第十五話 船乗り……?
その後、リーフとズルズキンがヒトカゲ達を退治しリンゴをたっぷり堪能して戻ってくると、ファイアがうれしそうな表情で待っていた。
「どうしたのファイア?」
「いやぁ、これこれ♪」
やけに上機嫌である。ファイアはリーフとズルズキンに一枚の紙切れを渡す。
「これって・・・七つの秘宝の地図じゃないの!?」
紙切れを見たリーフは声を震わせる。何しろいかにも宝の地図なのだ。更にそれには七つの秘宝と思われる楽器の絵があった。
「これどこで手に入れたんですか!?」
「実はシビル丼からもらったんです。これをやるから食わないでくれって言ってたから♪」
(また食おうとしてたの・・・・・?)
リーフにはあの後またシビルドンを脅すファイア達の絵が容易に想像できた。
「凄いですね!早速地図の場所に……」
「って……。今から行ってちゃ日が暮れるでしょーが……」
ファイアとズルズキンが今にも飛び出そうとしてるところをリーフが止める。おそらく止めていて正解であろう。
翌日、ファイアに押され七つの秘宝を探すことになった。しかしその場所が・・・・・
「どこ?」
わからなかった・・・・。恐らくかなり遠い島だと思われる。
「おいおい・・・・・。どこかわからねぇんじゃどうしようもないやろ・・・・・。」
ウォーターがため息交じりにそう呟く。
「この島は・・・・」
「おい、親父、知らん!とかどこ?とか言うなよ」
「馬鹿言うな!!今回は本当に知っとるぞ!!」
スパークが声を荒らげる。
「この島はサンライ島だ。だがこの島には悪い噂が多くてな・・・、一説には呪いが掛けられている噂があるらしい・・・・」
スパークの言葉に空気が重くなる。
「のろいって、体につける頑丈な・・・」
「って、それは鎧やろ!!」
リーフがボケにウォーターが突っ込む。
「でも、たとえ呪いだろうと鎧だろうと宝があるのに探検隊として黙って見過ごせるわけないでしょ♪」
リーフがそう言った。その言葉に全員が勇気づけられる。
「そうですね・・・・僕ビビってました・・・」
「実はオレもな・・・」
上からファイア、ウォーターがそう言った。
「で、どう行くんですか?」
ズルズキンの言葉に全員言葉に詰まる。海を自力で渡れるのは水タイプのウォーターのみ、しかも彼だけでは運ぶことなど体格的にも無理がある。
「いや、この町に優秀な船乗りがいるって聞いたことがあるぞ」
「本当!?」
スパークの言葉に全員がハモる。
「ああ、確かここから東西にまっすぐいったらその船乗りの家があったはずだ。そこへ行こう!」
スパークがそう言って走り出した。それをリーフ達は追う。
「ここだ」
ついた先は特になんの変哲もない家だった。
「すいませ〜ん」
リーフが扉をノックすると一人のポケモンが現れた。そのポケモンは人型の胴着を着た青色のポケモン、ダゲキだった。
「ん?どちらさまっすか?」
「はじめまして。わたし達は探検隊のリーファイと申します。こちらに船乗りの方がいらっしゃると聞いて伺ったのですが・・・・・」
「船乗り・・・・・?ああ、師匠のことっすか。だったら師匠のもとへ案内するっすよ。ついてきてください」
そう言ってダゲキはリーフ達をある部屋の前に連れて行った。
「師匠!!ダゲキです!!入りますよ!!」
ダゲキはノックして部屋に入る。リーフ達もそのあとを追う。
案内された部屋は広くそこには二本の鉄骨を持ってるポケモン、ローブシンの姿が。
「師匠!!この方達が師匠に用事が・・・・」
「なんの用だ・・・・」
ローブシンが低い声でダゲキの言葉を遮る。
「もしかして、船乗りのローブシンさんでは・・・・」
「いかにも・・・・、ワシは元船乗りだが・・・・」
「実は頼みたいことがあって・・・・・」」
「断る!!!」
