ポケモン不思議のダンジョン 葉炎の物語 〜深緑の葉と業火の炎〜









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第五章 人気者
第六十四話 メガシンカを狙うもの 2
突然追手に狙われたものの無事追い返すことができ、ひと段落し落ち着いたリーフ達。しかし通信ができない状況故に仕方なしにトンネルの中を進んでいくことにした。そんなリーフ達と出会ったのは三つ叉の頭を所持し漆黒を基調としたドラゴンポケモン--サザンドラと四足で緑色を基調とした大きなポケモン--ビリジオンのようだ。








『ぎやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁああああッ!!』


 サスケと相手のサザンドラが全く同じタイミングで傍から見れば大げさともさえ取れるほどの悲鳴をあげる。彼らは頭を抱えて慌てふためきルカリオの精悍さ、サザンドラの凶暴さのイメージを破壊しかねないほどの情けない姿を晒していた。
 そして彼らは今一度互いの姿を確認--そして互いを指を差し合ってガクガクと震えていた。











『お……おばけえええええええええええええええええええええええええええええええええええぇええええええええええええええ!!?』

 リーフとサザンドラのパートナーらしきビリジオンはすっかり呆れ果ててた様子で事の成りを眺めていた。そして彼女達はお互いを胸につけていた探険家バッジからお互いを敵ではないと認識--軽く挨拶を交わした。

「あら、もしかして貴女はあのリーファイの?」

「はい!リーフです!!よろしくお願いします!!」

「わたしはシリウスよ。よろしくね」

 リーフとシリウスと名乗るビリジオンとの間での和気藹々とした空気とは裏腹にサスケとサザンドラは未だに顔を青ざめて(元々青いが)震えていた。

「ななななななんでアルタイル様が生きてるんすか!?」

「サスケ!?貴方は溶岩に塗れて既に死んだ筈では!?」










「なんであの二人あんなに驚いてるんですか?」

「うーん、話すと長くなるんだけどね……」


 あの二人のことを知っているかの口ぶりのシリウスが言うにはあのサザンドラ--アルタイルとサスケはグラス達と敵対していた組織の頭と手下との関係だった。しかし組織は壊滅し、彼ら二人ともお互いを死亡していたと認識していた様子だった。(無論正確にはどちらも生きてはいるのだが)
 事情をシリウスはそんな二人に割って入り騒ぎをおさめようと説明を始める。








「ケッ、なーんだよ。アルタイル様って正確にはポケモンじゃねーんだな」

「しししし、よく驚かれますよそれを聞いた方全員が」

「当たり前でしょーが…」

 アルタイルは凶暴ポケモンにふさわしくない笑顔を見せる。対照的にサスケはやや疲弊した顔つきを浮かべた。するとアルタイルは突然サスケの眼前にすっと姿をあらわした。当然のごとくサスケは驚きのあまり悲鳴と共にひっくり返る。アルタイル(ついでにリーフも)はそんな彼の姿を見て大爆笑。








「ななななななななななんすか!!驚かないで下さいよ!!」

「きゃはははははははは!!いやー、すいません。相変わらず貴方は小心者ですねぇサスケ」

「ったくなーんか調子狂うな……。今までのアルタイル様とは違ってよ」

 怖がるサスケを見て大爆笑するアルタイル。そんな彼の姿を見てリーフは首をかしげた。先に彼女が耳にしたアルタイルはサザンドラのイメージのような冷酷無比な悪の権化ともとれるようなポケモンだった。事実シリウスから聞いた彼の悪行を行った際の彼もイメージどおりのものであった。
 しかし目の前のサザンドラはそんなイメージとはかけ離れた茶目っ気のある物腰の柔らかいポケモンだった。配下のサスケもそんなアルタイルの従来のイメージが一瞬にして崩壊していったのであった。














~~ リーファイ きち ~~




「…………」

 リーフが地中に消えたことを露とも知らないルッグはただでさえ恐ろしい顔を寄り一層ゆがませて般若さえも裸足で逃げ出すような鬼面で今か今かとリーフに帰りを棍棒片手に待ち構えていた。他のメンバーはそんな彼の様子を辟易としながら遠目で眺めていた。

「全く何をやってるんだかあの大馬鹿は!!」

 棍棒の先端をたたき付けて声を荒らげる。その様子は竹刀を常時持ち合わせているスパルタ教師が問題児を待ち構えているかのようだった。この様子だと下手に宥めようとしたところでまともに取り合うどころか自分たちにまで飛び火すると他のメンバーは誰一人ルッグに関わろうとしなかった。







「失礼しますよ」

 そこに割って入ったのはあのピカチュウとリザードン--ライトとアドンであった。今までの彼の恐ろしい表情から一変して申し訳なさそうな顔つきへと変貌。自分の仲間のせいで彼らの仲間のルカリオまで巻き込んでしまった罪悪感が先行せいていたのだった。

 しかしそんなルッグとは対照的にライト達はサスケの安否など意に介しない様子、特別慌てることも怒ることもなかった。謝罪するルッグを制して続けた。

「実はあの二人がどこに行ったかが分かりましてね、それを伝えにきましたよ」



~~ ~~


「ほーん、それじゃアルタイル様はシリウスと一緒に調査隊…か何かを結成して罪滅ぼしをやってんすね」

「まぁ罪滅ぼしってのは語弊があるかもですがね…」」


 しばしリーフ達は道中で合流したアルタイルとシリウスと共に行動することに。特にサスケ溶岩に呑まれた後のエピソードを中心に他愛ない話題での話をしていた。
 ふと話題が何故彼らがこの場にいるのかという話。それに答えようとしたアルタイルが口を開いた瞬間だった。


「…か……?」

 聞き覚えのないその場に居合わせた4人のものではない声が聞こえた。一向がお互いに確認しあうも誰の声でもない。サスケが半ば震え声で”誰だ”と発する。

「--私の領域に踏み入れたのは…お前たちか……?」







 その瞬間あたりが一瞬にして暗転。動揺するサスケをシリウスが静し、背中合わせになり敵襲に備えた。すると明るくなり周囲の様子が見えるようになった。

「ゲッ……」

 サスケが声を漏らした、が誰もその情けない声に反するものはいなかった。ソレもそのはず彼らの眼前にいたポケモン--








「私はミュウツー。最強のポケモンだ!!」


 遺伝子ポケモン--ミュウツーの姿があったからであった。

■筆者メッセージ
最終更新が2ヶ月以上前になるってマジ?(撲殺
ノコタロウ ( 2015/12/20(日) 01:15 )