第三十三話 電気タイプのおっさん
※ 注意 (ちゅうに) ※
・私情により日曜日は日中姿を消すので本日(土曜日)の投稿を日曜の投稿と置き換えさせてください。
・キャラ設定はじっくり考えた上で行いましょう。
~~Side ???? ~~~
唐突に意識を失った私は気がついたらベッドに寝かされており、拘束を受けていた。--尤も手足に鎖を付けられているといった拘束は受けていない。だが、扉を隔てた先には見張りがいることは間違いはない。奴は私が部屋から離れるのを目視すると間違いなく連れ戻すに違いない。そんなもどかしい状況が続き、早くも日が落ちる。
「……今しかない……!」
日が落ちた頃合を見計らって私は部屋からの脱出を敢行。おそらく見張りも気を散らせているころに違いない。だったら今がチャンスだ……。
--ギィー……。
わずかに扉が軋むような音と共に私は廊下をのぞいた。よし、奴はいないようだな。足音を立てずに廊下を駆け抜ける。廊下を抜けた先はもう出入口の光が見えた。よし!もう少しだ!
--ヌッ
「何やってるんですか?あなたは……」
突き当たりから子供が泣いて逃げ出すようなコワモテが姿を表した。しまった……!見つかったか……。私は額に汗を浮かばせて後ずさる。その後ずさりに呼応してかコワモテのあいつが一歩ずつ詰め寄ってくる。全く……面倒だな……。
「口で言ってもわからないんですかアナタは?いい加減にしないとそれなりの処置を施しますからね……?」
「
スパークさん?」
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~~ Side スパーク ~~
はい、冒頭から下らない茶番をして申し訳ない。少しやってみたくなっただけだ。あの後、"帯電症状"で意識を飛ばした私はラグラージのラックさんの治療を受け、意識を取り戻した。だが完全に治ってないからか私の復帰は許されなかった。
「全く……話をちゃんと聞いてるんですか!?」
特にこいつ--ルッグがてこでも私を一歩も外から出そうとしない。厳つい顔ににあわずやたらと世話好きだ。そのオカンのようなおせっかいさはそこんじょそこらのメスポケモンよりもよっぽど強いんじゃないだろうか。
「私のことよりもルッグよ。自分の心配をしたらどうだ?」
「問題ありません。僕はスパークさんとは違って無茶はしてませんから」
やれやれ。こりゃどうしようもありませんわ。確かにルッグは私やリーフと違い傷もない。それもファイア、ウォーターと違って戦闘をしてほぼほぼ無傷なのだから大したものだ。
「なーにごちゃごちゃ言ってるんですか。さっさと--」
「分かった分かった。もうキッチリ治すまで変なことはしないって」
これ以上アイツの説教食らってもしょうがないから早々に切り上げる。
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「はぁ〜……」
退屈だ。あれから部屋からぴくりとも動くことができずにいる。余りに退屈が高じてか本当に下らないことばかりが頭をよぎってくる。パルシェンやキノガッサを味噌汁の具材にしたら、どんな味がするだろうとか……。っていかんいかん!これじゃ完全にリーフと一緒じゃないか!こんなときに私まで食べ物のことを思い浮かべるとは……!
「うおっす。失礼すんぜ」
ラフな口調と共に入ってきたのはラックさんだ。彼はルッグと違って口うるさくいわない。私の気持ちをよーく理解してくれてるよ。
「どうしたんですか?」
「いやーなに、そろそろお前さんが外に出たそうな顔をしているかと思ってな」
完全に図星だ。ラックさんはケラケラと私の顔を見て笑い、続けた。
「お前さん、さっきからすごく"欲しそうな顔"をしてたろ?だから俺と行くか」
……まさかそこまで読まれてたとはな。しかし"どうやって外に?"と口にした。あの口うるさいチンピラを説得でもするんだろうか?いくらなんでも仲間なんだから手荒なマネはしてほしくない……というかゼッタイにやめてほしいんだが。
「あー、大丈夫だ。あのチンピラの兄ちゃんなら俺が"おんびんに"黙らせておいたからよ」
~~ ラック's 回想~~
お前さんがあの兄ちゃん--ルッグに追い返された後、俺はちと話かけてみたんだ。
「よぉ」
「--?ラックさんですか。どうしたんです?」
あの顔でその口調はまだ慣れねぇなと思いつつ俺はある"さくせん"を敢行。
「お前さんの口に虫歯できてんぞ」
「えぇっ!?ホントですか!?」
大嘘。だが俺を信じきったルッグは驚いて大口を開けた。その開いた口は俺に虫歯を見てくださいと言わんばかりにガッツリと開けている。
「どーれ見せてみな……ッと!」
「----!!!?」
まんまと引っかかったな。俺は慣れた手つきでルッグに"すいみんの種"とそれを飲み込ませやすくするための一杯程度の水を飲み込ませた。途端にルッグはその場に崩れ落ちるように眠る。
~~ 回想終了 ~~
「てな感じだな」
全く穏便じゃないんだがそれは……。しかし外に出たい一心の私はラックさんに感謝をしていた。嬉しい。生きてるって嬉しい。
「さーて行こうか」
~~ Side ファイア on sky ~~
ウォーター兄さんと共にグラスさんに抱えられた状態で……空を飛んでました。どゆこと!?なんであのヒトキモリなのに飛べるの!?てか何でマントが翼に変化できるの!?多分兄さんも同じこと考えてそうな顔してるけどグラスさんは全く答える気はない。というか答えてくれなさそう……
「なぁ、グラス……」
「……」
「グラスさんよぉ……」
「なんだ」
沈黙に耐えかねた兄さんがグラスさんに話かけるもうっかり呼び捨てにしてしまい、あのヒトの機嫌を損ねた。こころなしか兄さんを抱える左腕の力が緩んでいるようにさえ見えてくるから恐ろしい。兄さん……すごく慣れない敬語を遣わされてるように見えるけど仕方ないよね。
「俺達をどこに連れていくつもりなんだ……じゃなくて連れてくつもりなんですか?」
「"空の頂"という場所を知っているか?」
『空の頂!?』
僕と兄さんがシンクロする。
「5年ほどまえに開拓された土地でな、今では多くの探検家達の修行の地として用いられているのだ」
「ど、どうして?」
「あそこには強力な野生ポケモンと数多の休憩場所とがあって、レベルを上げるのにかなり適しているのだ。私もかつてはあそこで修行をしたものでな」
休憩所が多いってことは、なんだろう?ダンジョンの中継地点が多いってところかな?よくわかんないや……。
「さて、じきにつくぞ」
目的地--空の頂に到着。そこに広がったのは思いの外殺風景な光景だった。
「は〜、ここが空の頂ねぇ〜」
「どうしたんだ?」
「い……いやッ!なんでもありませんから……!」
焦りに焦る兄さんのその表情。リゾート地にでも行くと思ってたでしょ……。案の定グラスさんにたしなめられた。なんでわざわざ付いてきたんだろうか。
「さぁ、あまり時間を掛けたくはない。始めるぞ」