ローブシンはリーフの頼みを遮って怒鳴った。
「ど、どうしてですか?」
「どうせワシに船乗りとして船の操舵員になってくれって言うんだろ!!そんな頼みはきかん!!」
ローブシンはそう吐き捨てる。
「どうして船に乗りたくないんですか?」
納得ができないズルズキンはローブシンにそう尋ねた。
「・・・・・面倒くさい」
「へっ・・・・・」
「面倒くさいだけだ!!ワシはのんびりするのが好きなんだ!!さっさと帰れ!!」
ローブシンはそう言って、帰れという仕草で手を振る。
「はぁ〜(汗)。すいません・・・うちの師匠はかなり面倒くさがりなんすよ・・・・」
「さっきから師匠って言ってるけど何の師匠なんですか?」
ファイアはダゲキにそう尋ねた。
「釣りです」
「つ、釣りぃ!?」
思わず全員が素っ頓狂な声をだす。どう見ても格闘技の師匠にしか見えない・・・・。そう思っていたからだ。
「なにをごちゃごちゃ言ってんだ!さっさと帰れ!!」
「じゃあバトルで勝ったら頼みをきいてもらってもいいですか?」
「なに?」
リーフの提案にローブシンは表情を変える。
「な、なにを馬鹿なことを・・・・・」
「できないんですか?」
「ば、馬鹿を言うな!!よし!!ワシが負けたらお前達の言い分を聞いてやってもいいぞ!!
ただし、ワシが勝ったらかえってもらうぞ」
ローブシンはズルズキンの挑発にまんまと乗った。
「おい!言っとくが一対一で相手はリーフ(おまえ )だ!!」
ローブシンはリーフを指差す。
「じゃあ始めましょうか」
「どこからでもかかってこい!!」
リーフもローブシンも戦闘体制に入る。
「じゃあ、こっちから!!」
リーフはローブシンに急接近する。
「あほか!!なに考えとんねん!!」
ウォーターがそう叫ぶ。無理もない、体格では圧倒的にローブシンが勝っている。接近戦ではどう考えてもローブシンが有利になる。
「メロメロ!!」
「えっ!!?」
リーフは体からハートを出しローブシンにぶつける。近距離だったため交わしきれなかった。あまりに以外な技にリーフ以外の全員が素っ頓狂な声をあげる。
「・・・・か、かわいい・・・・」
メロメロを食らったローブシンの目はハートマークになっていた。メロメロ状態になっているのだ。ローブシンは全くの無防備な状態になっている。
「はああああぁっ!!」
リーフは光をためている。依然としてローブシンはメロメロ状態。全く攻撃のそぶりを見せない。
「ソーラービーム!!」
リーフは極太の光線、ソーラービームを放った。ソーラービームはローブシンに直撃する。
その場は大量の煙に包まれた。
しばらくして煙がはれるとそこには平然と立っているリーフと、倒れているローブシンの姿があった。
「これはリーフさんの勝ちですね」
ズルズキンはその様子をみてそう言った。
「じゃあ約束どおり・・・・」
「断る!!面倒くさい!!」
依然としてローブシンは断固拒否である。
「師匠!!約束は守らないとだめっすよ!!」
見るに見かねてダゲキもそう反論する。
「ふん!!だいたいお前と違ってワシはバトルは苦手なんだ!!勝手に決めるとはな・・・・」
(いや、同意したでしょ・・・・・)
「とにかくワシは海には出ん!!」
ローブシンはまるで子供のように拗ねる。
「師匠、いい加減にしないとあれをしまいますよ・・・・・(怒)」
我慢の限界に達したのかダゲキは笑いながらそう言った。笑いながらと言っても目は完全に怒っている。
「・・・・・・・・・(大汗)
わかった!!わかった!!頼みを聞くからそれだけは勘弁してくれ!!」
ローブシンは大慌てで承諾した。
「あれって何なんですか?」
「師匠の部屋のストーブっすよ。師匠は寒い時期(このじき )はずっとストーブの前っすよ」
「・・・・・・・・・」