第七十七話 見た目は厨ポケ、中身は…… 2
---この世は力こそがすべてだ---
---オレに力がなかったからこんな辛い目にはあわなかったのに---
---そうだ、この大会で優勝すればオレに圧倒的な力がつく---
---そうだ。どういう手を使っても勝てばいいのだ---
”彼”はそう思いながらただ次の対戦相手をバトルフィールドでトレーニングをしながら待っていた。しばらく待っていると彼の対戦相手と思われるポケモン達が来たようだ。
「えっと、二回戦のフィールドはここかな?」
「そうみたいっすね。あっ!!アレ見てください!!」
リュウセイが見たものは対戦相手と思われるバンギラスとエアームドが戦っているところだった。
「行くぞ。鋼の翼!!」
エアームドはバンギラスに高速向かい、自慢の鋼鉄の翼をバンギラスに叩きつけた。だがバンギラスは効果抜群にも関わらずまるで蚊に食われたとでも言わんばかりの表情である。
「ちっ、やっぱお前相変わらず固いな」
「そうか。ん?対戦相手が来たようだな」
エアームドの言葉を軽く聞き流しバンギラスはリーフ達の方に振り向いた。
「す、すごい……バトル前なのに特訓するなんて……」
「もしかして君達は最果て砂漠の時の……チームか?」
「は、はい……。もしかしてあの時のバンギラスさん!?」
リーフとバンギラスは互いに以前あったことがあることを思い出す。最果て砂漠でかつて出会ったあのバンギラスだ
「そうか、君達が我ら”チームサダメ”と次に当たるチームリーファイか?」
「はい!!いいバトルをしましょう!!」
リーフが握手代わりに蔓をバンギラスに差し出す。
「ふん!いいバトルだと……?、お前達にとっては楽しめればいいかもしれんがな……オレ達は……」
『へっ?』
バンギラスは一瞬だけ物悲しい表情になったがすぐに元の表情に戻り、小さく呟いた。それはリーフ達は勿論仲間と思われるエアームドも聞き取れないほどに。
「まあいい!!とにかく勝負だ!!勝つことがどれだけ大事かお前達に教えてやる!!この場でお前達を打ち負かしてな!!行くぞムドウ!」
「ハガネ、落ち着かんかい!!」
なぜか怒りを含めた言葉で バンギラス-ハガネをエアームド-ムドウがなだめる。
「砂起こし!!!」
ハガネが勢いよく叫ぶと一瞬にして天候が”砂嵐”状態になった。バンギラスの特性”砂起こし”だ。特定のタイプ以外のポケモンは少しずつダメージを受けてしまう厄介な天候だ。
「うわっ!!これじゃよく見えないよ〜」
辺り一面が砂でおおわれ視界が悪くなっていた。普段砂嵐状態に慣れてないリーファイには相当な悪条件だろう。
「(辺りが見えなくてもこれなら!)マジカルリーフ!!」
リーフは絶対に命中する技マジカルリーフを岩タイプのハガネに向けて放った。だがマジカルリーフは横からでた何かに阻まれてしまう。
「甘いのぉ……」
ムドウだった。飛行・鋼タイプの彼には草タイプの攻撃などかすり傷程度にもならない威力である。
「だったらこれだ!!火炎放射!!」
「守る!!」
今度はハガネがムドウを守るように前に出て、文字通り守るを出した。火炎放射は完ぺきに防がれる。
「もう一度火炎放射!!!」
ファイアがもう一度ムドウに向けて火炎放射を放つ。しかしムドウはとっさに上空に飛び回避。火炎放射は後ろにいたハガネに直撃する。だがハガネもまるで攻撃を食らった様子を見せない。
「やっぱり砂嵐状態だから効果はないか……」
リーフの言うとおり岩タイプのポケモンは砂嵐状態だと特殊防御が強化される。ただでさえ炎タイプの技は岩タイプには効果が薄いのにこの効果ではほとんどダメージが入らない。
「だったらこれで!!メタルブレード!!」
「燕返し!!」
