放射でポケモンを迎撃する。
「ちょっ!!ヤドキングさん!!何やってんすか!!」
ファイアは寝転がっているヤドキングに向かって怒鳴りつける。そりゃあ戦いの最中に寝転がられたら怒るだろう。
「めんどくさい」
ヤドキングの言葉はそれだった。
「(腹立つでしょ)」
「(はい)」
リーフの耳打ちにファイアは同意した。
「ちっ、またか!!」
ウォーターが舌打ち交じりに呟く。またしても敵が現れたのだ。
「しょうがないな・・・・・波乗り!!」
ヤドキングはその場で凄まじい水流を生み出し、敵ポケモンを一瞬で飲み込んだ。敵ポケモンはそのまま流される。
「はぁ〜疲れた・・・」
三度寝転がる。これには他のメンバーもただただ呆れるしかなかった。
「それより、なんでさっきから敵を倒したあとにどや顔でこっち見てくるの?」
リーフの言った通り実はこのヤドキング、敵ポケモンを倒すたびに(なぜか)どや顔でリーフの方を見ていたのだ。そんな彼にどやキングというあだ名が密かにつけられたことはリーフ以外知る由もない。