ポケモン不思議のダンジョン 葉炎の物語 〜深緑の葉と業火の炎〜









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第三章 新天地
第四十六話 にゅーたいぷ にゅーじぇねれーしょん
~~ボーマンダの城~~

キルリアが強烈な太陽のような光を発し、ルッグを吹き飛ばした。恐らく何かしらの技を繰り出したのだろうがリーフもスパークもマッハも攻撃の正体がつかめずに目を見開いている。

 攻撃を食らったルッグはダメージが相当大きかったのか目を回して倒れていた。ズルズキンという種族は耐久力にも優れた種族でキルリアに一撃で戦闘不能に陥るには相当なレベル差がないと不可能に近い。とてもそこまでのレベル差がなさそうにも関わらずなぜルッグは倒れたのか。

「ねぇねぇガブちゃん!一体どゆこと?!」

「俺もわかんねぇよ。ただなんかあの光見てたらなんか気分悪くなっちまったんだが……」

 見るとマッハの顔色もあの光を目にしてからか悪くなっており(もともと青かった顔が一層)青くなっている。わけもわからない様子のリーファイ一行を見てキルリアは得意気に笑みを浮かべた。







「"フェアリータイプ"というタイプは初耳ですか?」

『フェアリータイプ!?』

 キルリアの発した一言を気絶したルッグを除いたリーファイチーム全員が復唱する。彼女等にとってそんなタイプは聞いたことはない。ましてどんな相性があるかもわからない。

「このタイプを得たことでわたしは悪タイプに強くなることができました」

 --"マジかよ"と言いたげにマッハが頭を抱えた。しかもキルリアは"フェアリーが悪につよい"という旨しか口にしていない。そんなうろたえムードの中、ただ一人だけヒーローチームでも同じような雰囲気を出していたポケモンが一体--







(おいおい……ルッグがホワイトにワンパンされて倒れるとか……、この銃戦闘力まで変えちまったんじゃねぇだろうな)

ヒーローチームのリーダーのレッド--もといウォーターであった。彼の言うホワイト--キルリアはそれほど戦闘が得意ではなかったのだがこの頃急に自信を見せ始めていたのに違和感を感じていた。
 それと同時に自分よりつよいと認識していたあのズルズキンがこうもあっさり倒れたことに自分の手に取っていた兵器の恐ろしさを再認識。








「あれ?」

 間の抜けたウォーターの声。一瞬のウチに彼が手に取っていた"性格変更銃"が手から消えていた。あまりに突拍子もないことにウォーターは自信のキャラを忘れて慌てふためきながらキョロキョロと銃の行方を捜す。そんな彼に隣にいたナットレイ--グリーンが"どうしたの?"と声をかける

『お探しの品はコレかな?』

 上から誰一人として聞き覚えのない声、全員が声の下した方向に振り向くと見覚えのない姿のポケモンがウォーターが手に取っていた筈の銃がそのポケモンの手に入っていた。

「誰だテメェは!!リーダーのモンを返しやがれや!!」

 ヒーローチームの色違いコマタナ--ブルーが声を荒らげるもそのポケモンは聞く耳すらもっていない様子でほくそ笑む。

「では諸君。さらだばー」

 それだけ言い残してそのポケモンは城から去っていった。突発的な出来事にその場の空気は凍りついたように動かなかったがすぐにブルーが悔しさから地団駄を踏む。

「畜生が!!おいみんな追うぞ!あのやろうをギタギタにしてやる!!」

「待て。種族も名前もわからねぇ奴をどうやって追うんだ、バカが……」

 猛り狂うブルーのとなりでマニューラのブラックが悪態をついた。もともと犬猿の仲ともとれる者どうしなのだからブルーもブラックの胸ぐらをつかみにかかろうしするがグリーンに"ブラックの言うことは正しい"と止められた。
 ヒーローチームだけではない。リーファイチームもあのポケモンの正体が掴めなかった。こんな状況ではバトルどころではなくあのポケモンを追わなければならない……が、肝心の正体はおろか種族さえもわからないのでは手の施しようがない。

「どうしよっか?」

 困った顔をしたファイアは上目遣いにリーフに声をかける。それを受けたリーフも目を瞑って顎に手をあてて--一般的な考える仕草を見せた。しばし時間がたつと--



「そうだ!」

「何か思いついた!?」

「ノコタロウならなにか知ってるんじゃないの!?」

「あー……たしかにアイツなら知ってても都合よくごまかせるからね」

 以前メタいのはやめろといったファイアがこの言い草。しかしその他に真っ当な手段がないことも考えて一行はノコタロウの住む研究所へと足を運ぶことに。












~~ ノコタロウの研究所 ~~

「ノコタロウ〜今日の昼ご飯何〜?」

 誰もリーフの間の抜けた台詞にツッこむことなく一行は彼の研究所に乗り込んでいった。
研究所内からは"カレーや"と普通に返答が来たことにもリーファイ一行は誰も突っ込んでいなかった。反対にヒーローチームはわけもわからないといった様子で苦笑い。