リーフが鉄の葉をもってハガネに接近するが、またもムドウに阻まれてしまう。メタルブレードと燕返しの威力はほぼ互角で互いに相殺されるが……
「っ……」
なぜかリーフだけがダメージを受けたような辛そうな表情を浮かべた。それは砂嵐状態のダメージではなさそうである。
「なぁ、デブ」
「なに?」
バトルをフィールド外から見ているアンドロメダの2人。砂嵐状態で少し見えずらい中このバトルに何か違和感を感じていたのだ。
「あのバンギラスとエアームド。なんかおかしいとおもわねぇか!?」
「確かに。何でさっきのぶつかり合いでリーフさんだけダメージ受けたんだろうね?」
「それだけじゃねぇよ。あのバンギラスを見てみろ!!」
リュウセイはハガネを凝視した。いくら火炎放射が効果が薄いからといって完全に無力化した訳ではない。彼の体にほんの僅かに焦げた跡が残っていた。
「だが、今のあいつにはそのあとがねぇ。さっきの姉貴の時といいあいつらなんかおかしいぜ!!」
「だよね。なんか隠し持ってるんじゃないかな〜」
「それだ!!!」
このバトルの不可解な現象、それをこの2人は探っていた。しばらく考えるとリュウセイは一つの結論を導き出す。
--ひょっとしてあいつ等!!いや、間違いねぇ!!--
確信を得たリュウセイは無意識に立ち上がる。
「リーフの姉貴!!!気をつけてください!!あいつら道具を隠し持ってます!!」
「えっ!!?」
「ちっ!?」
リュウセイの結論、それは道具の所持であった。普通のポケモンにはないことがあることを道具が原因と判断したのだ。ハガネが苦虫をかみつぶした表情をしたことから事実である確率が高い。
「そうか……でも何の道具だろう?」
「だったら確かめればいいんじゃないの!?」
そう啖呵を切り、リーフは鉄の葉を所持しながら敵に向かって真正面から突っ込んでいった。まさか自分から苦手相手に突っ込んでくるとは思わなかったムドウは一瞬だが隙を見せる。
「いまだ!!鋼鉄落とし!!」
「ぐおっ!!」
「ちぃっ!!」
リーフは思い切りハガネとムドウに鉄の葉ではたいた。はたかれたハガネ達からそれぞれ道具と思われる物体が転がり落ちた。
「あれは!!」
「ゴツゴツメットと食べ残しだ!!」
ハガネからはリンゴの芯をほうふつさせるようなものが、ムドウからはヘルメットに所々岩が生えている道具が姿を現した。それぞれファイアが言った通りの道具、食べ残しとゴツゴツメットだ。
「ねぇリュウセイ。あの道具なに?」
「おめぇは何にも知らねぇのか?平たく言うと、食べ残しは体力回復、ゴツゴツメットは触れた相手にダメージを与えるんだ。さっきの現象もあれのせいだろ」
「ふ〜ん、じゃあさっきはリーフさんに道具が”はたきおとされた”ってこと?」
「そうだよ。……って話が繋がってねぇだろ!!!」
ちなみにこれらの道具は人間の世界で主に使われたもの、あまりポケモンの世界では知られていないのだ。
「くそっ!!オレ達の作戦が……」
「道具を隠し持つなんて卑怯だよ!!」
道具をこっそり所持されたことに怒るファイア。だが念のため言っておくが道具を隠し持つことはイカサマでも卑怯でもズルでも反則でもなんでもありません。むしろポケモンバトルは道具を隠し持つことが普通です。
「黙れ!!勝てばなんでもありなんだよ!!勝利までの過程なんて知ったことか!!!」
ファイアの言葉に逆上するハガネ。彼の言動から異常なまでに勝利に執着しているところがうかがえる。
「メタルブレード!!」
「ぐはあぁっ!!」
怒り狂うハガネにリーフがメタルブレードを仕掛けた。攻撃に気付かなかったハガネはまともに攻撃を食らう。
それでもハガネは持ちこたえ、一度はよろめくもしっかりと体制を立て直す。
