第四十九話 覚えているだろうか
※まえがたり
(こちらでは)お久しぶりです。葉炎の更新が1ヶ月半近く滞っていたということで土下座をしにきました(前回の葉炎更新は6/20)。
言い訳としては書いてても驚く程文章がまとまりませんでした。じゃあ今回はまとまっているのかと聞かれたら非常に怪しいところです。用はまとめなかったらもっとひどいことになっていたというわけで←
今回は本編の最後にてまったくもってどうでもいいおまけを設けました。まぁ本編には基本的に関係ないのでそこはお好きにどうぞといったところで。
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--レグルスと名乗る盗賊のゲッコウガとの戦いに勝利し、彼を拘束しようと近寄るリーフだが突然静止の声が掛かり……?
「ちょっと待ってー!!!」
リーフに静止の声をかけたのはレグルスのことを知っているであろうフォッコだった。その姿を見たリーフとレグルスはすっとそちらに視線を移す。
「カペラ……?」
「--?この子のこと知ってるの?」
フォッコをカペラと名を呼んだりするあたりレグルスは彼女の事を知っているのであろうとリーフは考えてそう尋ねた。レグルスは軋む体にムチを撃って体を起こしながら口を開いた。
「コイツはオレの妹……のようなもんだ」
「お願いリーフさん!!レグ兄を許してあげて!!レグ兄はあたし達のために仕方なかったのー!!」
半ば泣き叫ぶようにカペラはリーフにそう懇願した。困ったような表情をするリーフは彼等をどうすればいいか考えていた矢先、相変わらずローブを纏ったジェットがリーフに近寄る。
(おいリーフ)
(ん?何?)
その場から引き剥がすようにジェットがリーフを連れて行った。未だに困ったような表情のリーフはジェットの声が聞こえるように身をかがめる。
(なーんかにおわねぇか?)
(あっ……、ジェットも気がついた……?)
その一言でリーフがハッとした表情に切り替わる。リーフはわずかだがバツが悪そうに顔をしかめて口を開ける。ジェットも自分の言いたいことに気がついたと思ったかローブの中であるが真剣な表情に切り替わる。
(昨日餃子10人前食べたから"におい"が取れないんだよねー)
「ずっどーーーーッ!!」
自分が姿や声を隠さなければならないことを忘れてジェットはド派手にずっこけた。リーフの真剣な表情は一瞬にしてまたバツが悪そうな、それもテレも含めた顔に戻る。体を起こしたジェットは一瞬でリーフのもとに詰め寄る。
「"におう"の意味が違うわーッ!!てかコントをしにきたんじゃねーんだぞこの大馬鹿タレが!!」
「あっ、そーなの?」
お約束ともとれる一連のやりとり。リーフは笑いながら"ごめんごめん"と口にして、手の代わりとなっている蔓でジェットの背中をバンバンと叩く。リーフとしては半ば冗談のつもりなのだがサメハダーで水タイプでもあるジェットにはなかなかどうして本気で痛いらしく顔をしかめる。
「痛いんだよ!!ちょっとは加減しろ!!腰痛になったら通院費払え!!」
悪態をつくだけついてジェットはレグルス達をにらめつけた。やはり兄妹関係からかカペラが傷ついたレグルスを心配しているように見受けられる。
「"ハイドロポンプ!!"」
突然ジェットがカペラに向けて"ハイドロポンプ"を放った。まさか攻撃されると思ってもなかったのか、攻撃を食らったカペラはその勢いで吹っ飛ばされ、レグルスは思わずその光景に目を見開く。
「何しやがる!!」
当然の如く激昂するレグルスだがジェットは全く動じることなくすっとレグルスを見据える。実際にはジェットの真意を理解していなかったのかリーフは何があったかわからずにキョロキョロとあたりを見回す。
「……下らん茶番は見飽きた。この隣のバカは騙せても、このジェット様は騙されんぞ」
「バ……バカ?」
『--!!』
まとっていたローブを脱いでとうとうジェットが姿を見せた。正体を現すはバカ呼ばわりされるわでリーフは目を点にしている。レグルスの方はジェットの顔を知っているだけに驚きを隠せていない。すると攻撃を食らって吹き飛ばされたあのフォッコが一瞬のウチに姿を変え--否、姿を元に戻した。正体はメタモンであったのだ。
「いつ僕の正体に気がついたメタ?」
「リーフはあのガキに名前を言ってなかったのにお前はリーフの名前を知っていた。そこが引っかかってな」
「フン、流石ジェットメタ。あの忌々しいオノノクスを従えてるだけあるメタね」
語尾にメタとつけるこのメタモン。コイツかつて黒い村付近で悪さをした挙句、ノンドにボコボコにされたメタモンであった。詳しくは葉炎前作の"第四十二話 化け物の住居"を見てみよう!
