第四話 ヒーローもどき!? vsゼニガメチーム
「依頼がな〜い!!」
「のっけからやかましい!!」
唐突なファイアの叫び声にウォーターがとび蹴りを食らわす。彼が弟に暴力を振るうのは今に始まったことではない。なぜこんなことが起きたのかというと、掲示板に依頼が何一つなかったのだ。
「で、どうするの?」
リーフが割って入るように尋ねる。
「とりあえず・・・おいお前、ちょっと準備してこいや」
ウォーターがファイアにカバンを押しつけながらそういう
「え〜、何で僕なんすか?」
「はよ行け!」
「っ痛!!」
またウォーターがファイアにとび蹴りを食らわす。
「なんで二回も蹴られなきゃいけないの・・・」
ファイアは蹴られたとことを抑えながら渋々準備に向かう。
「やっぱりやりすぎじゃないの?」
流石にリーフもそう言わざるを得なかった。やってることが悪役にしか見えないと感じたからだ。
「とりあえず、ファイア(あいつ )がいっとる間にこの辺案内しとくわ」
「(スルーされた!)」
「ここがポケモンタウンや」
ウォーターが連れて行った所はポケモンタウンと呼ばれる探検隊のための施設が充実した所であった。
現在も多くの探検隊で賑っている。
「お〜い」
どこからが声が聞こえた。
「あれ?声がせえへんかったか?」
「うん、確かに声はするんだけど・・・」
二人とも声の正体はつかめない様子だ。
「声のする方へ来てみいや、声のする方へ」
二人が声のするほうへ向かう。
「よう見てみい、声のする方をよ〜く見てみい!」
「おった〜!!」
声をそろえてそう叫んだ。
「遅い!!」
赤い猿のようなポケモン、ヒコザルがそう叫ぶ。
「いや〜相変わらず影薄いなぁ〜(笑)」
「笑って言わないでよ!!何でリーフ(きみ )まで初対面でそんなこと言うのさ!!」
しかし・・・
「何で誰もいないのさ〜!!」
ヒコザルのまわりには誰もいなかった。完全に無視されている。
「何で置いといたの?」
「あいつと絡むんのめんどいねん」
「・・・・・(汗)」
ウォーターの横暴っぷりにリーフは完全に閉口していた。
「ん?あれって・・・・?」
リーフが指差した先には四人にゼニガメがあるポケモンを取り囲んでいた。
「きっと仲のいい友達なのね〜」
「んな訳ねえだろ!!事件だろ事件!!」
すると四人のゼニガメ達はそのポケモンを拉致していった。
「やばい!追うぞ!!」
「うん!!」
リーフ達はゼニガメ達のあとを追った。
「はぁ〜大体兄さんはいっつも僕ばっかこき使って・・・ぶつぶつ・・・」
ファイアが愚痴たれていると、突如先ほどのゼニガメ達が突進していた。
「え〜っ!! うわっ!!」
ファイアは弾き飛ばされた。
「痛ったたた・・・
・・・・ん?」
ファイアが見た先にはリーフ達だった。
「ファイア!!早よ来い!!」
ウォーターがファイアを無理やり引きずる。
「痛い痛い痛い!!!!」
先ほど痛めた所を引きずられファイアは悲鳴をあげる。
「ここは?」
「ここはトゲトゲ山や」
ウォーターはいかにもトゲトゲしい山を指しながらそういう。
「ハゲハゲ山?」
「トゲトゲ山じゃ〜!!ボケてる場合じゃねぇだろ!!」
「痛いってば〜!!」
リーフのボケに突っ込みながらウォーターはファイアを引きずりながら中に突っ込む。そのあとをリーフも追う。
「ふふふ、決まったな。あとはこいつに宝を取りに行かせれば任務成功だな」
先ほどポケモンを拉致したゼニガメ達はそう呟く。ちなみにこのゼニガメ達はそれぞれ赤色、青色
黄色、黒色の鉢巻きをしている。
「当たり前よリーダー。なんといっても俺達は世界一かっこいいチームだからな!!」
青色のゼニガメがそう言ったあと、四人がポーズを決めた。恐らく彼のセリフから赤色のゼニガメがリーダーなのだろう。
「さてと・・・さっさとあの穴から財宝を取ってこい!!」
黄色のゼニガメがそう脅すと・・・
「ちょっと待って!!」
「ん?」
ゼニガメ達が振り向いた先にはリーフ達が立っていた。
「な、なんだお前たちは!?」
「わたしたちは探検隊よ。寄ってたかって一人を相手に卑怯じゃないの?」
「くそっ、リーダー!探検隊だ。どうする!?
・・・ん?」
黒いゼニガメが一瞬動揺するが、ファイアを見て軽くにやける。ファイアは汗だくで震えていた。
「ふふっ、お前たちはまだ新入り探検家だな?」
赤いゼニガメが見透かしたようにそう言った。
「(あちゃ〜・・・・)」
リーフとウォーターは同時に、こう思った。ファイアはどうみてもまともに動けそうにない。
「俺達は世界一かっこいいチームゼニガメズだ!!俺達の邪魔をするやつはギャフンといわせてやる!!」
「(ネーミングセンスゼロ!!しかも自分でかっこいいって言ってるし!!)」
「てか何その狙ったような構成は?ミュータ●トター●ルズ?」
「違うわ!!」
ちょっとまずいセリフにゼニガメズの面々は思わず突っ込まずには居られない。
「……
大文字!!」
突如ファイアが大文字を繰り出す。その威力は凄まじく、ゼニガメ達をあっという間に炎に包みこむ。
「ぎゃふん!!」
ゼニガメ達戦闘不能
「くそう・・・バクフーン様にいいわけを考えないといけないじゃないか・・・・
とりあえず覚えてやがれ!!」
ゼニガメ達は捨て台詞を残し去って行った。
「ファイア、お前いつからそんなつよくなったんだ?」
流石に驚いた様子でウォーターはそう聞かざるをえなかった。
「トイレ〜!!!!」
ファイアは一目散に山を下って行った。
「もしかしてトイレ行きたいからあんな力がでたんじゃ・・・」
「失敗しただと?」
場所は変わって暗い要塞のような所、そこには先ほどのゼニガメ達と彼らがいっていたゼニガメ達より大きいヤマアラシのようなポケモン、バクフーンがいる。彼に問い詰められ、ゼニガメ達は冷や汗を垂らす。
「も、申し訳ありません・・・。邪魔が入ったもんで・・・。」
「とにかく今は下がっていろ。次の指示は後でだす。次失敗すればそれ相応の罰を下すからな」
「ははっ!!」
ゼニガメ達はその場を去った。
「へへっ、やっぱりあいつら失敗したようだな」
そういいながら依然リーフ達を監視していたサメハダーが現れる。言葉づかいから立場は対等なのだろう。
「ふん、奴らの失敗など想定の範囲内だ。それより我々も仕事だ。すぐに向かうぞ」
「やっと仕事か暴れてやるか!」
「目立つなとあれほど言ったはずだ」
「わっ、わかってるよ!」
バクフーン、サメハダーもその場を去った。