「もう一度!!」
「っ!!守る」
「ぅおっとととと……」
リーフはもう一度攻撃をしかけるがハガネは緑色のシールドを出して攻撃を防いだ。いや、正確には攻撃を止めさせたと言い換えるべきだった。守るを見たリーフは寸前で攻撃を止めたのだ。
--ふぅ〜危なかった〜。もうちょっとでばれるところだったわね……--
守るを見て、攻撃を止めたのはなんらかの作戦あってのことだろう。だが、その作戦はハガネ達には知られていない。
「もう一度!!!」
「無駄や!!燕返し!!」
リーフは再三ハガネに攻撃を仕掛けるもまたしてもムドウが防ぎにかかる。だがリーフはにやりと口元をあげて笑みを浮かべる。
「めざめるパワー!!!」
「な、なんやと!?」
リーフはこれまで一度も出していなかった技、めざめるパワーを繰り出した。リーフの周りに赤色のエネルギーが発せられムドウに直撃していく。彼女のめざめるパワーは炎タイプ即ちムドウの弱点技であったのだ。
「ぐおおおおおおぉぉぉっ!!」
エアームドは物理攻撃には強いが特殊攻撃には非常に打たれ弱い。それゆえに炎タイプの特殊攻撃、めざめるパワーはかなりの痛手となった。鋼タイプのムドウは高温の攻撃に体力を奪われていく
「くそっ!!なかなかやりおるな!!せやけど俺はまだまだやで!!”はね休めだ”!!」
「-----------ファイア!!」
リーフが叫ぶとムドウの足元の地面が少しだけ盛りあがってきた。
「穴を掘る!!」
「ぐがっ……」
地面からファイアが現れはね休めしているムドウに突進してきた。本来飛行タイプで効果のない地面技だが、はねやすめの効果として鋼タイプ単色になったムドウには逆に効果抜群になってしまう。
「かはっ……」
まともに弱点技を連続で食らったムドウはそのまま声をもらしながら倒れる。
「くそがっ!!だが俺はあきらめんぞ!!砂岩(さがん)の刃!!」
ハガネは仲間が倒されたことにより一瞬動揺を見せるもすぐに反撃に転じる。地面から岩の刃(ストーンエッジ)の鋭い岩に砂嵐の砂をまぜた刃を一斉に打ち出す。
「リフレクター!!!」
リーフはファイアをかばうように物理技を半減する壁、リフレクターを地面に張り自身に襲いかかる岩と砂の刃を防御する。だが……
パリン……
「えっ!?」
「マジかよ!?」
なんと本来時間経過でないと消滅しないリフレクターがあっけなく破壊されてしまったのだ。砂岩の刃はそのままリフレクターを破壊しながらリーフに直撃する。
「うぅ……」
「大丈夫リーフ?」
「なんとか……リフレクターがなかったらやばかったかもね……」
これまでの砂ダメージ等が蓄積しているためか既にリーフの体がボロボロになっていた。
「もちこたえたか……。だが、これで俺の勝ちだ!!砂岩の刃!!」
ハガネは止めと言わんばかりに砂岩の刃を放つ。だがリーフはさけようともせず目を閉じ、メタルカッターを握ってじっとしている。
「…………」
「な、なにしてんだリーフの姉貴は!?よけなきゃやられるってのに!!」
「---------!?リュウセイ!!あれを見てよ!!」
観客の2人はリーフの、正確にはリーフが所持していた葉の異変に気付いた。先ほどまでただの鋼鉄だった葉が緑色のオーラに包まれていったのだ。
「深緑の刃……」
「えっ?」
「そうか!!そういうことか!!」
リーフは軽く呟いた言葉によってリュウセイは目なぜかを閉じてじっとしていたリーフの行動が理解できた。
「そうかって一体何が?」
「あれだよ。チコリータの特性、深緑の力をあの葉っぱに伝えたんだよ!精神統一みたいな感じでよ!」
「へぇ〜。よくわからないけど凄いね〜」
「終わりだあああぁぁっ!!」
「させない!!」
