ポケモン不思議のダンジョン 葉炎の物語 〜深緑の葉と業火の炎〜









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第二章 救助隊と探検隊
第三十四話 がーちょんぷ・ざ・ぼっこぼこ
※ 注意 (ちゅうい) ※




・第三十話のほう見とけ!(投げやり





















~~Side ガブちゃん 吹雪の島ダンジョン ~~

「やっと出番だああああああああああああああああああああああああああぁぁぁッ!!」

うるさいッ!ったくいくら二週間の禁固刑食らったからってそんなあばれんな!

--失礼。今俺達は村を去ってダンジョンに差し掛かっている。だがノコタロウの理不尽な禁固刑を食らったせいかリーフが鬱憤を晴らすかのように野生ポケモンを蹴散らしていった。正直氷ポケばっかのダンジョンだから俺としてはありがたいが、正直やかましいったらありゃしない。

「んあ?ずいぶんでっけぇ氷の塊だな」

あばれまわるリーフからふっと目をそらした先には不自然にでかい氷の塊が落ちていた。俺の脳裏にはどーも嫌な予感がしたんでそれからは離れてたんだが--

「ギャッピッ!」

リーフが吹っ飛ばした野生ポケモンがその塊に直撃。あっ……やべぇ、すごくやな予感しかしない。







「ゴルアアアアアアアアアアアアッ!誰だッ!俺様に喧嘩売りやがった奴はッ!てめぇかああぁぁッ!?」







やっぱりいいいいいいぃ!?氷の塊--オニゴーリは名前通り鬼の形相で俺に向かって来た。違う違う!今のは俺じゃなくってええええええぇ!?

「くたばれやあああああああああああぁッ!"冷凍ビーム"!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアァァァァァ…………」

冷凍ビームを真っ向から食らった俺はあっという間に意識を飛ばしてしまった。






~~ 10分後 ~~

「あら?気がついたかしら?」

意識を取り戻した俺の視界に最初に入ってきたのはヤチェの実を手にとったリンの姿だ。あの木の実や、俺の体にかけられている毛布から俺の氷の治療をしてくれてんだろうなと察した。だが俺が気になったのはそこじゃない。

「へー、お前らもずいぶん"ゆーめい"になったもんだよなー」
「やだなー、わたし達にゴーストタイプはいないよー」
「って、それは"ゆうれい"だろうが。ハハハッ!」

なんということでしょう。さっき俺を襲ったオニゴーリと、さっきまで暴れまわっていたリーフがそれはそれは楽しそうに会話をしていた。リンが言うにはあの二人は、リーフが昔の冒険で会ったらしいとのことだが……。

「なぁ、あいつらぶん殴っていいか?」

揃いも揃って俺の意識を吹っ飛ばしておきながらあんな楽しそうなツラしやがって……。と、毛布をはだいて怒りに任せて"げきりん"をぶっぱなそうかと思った。

「よしなさい。気持ちはわからないこともないけど、冷凍ビーム食らった体で暴れられる訳がないでしょ?」

ごもっとも。ぶっちゃけそんなに力が入らない。毛布とった瞬間から体中に凍えるような寒気が走って仕方なしに大人しくすることに。それをを確認したリンはあの戦犯二人を呼びにかかった。
--ありがとうリン、あんたがいなかったら多分俺ここで味方のせいで凍死してたよ……。


「おう、おめぇはリーフの連れだったか。いやいやさっきはすまんかったな」
「ほら、本人もこうやって謝ってるから許してよ」

すまん前言撤回。オニゴーリは謝ったからともかくとしてあの首長竜だけはぶっ飛ばさないと気が済まねぇ元はといえばてめぇのせいでこうなったんだろうが!村長ユキノオーから助けてくれたときとは話が別。

「ぶっ飛ばすぞてめぇ……」
「ご、ごめん……もう暴れたりしないから……」

俺がガチ切れしたことを察してか流石にリーフもふざけたりせずに謝罪を入れた。最初からそうしろっての……。

「それで、オニゴーリさん?話は粗方聞いたけどどうしてこちらに移住したのかしら?」

このままじゃ俺とリーフの戦闘が勃発しそうだからとリンが話を切り返す。聞いた話だとこのオニゴーリ、普段はサンライ島ってとこにいるらしいがどういう訳かこの吹雪の島、それもあんなところに寝っ転がっていたんだから俺も首を捻る。

「そうだ!聞いてくれよ!あんのやろうが俺様のなぁ--」





~~ 10分後 ~~

一部、というかかなりオニゴーリの私怨が混じってたのでカットさせていただこう。あのオニゴーリ夏場は避暑地としてこの吹雪の島の奥に移住するのだが、ボーマンダに占拠されてしまったんだとか。そしてマンダにボコされたオニゴーリは今俺達がいるところまで飛ばされたという。

「つーわけでぃ!あんの短足ドラゴンがぁッ!今度会ったときはギタギタの細切れにして--」
「わかりましたわオニゴーリさん。そのボーマンダ、あたし達が討伐してくる」
『えぇ!?』

何言ってるのかよくわからない。さっきまで地団駄を踏んでいた(ように見える)オニゴーリも目を点にして硬直。無論俺もリーフもだ。

「お、おい……。おめぇほんとにいいのか?」
「えぇ、その代わりといっては何だけどこの島の奥にある"万能薬"をいくつか頂いてもよろしくて?」

あとで納得した。このオニゴーリ、かなりふてぶてしい性格らしいからリンもただで万能薬をもらえるとは思ってもいなかった。何でここは交換条件で目的の薬草を貰おうとあの短時間で思いついたんだとか。全く……なんでオンナって生き物はこう言うとこでは頭がよく回るのかねぇ……。

