第八話 下が下なら上も上だ
「先ほどは見苦しいところを見せて申し訳ありません・・・・」
サザンドラはリーフ達に申し訳なさそうに謝る。
「い、いえ・・・・・」
リーフは明らかに引きつった笑みを浮かべながらそう言う。サザンドラに若干恐怖を抱いていた。
「主人は奥で待ってます。どうぞ、ついてきてください」
そう言ってサザンドラは奥に向かって進む。リーフ達も彼についていく。
「こちらです」
「す、凄い・・・・・・・」
サザンドラが案内した部屋は他の部屋より格段に豪勢な部屋だった。リーフ達はそれに完全に気圧されたいた。すると、奥の扉が開いた。そこから九本の尾を持つ妖狐のようなポケモン、キュウコンが現れる。色が銀色からか色違いなのだろう。
「よく来ましたね、リーフさん、ファイアさん、ウォーターさん
え〜と・・・どなたですか?」
「スパークですが・・・・(そんなに影薄いのか・・・私は・・・・)」
スパークはそう思ったが、今日からチームに入った(正式でもない)のだからキュウコンも知るはずがない。
「早速ですが、依頼の話をさせて頂きますわ。この近くにボーマンダの城があるのはご存じですね?
依頼にもあったようにボーマンダの退治をお願いしますわ。サザンドラ、例のものを・・・」
「承知しました」
サザンドラは別の部屋に向かった。
「なんでボーマンダを退治してほしいんですか?」
リーフは気になっていたことをぶつける。
「あのボーマンダには、我が屋敷の家宝を盗まれたり、この町を荒らしたり、悪事の限りを尽くしてきました。討伐されるには十分な理由です」
キュウコンは神妙な面持ちで話し始める。その姿はどこか物悲しい。
「そうですか・・・」
「お待たせしました」
サザンドラが戻ってきた。彼の手には宝石のようなある。
「これは・・・・・?」
「これはいやしのオーブです。草タイプのポケモンが身につけると炎技が無力化され・・」
「聞くよりも体験したほうが早いですわね。火炎放射!!」
サザンドラの説明を遮って、キュウコンがリーフに向かって火炎放射を放つ。炎はリーフを包み込む。
「こんな感じで炎技を受けても・・・・」
「しっかりきいてますけど・・・・」
今度はキュウコンの言葉を遮ってファイアがそう言った。火炎放射を食らったリーフの体は所々焦げている。
「あ、あれ・・・・。確かにこれだった筈やけど・・・」
サザンドラはリーフに渡した宝石のようなものをとって確認すると・・・・・
「これ・・・・・ただのこんぺいとうでした・・・・・」
「えっ・・・・・・」
サザンドラのまさかの発言に全員が固まる。
(しまった〜やってもうた・・・・・。しばらくあいつらに強く言われへん・・・・)
サザンドラはその場で頭を抱える。部下のミスを咎めた矢先自分がそれ以上のミスをしてしまったのだ。
「早くオレンの実を・・・」
「は、はい〜(汗)」
キュウコンに促されサザンドラは再び部屋を後にする。
「お待たせしました〜」
「早いな!!」
サザンドラにウォーターが突っ込む。
「申し訳ありません・・・・、これを・・・」
サザンドラのはリーフに青色の木の実を渡す。
「今度はオレソの実でした、ってことにはならない?」
「・・・・・・・・・・・」
リーフの言葉を聞いたサザンドラはその場で木の実を確認した。その後黙って木の実を取り換えた。
(また間違えたな・・・・・)
ウォーターは心中でそう言った。
「・・・・・・・本当に申し訳ありませんでした・・・」
キュウコンがリーフに頭を下げる。サザンドラはショックで倒れてしまっている。
「い、いえ・・・・・・」
リーフにはそう言うしかなかった。彼女の体はオレンの実である程度回復していた。
「では、あらためて・・・・ボーマンダの討伐お願いしてもよろしいですか?」
「はい!!」
キュウコンの質問に四人は同時にそう答えた。
「そうですわね・・・・、ズルズキン」
「は、はい!!」
突然呼ばれズルズキンの返事は若干裏返っていた。ちなみに彼の体は所々包帯が巻かれている。
「リーフさんに同行してもらいます」
「え〜!!な、なんで僕が!?」
突然の指令にズルズキンは驚愕の声をあげる。
「あなた、もろはの頭突き使えるでしょ」
「は、はい(相性の問題ですかい!!)」
ズルズキンは心中で突っ込む。それでも・・・・
「わかりました!!行きます!!」
「それではこれを・・・・」
キュウコンはリーフ達に大量の道具を手渡す。その中には(本物の)いやしのオーブなど専用道具もあった。
「い、いいんですか!?」
「ボーマンダが退治されるなら安いものですわ。ご健闘をいのりますわ」
「ありがとうござます!!」
リーフ達は屋敷を後にし、ボーマンダの城へと向かった。
一方その頃サザンドラは・・・・・
「あ〜、あんなミスを犯してしまうとは・・・・・」
まだ頭を抱えていた・・・・・。