ハガネが放った渾身の砂岩の刃をリーフは全て深緑の力を有した葉の刃で打ち消した。
「バカな!!オレの攻撃が!!」
「これで……最後……」
砂岩の刃を打ち消したリーフはそのままハガネに攻撃をしかけていった。動きが鈍重なハガネにはよけることはできずにそのまま斬撃を食らう。
「そ……そんな……」
ハガネは必死にもちこたえようと踏ん張るが、弱点技のダメージは大きくそのままドシンと大きな音を立てて倒れた。これによりチームサダメが全員戦闘不能になった。
「危なかった……」
「やりましたね姉貴!!!」
「すごいですよ〜。あの攻撃を打ち破るなんて♪」
バトルを見ていたアンドロメダの2人もリーフを絶賛する。ちょっと蚊帳の外となったファイアが少しさみしそうな顔をしていたのは秘密である。
「くそっ!俺達の負けかいな!!」
「でも、ボク達ももう少しでやられるところでしたよ」
悔しそうに地面を叩くムドウにファイアが声をかけた。
「……笑えよ」
『えぇっ!!?』
ハガネが呟いたひところに先ほどまでのムードが一変する。驚くリーフ達をよそに彼は続ける。
「俺達はお前達にあれだけ大きな口をたたいておいて負けたんだ。俺達のことを笑えばいいさ!!!」
「笑わないよ」
「なんだと!!?」
自分を攻め立てるハガネにその言葉を真っ向から否定するリーフ。ハガネは信じられない顔をする。
「だって、これだけ楽しくていいバトルができたんですもの。誰がこのバトルを笑うの?」
「いいバトルだと……そんなもの負けてしまえば意味がない!!!」
「お、おいあんた!一体どうしたんだよ!?」
これまでの発言に耐えられなくなったのかリュウセイはハガネに問いただす。
「もともと俺は小さい頃の俺の家は土地をたくさん持っている裕福な家庭で楽しく幸せに暮らしていた。だが俺の両親に土地の権利書を渡せと政府のポケモンが押し掛けてたんだ。勿論両親は反対したさ」
「……」
「だが、そのためにあきらめきれなかった奴らは強硬手段に応じたんだ」
「強硬手段って?」
マンプクが普段のような能天気な声のトーンで聞きかえす。その言葉にハガネは小刻みに体を震わせてた。
「あいつら、両親がいつまでたっても土地をよこさないのに苛立って、別の組織の奴らに両親の殺害を依頼してきやがったんだ!!」
『----------!!!!』
ハガネから出た衝撃的な言葉にアンドロメダの2人は固まってしまった。内容の知っているリーフとファイアも神妙な面持ちで話しを聞き続ける。そう、彼の両親を殺したのはファイアの兄のバクフーンなのだ。
「結局両親は殺されてしまった。残された俺は孤児院に送られたんだが……」
-----------
「よぉ、おめぇ両親が殺されたヨーギラスじゃねぇか」
「な、なんだよ……」
「おめぇ、さっきからしけた面しやがってかわいくねぇガキだぜ!!」
「うわっ!!」
当時ヨーギラスであったハガネは孤児院にいたフライゴンとプテラにいじめを受けていたのだ。両親がいないという極めて幼稚な理由だが、心がボロボロになったハガネにはかなりこたえる。
「むかつくぜ!!アイアンテール!!」
フライゴンはハガネに攻撃する。ヨーギラスで力の弱いハガネは抵抗するにも抵抗できなかった。
「ぎゃはははははははは!!よえぇっ!!無茶苦茶よえぇなこいつ!!」
「なんだ?やり返すのか?」
しかし、ハガネはその場にへたり込んで泣き崩れた。
「なんだよ、やり返してこねぇのか。泣き虫め、だったら死ぬまでやってやるか?」
「お、おい……そりゃまじぃだろ……」
躊躇するプテラに対して罪悪感を全く見せないフライゴン。
「知るか。こんな野郎ぶっ殺したくれぇで何にもかわりゃしねぇよ。大体こんな奴見てるだけでムカついてくるぜ」
