ポケモン不思議のダンジョン 葉炎の物語 〜深緑の葉と業火の炎〜









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第五章 人気者
第六十五話 ふざけんじゃねぇ!!

「…か……?」










「--私の領域に踏み入れたのは…お前たちか……?」







「私はミュウツー。最強のポケモンだ!!」








 --アルタイルとシリウスを加えたリーフ達一行に突如とした現れたのは遺伝子ポケモン--ミュウツーの姿があったからであった。テリトリーに足を踏み入れられた怒りからか既に攻撃の体制をとっていた。そんなミュウツーはふとサスケへと目をやる。
 睨まれたサスケは思わず後ずさり、怯えた様子で迫るミュウツーにあわせて一歩ずつ逃げる。


「貴様は……ッ!!」

「あっ……ああぁ……」

 明らかにお互いのことを知り合っている二人の様子にリーフとアルタイルは思わず首をかしげる。ミュウツーは両手に力を込め、暗黒に近い色の球体を生成し始める。
 球体は徐々に大きくなっていきミュウツーの胴体の半分近くの大きさにまでなっていた。










「この……!!裏切り者がぁッ!!」


 



-- --





「彼らが落ちた先--そこは何人も入ることを許されない禁断の地だ」

『禁断の地!?』


 リーファイ基地に訪れたライトとアドン。彼らはリーファイの面々にリーフとサスケが落ちた先について口にした。リーファイの面々は全く同じタイミングで同じ語句を口にする。

「もともと人やポケモンが手を加えてはいけない土地だった……。大地のエネルギーが集約している地だった。だがかつて、身勝手な人間がそのエネルギーを求めてその地を荒らしに行った……」

「聞いたことないな……そんな話は」

 釈然としない様子のスパークに対しアドンがすかさず付け加えた。自分達の先代はその人間に仕えていた。しかし人間達が荒らしたばかりに災厄が生じ、地上にいる多くの人やポケモンが犠牲になったという。
 かろうじてその地を元通りにし何人の立ち入りを禁ずることで災厄はおさめることができたが、リーフとサスケが落ちたことにより、また災厄が生じようとしていた。


 それを耳にしたリーファイの面々の表情が一瞬で青ざめた。リーフが、ひいては自分達もがその災厄に見舞われることを頭のなかで思ってしまっていた。



「そ、それじゃあどうやったらその災厄を止められるんですか!?」



 取り乱した様子でルッグがたずねる。一呼吸分の間を置いた後にアドンが続けた。彼のいう手法は落ちた穴を完全にふさぐというものだった。
 それはリーフを、そして彼らの仲間であるサスケを生き埋めにするというほかになかった。そんなとんでもない手段を平然っと言ってのけるライトやアドンにファイアは怖気すら感じていた。


「そ、それじゃリーフ達は…!」

「それ以外に術はないでしょう。しなければ我々や街の多数のポケモンにも被害が及ぶ」

 動揺するファイアとは対照的に淡々と進めるライト。それだけを言い残してライトとアドンは去っていった。取り残されたリーファイには複雑な空気が取り巻いていた。

しばし沈黙が続いた。それを破ったのはおよそ60秒後のこと。ルッグが口を開くことで破かれた。

「仕方ないですね……。彼らの言うとおり--」

「そんな!!じゃあリーフはどうなるのさ!?」

ルッグから下された結論は非情なものであった。彼の言葉の終わりを待たずにファイアが反論する。反対にそれでも取り乱すことなくルッグは続けた。その目つきはどことなく冷たささえも感じたファイアは背筋に怖気が走る。

「それ以外に方法はないでしょう。下手に助けに行こうものなら犠牲が増えるだけ……。リーフさんには申し訳ないとは思いますが--」

 事実上見殺しにすることを宣言したルッグ。そんな彼に--







「ふざけんじゃねぇ!!」

 




 怒声とともにレグルスの本気の拳がルッグの頬に直撃。普段から何かしらで体を鍛えているレグルスが放った本気のパンチは簡易な擬音であらわされるような生易しいものではなかった。ルッグの頬には骨が折れたかのような痛みが走り、口からは出血が見られる。
 そんなパンチを食らったルッグは怒りを込めた目つきでレグルスをにらんだ。彼もいつもメンバーを呆れながら説教するような生易しい目つきではなく、本気で怒っている。








「--何が言いたいのですか……?」

 普段からメンバーを虐げているルッグが本気で怒った姿を見てウォーターはもちろんファイアもすっかり怖気づいていた。しかしレグルスは物怖じすることもなくルッグの胸倉をつかみ--


「なーにが申し訳ないと思ってるだ!!テメェそれでもチームメイトかよ!!どういう神経したらアイツを見殺しにするなんて選択肢が出せるんだ!?あぁ!?」

 まくしててるレグルスに同意するかのようにファイアがわずかに身を乗り出す。--がやはりルッグが怖くてそれ以上彼が口にすることはなかった。


 そんなファイアの気持ちを知っているかは定かではないがレグルスがまたルッグを殴りつけた。殴りつけられて壁に叩きつけられたルッグは頬を押さえる。

「何とでも言いなさい……。それなら何か術があるというのですか?」

「……ッ!?」

 激昂するレグルスに初めて返したルッグ。それに思わずレグルスは手を出そうとしてしまったが寸前のところで手を止めた。闇雲に怒ってみたものの自分に明確にリーフを助ける術など思いついていない。

 そのときであった。ファイアが唐突に基地から矢のごとく飛び出していったのは。ただならぬ彼の様子に思わずレグルスは彼のあとを追っていった。













「本当にうまくいくのかライトよ」

 基地を去ってからしばしたってからアドンが漸く口を開けた。その口ぶりは先にリーファイ基地で表していた落ち着きのある口調とは違い、何故か苛立ちを含めてさえいた。
 一方のライトも先にあらわしていた物腰の柔らかい態度を一変させ、邪悪な笑みを浮かべていた。

「なーに、奴ら少なくとも俺らのこと言ってるは信用していた。それにどの道やつらに連絡を取る術すらないんだ。ここまで言っておけば助ける気すら失せるだろう」

 それだけ口にしてライトは懐から通信機のような機材を取り出した。


「おいライト。奴らは……」

「何だ」

 通信機のボタンを押そうとした瞬間にアドンがライトを留めた。もともとアドンのことを嫌悪していたライトはまた露骨に不機嫌な態度をあらわにしつつも彼が指差した先を見た。
 そこには慌てて駆けるマグマラシとそれを追うゲッコウガの姿だった。即座のリーファイのポケモン達だと判断したライト。そんな彼の脳は即座に悪巧みを始める。


「よし、奴らにばれないように後を追うぞ」

 そう口にしたライトはアドンの背中に乗った。半ば不満そうにアドンはライトが背にのったことを確認し、飛翔--

そのままファイアたちの後を追っていく。

■筆者メッセージ
構成が全くまとまらずに気がつけば二ヶ月近く放置()
ノコタロウ ( 2016/02/15(月) 00:00 )