第五十一話 3馬鹿再起()
--メタモンの足止めが成功(?)してしまい遅れをとってしまったリーフ達。ことの発端であるリーフに悪態をつきつつ目覚めたレグルスとジェットは未だラーメンを頬張っているリーフを強引に連れてメタモンを再び追い始めた。
「で、てめぇらのアジトとやらはもうすぐなのか?」
「あぁ、もう近いぞ」
「よかったー。もう疲れてお腹ぺこぺこだったからねー」
さっきあれだけたらふく食べたにも関わらずこの発言。ジェットは思わずカチンときてリーフに詰め寄る。
「よくヒト巻き込んでおいてそんなことぬかせるなぁえぇおい!?大体誰のおかげでここまでロスタイムうんでると思ってるんだこのスカポンタン!!」
「あーごめんごめん(なんかジェットもルッグさんに似て口うるさいなー)」
内心相当失礼極まりないことを思いつつ全く気持ちのこもっていない謝罪を口にする。さすがにジェットもカチンときたのかリーフが手に取っている林檎をぶんどってポイ捨てする。するとリーフの表情が一変--
「あ……あぁ……」
唖然として震えるリーフ。しかししばらくしてリンゴを奪い取った張本人--ジェットと鬼の形相で睨めつける。尋常ではない殺気に一瞬ジェットもしり込みするも同じように睨み返した。
「いくらなんでもそこまでする必要なかったんじゃないの!!」
「うるせぇ!!このすっとこどっこいが!!いくら食ったら気が済むんだ貴様は!!」
喧嘩が勃発。お互いに技の応酬が起こってしまいレグルスは慌てふためく。説得に向うも当然のごとく二人して聞く耳を持たない。
「おいおいやべぇぞ……こんな時に敵が来たら--」
『来たりして!!』
レグルスの心配どおり敵が現れた。相変わらず喧嘩している二人を背にレグルスは構える。
「何者だお前たちは!!」
「よくぞ聞いてくれた!ワイはデスカーン!」
「俺はアーケオス!」
「おれはシビル丼……じゃなくてシビルドンだ!!」
かつてリーファイにやられたことがあるデスカーン他二体。はるばるここまで追ってきたのだろうか。しかし彼らには構えるレグルスの後ろで自分達には目もくれずに喧嘩をしているリーフとジェット。彼らが気に食わないと思ったデスカーン達は--
「おいおいおい!!」
「なーに無視してやがるんだ!!敵が出てきたんだぞ!!」
「ちょっとは緊張感をだなぁ--」
ここで不意をうとうとしないあたり直に戦って倒したいというこだわりがあるのだろうか、彼らはリーフ達に猛抗議する--
『ごちゃごちゃうるさいわね(うるせぇな)!!!』
『へっ……』
デスカーン達の口が止まった。今までは喧嘩相手へと向けられていた殺気が瞬時にあの三人へと向けられた。思わず味方であるはずのレグルスを含めた4人の体を竦ませた。デスカーン達は自分たちの起こることが予知できたのか3人で身を寄せ合って震えている。実に情けない。
『喧嘩の……
邪魔よ(邪魔だ)!!』
『ひええええええええぇぇぇええええええええええええぇ!?』
リーフの“エナジーボールW--ジェットの”ハイドロポンプ”がデスカーン達へと向かった。情けない悲鳴と共に攻撃を食らった彼らは空の彼方へと吹っ飛ばされてしまったのであった。
「ったく!!雑魚の癖に邪魔しやがって!!腹いせにあのメタモンも吾輩がぶっ飛ばしてやる!!」
「ちょっと待ってよ!!あいつはわたしが先に倒すから!!」
「あぁん!?吾輩が先だ!!」
いつのまにはどっちが先にメタモンを討伐するかを言い争うことに。やれやれと肩をすくめながらもレグルスはリーフ達をメタモンの居所へと案内を再開する。
~~ ~~
「ひえっ!あいつら……もう追いついてきやがったメタ……」
「落ち着きなさい。こうなったら“アレ”を使うのよ」
「えっ……でもあれは僕の体がメタ……」
今にも屋敷へと足を踏み入れようとするリーフ達を屋敷から眺めているメタモンとそばにいるポケモン。メタモンの傍らにいるポケモンは口角を釣り上げて含み笑いを浮かべる。
「安心なさい。あなたの体はしばし私達が保護するわ。だからとっとと行きなさい……」
「は……はいメタ……」
~~ ~~
「頼もーっ!!」
「うるせぃ!!耳元で叫ぶな!!」
威勢よくドアを開けるリーフにジェットが罵声を浴びせる。険悪に見えてそうでもない空気だがレグルスは罠がしかけられていないか危惧しつつあたりをキョロキョロと見回している。
(妙だな……、俺たちが追っている筈なのにやけに不用心だ……。何かなければいいんだが……)
突発的に辺りにまばゆい光が立ち込めた。一行は思わず目を瞑ってしまいその隙をつこうとばかりに--
「くらうメタ!!」
懐に潜り込んだメタモンの声が響いた。光が止んで反撃しようと構えるレグルスだが、リーフとジェットがまるで意識が飛んでいるかのように棒立ちを決め込んでいる。
声の主--メタモンの姿はもうなかった。レグルスはリーフの前にたって声をかける。
「おーい、リーフ?大丈夫か?」
レグルスに声をかけられてはっとした表情を浮かべる。しかしリーフは不機嫌という言葉を言い表したようなしかめ面を浮かべていた。レグルスは妙な違和感を覚える。
「んだようっせぇな……耳元でしゃべるなっての……」
「……はい?」
目を点にしたレグルス。信じがたい光景にリーフの全身をキョロキョロと見渡すと“うっとうしい”を一蹴されはたかれてしまう。そうこうしているうちにジェットのほうも気が付いたのかレグルスの方へと振り向いた。
「あーびっくりしたー。レグルスもジェットも大丈夫ー?」
『……えっ?』
ジェットの口から信じられない言葉が発せられた。間延びした口調に加えて自分のことを”ジェット”と呼んでいる。レグルスの脳裏にあることがよぎった。
お互いの人格が入れ替わっている。明らかに口調もしぐさも変わっていたのだ。二人もそれに気が付いたのか思わず大声を張り上げてしまう。
次回予告という名目でおまけをつけた
キャスト:ジェットとノコタロウでセリフしかございません。ご注意を。
「もうやだやだやだやだやだやだ!」
「どーしたジェットよ」
「なんで我輩はいつもリーフから振り回されてなきゃならいんだよ!」
「そりゃ君がギャグ小説の悪役だからでしょうよ」
「わかってねぇ!話を面白おかしくするため、わざと振り回されているんだよ!でもそろそろ違った役もやってみたくてだ……」
「じゃあリーフと入れ替わってみる?」
「えっ?そんなことができるのか?」
「なんでもできるところがギャグ小説のいいところだから!次回!」
「リーフとジェットの入れ替わり記(仮)!夜露死苦!」
「なぜそう言い換えたし」