「おう!そんくれぇならお安いご用だ!付いてきな!」

オニゴーリについて行った俺達を陰から怪しげな二人が観察してたことに、俺達はまだ気がつかなかった。










~~Side リン  吹雪の島 奥地 ~~

オニゴーリの案内もあってかスムーズに奥地まで到達したあたし達。あいも変わらずな寒さと人っ子一人すらいないことの静寂がオニゴーリさん以外の面々をわずかに震えさせた。あまりにも不気味な雰囲気にガブちゃんが苛立ったのか足をリズムよくトントンと音をたてて付く。

「だーからお前らナチュラルに"フラインゴ"とか"ガブちゃん"って弄るんじゃねぇよ!そんなに竜・地が嫌いなんか!」
「俺様の耳元で、でけぇ声出してんじゃねぇ!凍らせっぞ!」
「なんでそうなんだよ!」

五月蝿い……。どこに敵がいるかわからないってのにどうしてこんなしょーもない口論が出来る訳?呆れた。リーフちゃんも苦笑い、あたしもため息が出るってものよ……。どーして男ってこう争うのが好きなのかしらねぇ……。

--なんて気が緩んだ時であった。



「グギャアアアアアアッ!」
『--!!?』

さっきまで口論していたガブちゃんが勢い良く吹っ飛ばされた。あれは"破壊光線"!?



「他所ん家で何しにきたんだ!てめぇらッ!」


声の主は飛んでいるのか、高い位置から怒声が聞こえた。あたし達は声のしたほうに向けて見上げる。

「--野郎……」
「あ、あれってボーマンダ!?」

あの大きな翼と四足の短い足。色は緑色を基調としているけどあれは間違いなくボーマンダ--それも色違いね。ただ眼前のボーマンダはとてもあたしの知っているボーマンダではなかった。だってあのボーマンダ、大きすぎる!ホエルオーくらいの大きさがあるんですもの!

「嘘……ボーマンダの城の?あいつはわたし達が倒した筈じゃ……」




--ピクッ



「なんだとおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉッ!!!」






--う、五月蝿い……ッ!リーフちゃんに反応した巨大ボーマンダが爆発音みたいな声量で叫んだ。大きいだけあって声もでかいわ……。

「そうか……お前らが俺様のかわいいかわいい弟をいたぶったんだなあッ!許さんぞ!」
「てめぇこそ!このオニゴーリ様の別荘を奪ってるくせにでけぇ口叩いてんじゃねぇ!





--"冷凍ビーム"!」


ボーマンダもオニゴーリさんも一触即発の空気のなか、オニゴーリさんが先に動いた。ボーマンダには冷凍ビームは効果は大きい筈……!

「どうでぃ!オニゴーリ様を舐めるとこうなるんだぜぇ!?」













「ほぉ……どうなるというのだ?」

嘘!?冷凍ビームを食らったのにあのボーマンダはケロッとしていた。オニゴーリさんの冷凍ビームだって決して威力がない訳がないのにどうして!?

「ガハハハハ!このボーマンダ様にそんなかき氷みてぇな氷技がきくとでも思ってるのか!?」
「そうだよね。でもわたしそっちの弱点知ってるから」
『--!?』

余裕を浮かべたリーフちゃんがあいつに近づいていく。ボーマンダも油断してかその行動を待つかのように彼女の動きを人事のように眺めてる。

「ふっ!あんたの弱点は知ってるからね。うりゃッ!」


ボンっと蔓の鞭でボーマンダを腹パンした。その打撃音はどってっ腹を叩いたかのような緊張感のない音が響く。ボーマンダもケロッとしていた。

「……弱点は知ってるからね……うりゃッ!」

--ドポン!

「うりゃッ!」

--ドポン!

「うりゃッ!」

--ドポン!

かれこれ四回の腹パン。腹パンの試行回数が増えるにつれて徐々にボーマンダは眉間にシワを寄せて、リーフちゃんの額には汗が浮かんでいた。あれ?焦ってる?

「いい加減にせぇよてめぇはああああああああああああぁぁッ!?」
「な、なんでぇ!?だってでかいボーマンダの弱点って腹なんじゃ……」

どーゆー理屈でそうなるわけ!?

「やっぱり俺の弟の弱点を知ってるな……。もうゼッタイに容赦せん!」

ただでさえ怒りきったボーマンダがその大きな羽根を羽ばたかせて宙に浮かんだ。す、すごい風……!羽ばたいただけなのに飛ばされそうッ……!

「おい、おっさん……」
「あぁ!?」
「喧嘩する相手を……











--間違ってるぜええええええぇッ!!」












破壊光線を受けても体力が残っていたガブちゃんが"ドラゴンダイブ"でボーマンダに突っ込んでいった。それ無茶だって!



--ガシッ



「なんだてめぇ?」

案の定、ボーマンダはケロッとしていた。それでガブちゃんがボーマンダの手に捕まっちゃう。だからいわんこっちゃない。

「ドラゴンクロー」
「ごふっ!」

ガブちゃん。撃沈……。

■筆者メッセージ
どうでもいいコーナー

・メガニウム 体重:100.5kg (けたぐり・くさむすびの威力100)
・フシギバナ 体重:100.0kg(けたぐり・くさむすびの威力80)

悪意しか感じねーぞこの数値
ノコタロウ ( 2013/09/29(日) 00:00 )