 家主がいる研究所内にはよく知ったマグカルゴ、そしてマグカルゴに詰め寄っているサメハダーの姿があった。サメハダーの怒声は激しさを増すばかりで今にもマグカルゴに殴りかかろうとしていたが、リーフの姿を見てかサメハダー--ジェットは半ば驚きを含んだ様子でリーフのほうに視線を移す。

「……リーフか、お前ら何しにここへきた?」

 ジェットに聞かれてリーフはこれまでの経緯を話した。見知らぬポケモンに道具を奪われたことを。都合よくスパークが犯人の写真をとっていたこともありジェットとノコタロウにそれを見せた。

「何!?お前らもコイツを探しているのか!?」

 ジェットが大げさとまではいかないにしても彼にしてはめずらしく声を張り上げて驚きを見せた。聞くと彼等の組織も同じポケモンに泥棒の被害にあっているという。そしてなぜノコタロウのもとにいるのかと聞けばリーフ達と同じく彼ならその正体についてなにか知っているのではないかと考えたため。
 再びジェットは"奴の正体を教えろ"と詰め寄ってきた。強面のジェットに詰め寄られてノコタロウも慌てて"教える"と口にする。

「あのポケモンは"ゲッコウガ"と呼ばれるポケモンなんだ。なんでも最近発見された種族らしい」

『ゲッコウガ?』

 当然リーフもジェットも他の面々も聞き覚えのないポケモンの名前に首をかしげた。依然として苛立った様子を隠せていないジェットは"ゲッコウガ"のことについて知りたいらしくまたもノコタロウに詰め寄る。
 ノコタロウはジェットの恐れおののいた様子で地図を手渡した。ジェットはひったくるように地図を手に取るとそこにはすでにゲッコウガが発見されたと思われる場所に赤い印がつけられていた。

「ここにいやがるんだな……よし」

 そう独り言をつぶやきながらジェットは通信機を取り出した。数秒間の呼び出し音のあと、相手が出たのかジェットが"こちらジェット"と発する。



『"やつ"の居所がわかった。後に地図のコピーを奴等に送るからそこにアイツ等を送ってくれ。

何?そっちも人手が足りないだと?』




 恐らく彼のボスに手下を送るように連絡を入れているのかと思われたのだがどうやら手が足りずに送ることができないらしい。ただジェットはノコタロウを見てほくそ笑んでいた。

『心配するな。ここにうってつけのやつがいる……』

 そう口にしてジェットはノコタロウの首根っこを掴んだ。それと同時に時空ホールに近い空間が彼等の目の前に現れる。ジェットに掴まれて体の自由がきかなくなったノコタロウは冷や汗をかく。

「さぁ逝ってこいこのスットコドッコイ!」

 ジェットが勢いよく、ノコタロウをぶん投げた。情けない声を上げたノコタロウが空間内に放り込まれたとほぼ同時にジェットの手下のオノノクスとドラピオンとクロバットが現れる。


「へへへへ……どーもジェットさーん」

「フン、これが地図だ。とっとと探しにいってこい!」

『らじゃー』

 見た目に反した気の抜けた声にジェットは不安しか感じなかったがしょうじきそれどころではない。いてもたってもいられずに今度はリーフに声をかける。




「おいリーフ!お前もやつを追っているんだろう?だったら吾輩に協力しろ!わかったな!?わかったようだな!それじゃ行くぞ!!」

「え?ちょっとま--」

 有無を言わさずにジェットはリーフの首根っこを掴んでそのまま矢のように飛び出していった。その勢いでリーフも引きずられる形でジェットのあとを追う。

「ちょ、ちょっと待ってよジェット!!」

 慌ててファイア達も彼等のあとを追うがジェットがかなり速くどんどん差が開いていく。ジェットのその両目には水タイプながら炎が宿っているようであった。








「見てろよ……!!このジェットさまに楯突いたらどうなるか……思い知らせてくれるわ!!」

■筆者メッセージ
新タイプに新ポケモン。ここいらで第六世代要素を詰め込んでみます。

もっと前にどっかでガメノデスが出てきたんじゃねぇのってツッコミはなしの方向でお願いしやす←
ノコタロウ ( 2014/05/25(日) 12:42 )