「おいナレーション。誰に言ってるメタ?」
いるはずもない相手に突っ込んだあと、メタモンはつまらなそうにレグルスのほうに目線を移す。
「レグルス、もうお前は用済みメタ。いらないメタ」
「--!!おい!」
メタモンはレグルスを置いてその場から逃げていった。レグルスもその後を追うがやはり戦闘の傷が癒えておらずに膝をついてしまい、その隙にジェットに捕まってしまう。メタモンは今から追っても捕まらないと判断し、このレグルスに話を聞くことにした。
「待ちな、テメェにも色々聞きたいことがあるんでな」
「おい、教えろ。テメェひょっとすればあのメタモンに脅されて盗みを働いてたのか?」
まるで詰問をしてるかのような鋭い眼光でジェットはそう問い詰めた。本気で堪忍したのかレグルスは黙って首を縦に振った。
「オレは種族の違う弟と妹がいるんだが如何せん貧乏でな……。生活に困ってた時にアイツに話持ちかけられたんだ。"僕の指示に従えばお前の妹たちの面倒を見てやる"ってな……」
「ふーん、それでジェットとかに盗みをはたらいたのもアイツに脅されたようなものってこと?」
そうリーフに尋ねられてレグルスは首をたてに振った。その際のジェットが忌々し気に舌打ちしたことに思わずレグルスは身を震え上がらすが話を続ける。
「アイツ……それで失敗したら弟たちを連れて行くって言われてな……今頃もしかしたら」
「って、それ早く言ってよ!」
早い話がレグルスはメタモンに弟達を人質に取られているという話。人の良いリーフには放っておけずに思わず声を荒らげた。隣で声を張り上げられてジェットはまたも顔をしかめ、悪態を吐いた。
「うるせーぞバーカ。あとホントに臭うから黙れ」
「それで……あのメタモンがどこに行ったかわかる?」
ジェットに悪態に耳を傾ける筈もなくリーフが真摯な態度でそう尋ねる。常にリーフを"お人好し"と称してるジェットはフンと鼻を鳴らす。
「なーにいい子ぶってんだよてめーは」
「アイツの行き場ならわかる」
ジェットの横槍に耳を傾けることもなくレグルスはメタモンのいそうな場所を供述した。リーフはレグルスに案内を頼みメタモンのあとを追っていくことにした。
~~ おまけっぽいもの ~~
「全く……どこにいったんですかあのヒトは……!!」
リーフとジェットから遅れること一時間。リーフを除いたリーファイとマッハは彼女等のあとを追ってきたのだがなかなか見つからずにいる。彼等は二手に分かれ、ルッグはマッハと共にリーダーのあとを追うことに。
「しっかしお前達も大変だな。あのリーダーにいつも振り回されてんだろ?」
「いやぁもう慣れちゃいましたがね。それよりもマッハさんも苦労されたんじゃないですか?」
「まぁな、ウチのリーダーも割とおきらくな性格だがアイツ程無茶苦茶じゃなかったよ」
お互いに苦労人気質だからかすぐに馬があい会話が弾む。いつしか二人の会話内には笑いが浮かんでいた。そんなほのぼのとした空気にとあるポケモンが割って入る。
「おい君たち」
「はい?」
いつぞやのギルガルド保安官。彼は何故か既にブレードフォルムになっており殺気立っているがルッグ達は当然彼が殺気立っている理由など知る筈もない。
「見かけない顔だが君達はどっから来たんだ」
「どっからって……僕等は探検家ですが……」
嫌な予感を脳裏に浮かべながらルッグはそう答えた。彼等はギルガルドの目がピクリと動いたことは見逃さなかった。
「嘘をつくんじゃない!!最近は探検家を装った悪党が出回ってるんだ!!お前らもそうなんだろ!?」
呼び方が"お前"になり語尾を荒らげる。マッハは慌てて探検バッジを取り出すもギルガルドは全く信用する素振りを見せない。ルッグは必死で説得するも当然聞いてくれやしない。終いには"見た目からしてロクデナシ"と称されてルッグの中で何かが切れる。
「いい加減にしてくださいよ!!なんですかさっきから聞いていれば!!そんな一方の話を受け入れられないから冤罪がはびこってるんでしょうが!!」
「なんか色々とヤバイなその発言……」
後ろで引いてるマッハを置いてギルガルドとルッグが一触即発の空気。切りかかろうとしたギルガルドだが--
『フレアドライブ』
背後から炎を纏った赤い色の鳥ポケモン--ファイアローが"フレアドライブ"でギルガルドに突撃。ブレードフォルムの体で攻撃受けた体は一瞬で焼け焦げてギルガルドは倒れてしまう。
「あ、あんたは?」
「チームリーファイのルッグ様にマッハ様ですね。私の後輩が失礼なことしてしまって……無礼をお許しください」
鋭い目つきに絶えない生傷だらけの体から想像もつかないほどのファイアローの紳士的な態度。恐らく彼も似たような境遇から分かり会えたのだろう。彼がいなければ恐らくルッグ達は冤罪の被害にあってたのかもしれなかった……。