第十九話 やっぱりお前は詰めが甘い
「ははははははは!!久し振りだな!!」
氷のフルートを奪ったポケモンは高らかに笑いながらそう言った。
「お、お前は・・・・・」
「誰?」
スパークの言葉のあとに全員が見事にシンクロした。奪ったポケモンとその側近と思われる三人のポケモンは派手にずっこける。
「おい!!俺達のことを忘れただと!?」
「うん」
またもきれいにハモる。
「くそっ!!俺達は第四・五話に出てきたチームゼニガメズだ!!
よ〜く覚えておけ!!」
「嫌だ」
「何〜(怒)!!」
四人のゼニガメのチーム、ゼニガメズは怒りで激怒する。
「とにかく、氷のフルートは俺達が頂いた!!
さら・・・」
「ごちゃごちゃうっせえぞ!!火炎放射!!」
「おっと!」
ファイアが火炎放射を放つも交わされてしまう。
「やはり、邪魔をしてくるな。しかし抜かりはない。今回は凄いものを準備していたのだよ!!(あのヒノアラシってあんな態度だったか?)」
「凄いもの?」
「あれを見ろ!!」
赤い鉢巻きをしたリーダーのゼニガメはそう叫ぶ。
しかし、何も出てこない。
「あ、あれを見ろじゃなかった。こっちからいかなあかんかった・・・・(汗)」
仲間のゼニガメを含めた全員がずっこけた。そのあとゼニガメズは洞窟から出て行く。
「って、逃げるんか〜!!」
「逃げてはない!!」
振り返ると巨大なゼニガメ、いやゼニガメの姿をしたロボットが姿を見せた。
「あの〜さっきから気になってたんですけど、あのゼニガメ達ってだれですか?」
ズルズキンが控えめにそう尋ねる。当然だが彼はゼニガメズのことを知らない(無論ダゲキやローブシンも)
「まぁ簡単に言うとドジで間抜けでかっこつけで意地悪でけちでおまけに・・・」
「そこまで言うな〜!!」
ウォーターのあまりの侮辱にゼニガメズは怒りをあらわにする。後半は関係ないような・・・
「行くぞ!このメカのあふれ出るパワーを見せてやるぞ!!」
ゼニガメロボが構えると同時にリーフ達も戦闘体制に入る。
「こんなロボ、僕がぶっ壊してやります!!とび膝蹴り!!」
ズルズキンはとび膝蹴りでロボに突っ込むが・・・・
「ん?」
パカッという効果音とともにロボの胴体部分が真っ二つに開いた。ロボの胴体は空っぽだったのだ。そしてズルズキンは勢い余って地面にぶつかった!!
「だから、なんでゲームチックに!?」
「ロボットの中身空っぽなのね・・・・」
「まぁ、ゼニガメズ(こいつら )の頭も空っぽだろ」
「やかましい!!
こんどはこっちの番だ!!そぉれぽちっとな♪」
ゼニガメロボは手を切り離す。俗に言うロケットパンチだろう。
「おっと!」
ロケットパンチが飛ぶが、かろうじて交わす。
「もう一発食らえ!!」
もう片方の腕も切り離すも交わすことができた。
「小賢しい!もう一発・・・・・
あれ?」
当然だが腕は二本しかない。ロケットパンチを二回だした。当然腕はない。
「ったく、馬鹿だねぇ、あいつ等」
「でも、足は使えるぞ!!」
ゼニガメロボットは足で踏みつけにかかった。しかしリーフは余裕の笑みを浮かべる。そして何やらサインのようなものを出していた。他のメンバーは頷くが、ゼニガメズにはわからない。そしてファイア、ウォーター、スパークは穴を掘って地中に潜る。
「はははははは!!そんな技などこのロボにはきかん!!」
「そんなこと言ってる暇があったら、まず目の前の敵を倒したらどうですか?
まぁ、ロボットにしか頼れないようなあんたらじゃ無理でしょうけどね」
ズルズキンの挑発だった。ゼニガメ達はまんまと挑発にのった。
「こいつ〜(怒)踏みつぶしてやる!!」
ゼニガメロボはズルズキンを踏みつけにかかるが、軽くかわした。
その後もズルズキンはロボットの踏みつけをかわし続ける。
「畜生!!ちょろちょろしやがって!!」
「ソーラービーム!!」
リーフがロボットに極太の光線を放った。光線はロボを包み込む。しばらくして煙がはれる
「はははははは!!残念だったな!!その程度ではこのロボットは壊せないのだよ!!」
そこにはピンピンしているロボットが立っていた。
「これも駄目なんですか・・・・」
「ちょうどいい!!まずはお前から始末してやる!!」
落胆するズルズキンをよそに、ゼニガメロボットはリーフに向かっていった。しかし、リーフはにやりと笑う。すると・・・・
「うわあああああああぁぁぁっ!!」
突如ロボの姿が消えた。いや、正確には落とし穴にはまったというべきだった。ファイア達はそれと同時に地面から出てくる。
「くそっ!!最初からこれがねらいだったのか!!」
「焦るな!まだロボが壊れてないからどうにかなる!!」
「いや、もうあなた達は詰んでるわよ♪
オニゴーリさん♪」
「な、なに!?」
「あいよ!冷凍ビーム!!」
見るとオニゴーリは冷凍ビームを放つ準備をしていた。それも天井に。
「言ったはずだ!そんな技ではこのロボットは壊せん!!」
「そっ♪だからオニゴーリさんに頼んだの♪」
「何?」
オニゴーリはロボットの真上の天井に冷凍ビームを打った。天井に張っていた大量のつららがみるみる内に巨大化する。それと同時につららは今にも落ちそうになっている。
「ま、まさか・・・・・」
「そのまさか♪これで詰みね♪葉っぱカッター」
ゼニガメズの顔が一気に青ざめる(もともと青いが)。リーフがつららの根元に葉っぱカッターを放つとつららは天井からロボットにめがけて落ちてくる。
「わあああああああああぁっ!!」
つららが刺さったロボットは爆発を起こした。ゼニガメズは爆発に吹っ飛ばされ、壁に頭が突き刺さってしまう。同時に氷のフルートもリーフの目の前に落下した。
「うぐぐぐぐぐ・・・・またしてもやられてしまうとは・・・・
バクフーン様のいいわけを考えないと・・・」
赤ゼニガメは頭を抜きながらそう呟く。他のゼニガメも同じだ。
「くそ〜、覚えてやがれ!!」
捨て台詞を残しゼニガメズは去っていった。
「流石リーフですね。ここまで考えるなんて」
「じゃあオニゴーリさん、約束通り氷のフルート(これ)は貰っていいですよね?」
「ああ」
オニゴーリの承諾を得てリーフは氷のフルートをしまおうとするが・・・・
「あっ、ごめんごめん!それ偽物だったわ!!」
オニゴーリが半笑いで別の氷のフルートを差し出してきた。
「やっぱり最後はこうなるのね・・・・」