特別依頼 クリスマスのミッション 前編
※ 注意 (ちゅうに) ※
・この話はクリスマスだから何かしろやハゲのご要望にお答えして1時間で作りました。色々お察しください。
・葉炎.及び救助隊の本編とは今回全く関係ございません。
~~ 葉炎基地前 ~~
「ガッハハッハッハ!!あーッおっかしー!」
「…………」
基地前で待っているのはこの基地のチームリーダーであるメガニウム--リーフ。そして彼女の隣で本を読みながら爆笑しているカエルのような風体のポケモン--ニョロトノである。
「ちょっとあなた……」
「ガハハハハ!!!」
リーフが声をかけるもニョロトノは大爆笑をやめない。これには温厚なリーフも苛立ちを隠せずに"構え"をとる。
「……………」
----バシィッ!!
「いっだああああああああああああああああああああああああああああッ!!
な、何をするんじゃおまえはああああああああああああああああぁッ!!」
「いい加減にするのはそっちでしょ!?さっきから何でそんなに爆笑してるの!!」
口論が勃発したような(というかしている)一触即発な空気。爆笑の原因をリーフがニョロトノに問い詰める。
「いやー、この本が滅茶苦茶面白くてのー!!」
「本?一体何の本を読んでるの?」
「六法全書」
「いやおかしいでしょ!?」
「あー、面白かったー」
「--ソレの爆笑するツボが全くもってわからないんですけど……」
おそらく自分よりもトンデモないこのニョロトノに流石にリーフもタジタジ。そんな二人のもとへペリッパーが彼らのもとに近づいて--
「おーらよッ!!郵便!!」
「グヘェッ!!」
トノの顔面にペリッパーが投げつけた手紙とその荷物がクリーンヒット。バシンと乾いた音と共にトノの体が崩れ落ちる。リーフは何事もなかったかのごとく手紙をとり読み始める。
「ちょっとはわしの心配をせんか!!」
手紙にはこう書かれていた。
~~ アホのリーフとバカなトノへ
特別依頼でーす^^。二人でサンタの格好をして町中の子供たちにプレゼントを配ってこーい^^
プレゼントも準備してあるから速攻着てからくばってこーい^^ by ノコタロウ ~~
「ねぇ、トノさん。今からアイツぶっ飛ばしにいかない?」
「そうじゃな。ぶっ飛ばしに行くか」
「だいたいなんでわたし達がこんなときに--」
手紙を地面に叩きつけ、差出人のもとに襲撃に向かおうとしているこの二人。ヒラヒラと地面に落ちた手紙にはよく見ると続きがあることに気がついて再び手にとって読み始める。
~~ P.S. そうそう、キッチリ依頼を終えたら報酬として特大のクリスマスケーキを進呈します ~~
「二人で力をあわせてがんばりましょう!!」
「がってんじゃ!!」
暑い握手を交わすリーフ達。いつのまに着替えたのかと突っ込みたくなる程の早業で二人共衣装に着替えている。この変り身にはやさは大食いの性であろう。
「よっし!着替え完了!!」
「あっずるーい!!なんでわたしがトナカイ役なの!!」
「四つん這いのお前の方が適役じゃろうが!!さっさと終わらせるぞ!!」
「むーッ……」
こうしてリーフとトノの異色のコンビでのプレゼント配りの特別依頼が始まったのであった--。
~~ ~~
「ほぉほぉ、初めの家はここじゃな……」
「って--
なんでトナカイ役のわたしまで家の中に入ってるの!?」
既に一件目に侵入している一行だが何故かトナカイまでなかに入っている。尤も場所が場所だけに小声でのツッコミを入れているからトノの耳には届いていない。
「ほぉほぉ、こうして欲しいモノを紙に書いて枕元に置く。懐かしいのお……」
「え?やっぱりポケモンの世界もそういう風にしてるの?」
「ポケモンの世界も……ってどういうことじゃ?」
当然だがトノはリーフが元人間ということは露とも知らない。
「--?まぁいいや、んでどらどら……ここの坊主が欲しいものはと……」
トノが彼の足元で寝ている子供が書いたと思われる一枚の紙切れを広いあげた。
"サンタさんへ、面白い本をください。"
「よしよし、ならこのトノサンタもイチオシのこの本--
--この六法全書を……」
「待って待って待って待って待って!!!!」
枕元にさっきまでトノが読んでいて爆笑していたあの書物を置こうとするも全力でリーフに阻止される。そんな必死な彼女の制止もトノは"なんじゃ"と言わんばかりに鬱陶しそうに見てるだけで止めようとはしない。
「なんでソレをプレセントしようと思ったの?」
「そんなの決まってるじゃろ!!わしが一番奇抜でおもしろいと思ったからじゃ!!」
「あなたのその発想が一番奇抜だから!!悪い意味で!!どこの子供が六法全書プレゼントにもらって喜ぶの!!」
リーフに注意されて初めてハッとトノが気がついたような表情。やっと気がついてくれたとリーフもホッと胸を撫でおろす。トノはプレゼントが入った純白の袋をガサゴソとあさり、新たな書物を取り出す。
「この判例付きの六法なら!子供にもわかるじゃろう!!」
「全然わかってなーい!!」
「何がわからんと言うのじゃ!!この判例がついておれば--」
「いやいや、それ送られて喜ぶの公務員試験受験控えてる学生だけだから!」
"我侭な奴じゃのー"と愚痴とこぼすトノは六法を戻して新たな書物を探し始めた。こんなものしか残ってないとトノが取り出したのは--
「ふむふむ……"まんがにっぽんお菓子話"ってコレでいいよ!!」
「へぇ!?こんなんでいいのか!?」
「こんなんって……題名からしてちょっとわたしも読んでみたいくらいだし!!」
大方"お菓子"というタイトルに惹かれてだろう。トノの絵本をひったくるように奪い取り、リーフは子供の枕元に置いていた。それにしてもこれだけ騒いで寝ていられる子供の図太さに何故二人共気がつかないのだろうか。
「ふむ……最近の子供の趣味ってのは理解できんのー」
「いや、どう思考を張り巡らせてもあなたの笑いのツボは一生かけても理解できないんですけど……」
こうして今夜限りのスペシャルコンビのリーフとトノ。果たして二人は無事にこの特別依頼を終えることができるのだろうか。それはまた後編へと続く……。