「お、オレはしらねぇからな!!」
プテラはその場から逃げるように去っていった。
「ちっ!いくじなしめ!まぁいいや。さっさときえn……」
「おいこら!!てめぇら!!なにしてんねんごらあぁっ!!」
「やっべ、ムドウだ!!覚えてろよ!!」
エアームドのムドウはフライゴンに突進しようと突っ込んできた。フライゴンは捨て台詞を残して去っていった。
「ったく、あの野郎共……、おい、おめぇ大丈夫か?」
「う、うん……。でもどうして俺を助けたんだ?」
「あいつの仲間のプテラが教えたんや。あのフライゴンはオレがきつくいたぶっとくさかい安心せぃ」
---------
「(ハガネの奴……あの事を思い出したようやな……)」
ムドウは自分とハガネの出会いを思い出していた。ハガネも孤児院にいても孤独でいじめにあっていたことを同じく語った。だが、彼の頭には仲間であるムドウのことは入ってないのだが。
「俺に力があれば……オレがあのバクフーンを殺すことができていれば……こんな辛い目に……
お前達に……お前達に俺の気持ちが分かってたまるか!!!」
ハガネはこれまで溜まった感情を爆発させる。彼がどれほどの悲しみを背負って生きていたか。それがひしひしと感じられ、誰もが口を閉じてしまう。そんな中一人だけ口を開ける。
「確かにあなたがどれだけ辛い思いをしたかはわからない。でも、どんな理由復讐してやり返すことは絶対に間違ってる!!!」
「俺が間違えてるというのか!!」
そんな中リーフは口を開き必死に説得を図った。だが、ハガネは感情を抑えることができずにいる。
「もしたとえ悪の命だとしても!簡単に奪ってしまったらそれであなたの両親は!あなたの仲間は本当に喜ぶの!?簡単に殺すなんてしたらそれで今までさげすんでいた悪党と一緒になっちゃうの!!」
「…………」
リーフの渾身の説得にハガネは先ほどまでの様子とは打って変わって黙る。
「仲間だと?だが俺には仲間なんて……」
「いるよ」
ハガネの疑問を遮ってリーフは即答する。
「あなたはバトルには意味がないと言ってたけど、このバトルでわたし達という仲間もできた!それはこのバトルがあってからえられたものじゃないの!?」
「お、お前達は俺を……こんな俺を仲間だと認めてくれるのか!?」
ハガネは声を震わせながらそう尋ねた。リーフさっきまでの真剣な表情とは打って変わって満面の笑顔で首をたてにふる。
「それに、もうあなたにはついてきてくれるムドウ(なかま)がいるじゃない」
「えっ……?」
ハガネは隣にいたエアームドに振り向いた。ムドウもまた満面の笑みで頷いていた。
「ムドウ、こんな俺についてきてくれるのか?」
「当たり前やないか。お前は俺のリーダーやねんぞ」
ムドウの言葉にハガネにの目には若干涙が浮かんでいた。そんな若干涙声になっているハガネが口を開ける。
「リーフ、頼みがある。俺をこの大会の間でいいから連れてってくれないか?仲間だと言ってくれたお前達と一緒に強くなりたいんだ」
「ほ……本当に!?」
「あぁ、勿論復讐の為じゃない。仲間だと言ってくれたお前達のために、俺についてきてくれる仲間の為にもっと強くなりたいんだ。構わないか?」
「…………」
「ダメ……なのか?」
黙りこくるリーフに不安そうな顔をするハガネ。だがその心配も杞憂に終わる。
「勿論大歓迎よ!!ねぇみんな!?」
リーフは快く承諾したファイアやリュウセイ達も嬉しそうに迎え入れた。
「リーフよ、ありがとう!!!本当にありがとう!!!」
ハガネは声を大にして大いに泣いた。だが今度は嬉しさのあまりの男泣きだということはだれしもがわかっていた。
以前までの暗い雰囲気が嘘のように明るいムードが辺りを包み込んだ。