第十三話 クローの物語1
「ここで間違いないのだな!?」
トゲトゲ山に一人のワニノコのクローがいた。彼の隣にはフシギダネ、ナエトルがいる。
「間違いありません。この山の頂上に七つの秘宝の一つが隠されているとの情報が入りました」
「よし!では一気に行くぞ!!」
クローは気合の入った掛け声とともに山の中に入って行った。そのあとをフシギダネ達が追う。
「気合パンチ!!」
クローは気合パンチで襲いかかってきたムックルを撃退した。ムックルはその場で目を回して倒れている
「流石クロー様!」
「ふん!まったく手ごたえないぞ!!それより本当にこんなダンジョンに隠されているのか!?」
部下の賛辞には耳も傾けないクロー。そればかりか部下の情報に疑問を持つ。
「間違いありません。あの大型組織がねらっていたくらいですからね」
「そうか・・・・」
クロー達は先に進んでいった。
「ここが頂上だな!?」
あれからとくに苦戦することもなく頂上にたどり着いた。
「あの穴に隠されているようです。しかしどうしましょうか?」
ナエトルは目の前にある小さい穴を指差した。しかしその穴はクロー達のような小柄な体でも通り抜けそうにもない小さい穴だった。
「ふん!こんなもん・・・・・
--気合パンチ!!」
クローは壁に向かって気合パンチを繰り出した。壁は一気に崩れ落ち、その中から宝箱のようなものが姿を現した。部下たちは”おぉー”と感心の声をあげる。
「おお!!これか!!」
宝箱を目の前にクローは興奮しだした。彼の声は興奮のためか若干だが震えている。
「よし!宝は・・・・」
「まちな!!」
「ん?」
クローが宝箱を開けようとした時、どこからか声が聞こえた。クローは声のした方へ向くとヒトカゲ、スカタンク、ドガース、ズバットの姿があった。ヒトカゲは以前ズルズキンを襲った者、スカタンク、ドガース、ズバットはクローやファイアにボコボコにされた連中であろう。
「その宝は俺様が前々から目をつけてたんだ。こっちに渡してもらおうか」
ヒトカゲがそう言う。恐らく彼がボスなのだろう。
「ふん!お前なんかに渡す気など毛頭ない!!」
クローは当然言い返す。
「しょうがねぇな、おいお前ら!!こいつらをやってしまえ!!」
ヒトカゲはそう言うがスカタンク達はガタガタ震えていた。無理もない。以前自分をボコボコにした相手なのだから。
「ガハハハハハハ!!!随分弱っちい部下だな!!お前達!!スカタンク達(こいつら )の相手をしろ!!あのヒトカゲはワシがやる」
「承知しました」
「クックック・・・・毒タイプの俺等に草タイプをぶつけるとはな・・・」
スカタンク達は先ほどとは違い余裕の表情を浮かべる。クローと闘わずにすんだからだろう。
「シノ!!てめぇ足引っ張んなよ!!」
「お前に言われたくないわ!!このデブ蛙!!」
「んだとぉ!?」
シノと呼ばれたナエトルとフシギダネが口論を起こす。
「へっ、なんだこいつらチームワークバラバラじゃねぇか」
「これじゃあ、楽勝かもな」
ドガースとズバットはその様子をみて嘲笑う。最早自分たちの勝利を信じて疑っていない。
しかし世の中そんなに甘くはなかった。
「行くで!!葉っぱカッター!!」
シノは地面すれすれに葉っぱカッターを繰り出すがそれは軽くジャンプでかわされてしまう。
「蔓の鞭!!」
フシギダネは蔓をだしてスカタンク達をとらえ、そのまま地面にたたきつける。ズバット、ドガースはそのまま気絶する。
「リーフストーム!!」
シノが葉っぱの嵐、リーフストームをスカタンクにぶつける。スカタンクもそのまま倒れる。
「なんや、こんなもんか」
「弱ぇな」
シノとフシギダネは倒れているスカタンクを見てそう吐き捨てた。
「さて、クロー様はどうなっとうかいな」
「火炎放射!!」
「遅い!ハイドロポンプ!!」
ヒトカゲの火炎放射をかわし、ハイドロポンプで反撃する。
「くっ!!」
ヒトカゲはかわせないと判断し、爪で防御する。弱点のため、ダメージは大きいが致命傷にはならなかった。
「アイアンテール!!」
ヒトカゲは鋼鉄の尻尾、アイアンテールで反撃するが、かわされ、クローが壊した瓦礫の山に直撃。
瓦礫は粉々になる。
「ふん!!少しはやるようだな。だったら・・・・
ハイドロカノン!!」
クローはハイドロポンプを上回る水流、ハイドロカノンで攻撃する。かわしきれずヒトカゲはそのまま倒れる。
「ふん!この程度か・・・」
クローはそう言って宝箱のもとに行くが・・・・
「な、なんだと〜!!!」
宝箱を開けたクローの第一声はこれだった。実は先ほどの戦いで七つの秘宝の一つが壊れていたのだ。クローが唖然とする中、それをシノが入念に調べている。
「・・・・!!!!クロー様!!これは偽物、ただのガラス細工です!!」
「何〜っ!!
これではワシが馬鹿みたいでないか・・・・・」
クローはその場でうなだれる。
しばらくして・・・・
「なにが間違いありませんだ〜!!ワシに恥をかかせおって〜!!」
「すいませ〜ん!!」
クローはシノ達に怒りをぶつける。この日トゲトゲ山には一日中クローの怒声が響いていた。