第二十九話 吹雪の島
〜〜information (いんふぉまちおん)〜〜
--必ず留意してもらいたいこと--
・この小説は基本的にギャグ主体のまったりほのぼの系のお話です。
・あいも変わらず特定のポケモン種族の扱いが悪いですが、それはあくまでもネタなので真に受けないようにお願いします。
--できれば留意してほしいこと--
・今回を機会にノコタロウは夏休み中は毎週日曜アップを宣言します。なんでノコタロウを精一杯応援してください←
では本編どうぞ。
-- 吹雪の島 道中 --
「ささささささささささあさささああ……さみぃ!」
「うるさい!」
- -ボコッと音と立てて船上でマッハがリンのしっぽに殴られていた。既に眼前に"吹雪の島"が近づくにつれて一行が苦手な強烈な寒さに見舞われた。特に氷弱点のガブリアス--マッハは先ほどから体をがたがたと震わせる。
「でもこれだけ冬みたいに寒くて嫌な天気だよねー」
「ホント、不愉快(冬かい)……なんちゃって」
「--ブルッ」
リーフとリンのダジャレ。マッハは凍える。
「世間は夏真っ盛りなのにこんなに寒いなんて、なんて有サマー!」
「冷夏ってレベルじゃないでしょこれ。異例か?」
「ひー!もーやめてくれー!」
-- ~~♫ ---
ここから先はあまりに寒く見せるに耐えないダジャレがこの二人の口から発せられ続けるので、一旦カットを挟みます。ご了承ください by ノコタロウ
ではカット(ロトム)!
-- ♫~~~ ---
「あ〜らら、ガブちゃんが使い物にならなくなっちゃったよ」
あまりに寒い洒落の連発にとうとう氷漬けになったマッハ。そんな彼を見てリーフがつんつんと突っつきながらつぶやいた。
「島についたら溶かせばいいでしょ。はい」
マッハの氷像を冷たくあしらったリンはリーフにマフラーを差し出す。唐突にマフラーを差し出され、リーフは首をかしげる。
「リーフちゃんも寒いでしょ、マフラー貸してあげる」
「いいんですか!?ありがとうございます!」
嬉しそうにするリーフにリンは"あたしが付けてあげる"と言いながらマフラーを身につける。リンがニッコリと笑みを浮かべ"似合ってるわよ"と口を開けようとした時。
--ピキピキ……パリーン!
「あっ……生きてた」
「"生きてた……"じゃねぇよ!んなあったかそうなもんあんだったらオレにも貸してくれよ!」
マッハを凍らせていた氷が割れ、破片となり海にポチャリと音と立てて落ちていく。彼はリーフにマフラーを付けようとしたリンに詰め寄った。
「しょーがないわね。んじゃあんたにも……」
「おぉッ!そーこなくっちゃなー……あれ?」
喜々としてマッハはリンから一枚の布切れを受け取った。だが彼の表情はその布切れを広げた途端に表情をかわる。
「は……はちまき……だよな?」
「ちまき……?」
「そっ、ハチマキよ。だから?」
勝手に食べ物を連想してヨダレをたらすリーフをさておきリンは素っ気なく返答。
「いや……防寒具じゃないような……コレ……」
「何?いらないなら返して」
リーフに対する態度はどこ吹く風といった冷たい態度で返した。
(こ……こいつオレのこと嫌いなのか……?)
ふんっと鼻を鳴らしてマッハをあしらうリン、今だちまきを考えてヨダレをたらすリーフ、リンに怯えながらいじけるマッハ。この三人を乗せた船が"吹雪の島"にたどり着くまでおおよそ十分ほどであった。
--吹雪の島 入口--
ワイワイ ガヤガヤ
一行は吹雪の島にたどり着いたがその眼前に広がった光景は予想とは大きく違っていた。辺境の地と思われてた地であったが、予想以上に賑わっている。ポケモン達が町を行き来し住居もそれなりにたっている。
「へー、辺境の地らしいのに結構ヒト住んでるのねー」
「でもやっぱり氷タイプのポケモンしかいないわね」
品定めするかのような口ぶりでリーフとリンが口を開ける。と、そこに住人と思われしバイバニラがリーフ達に近づいてくる。
「ようこそ!吹雪の島へ!あんたらはここはお初かい……ッ!?」
「おうよ!あんた、ここのモンか?」
マッハの返答はバイバニラの耳には入っていない。彼はリーフとリンをひたすら凝視している。
「あ……あんた--否、あなた方ってまさか"リーファイ"と"ブラザーズ"のリーフとリンかい!?」
「は、はぁ……」
「そうだけど?」
既にバイバニラの姿は消えていた。数秒後、住人と思われしポケモン達が一斉に彼女達に、まるで襲うかのように近づいてきている。
「だろー!?本当にあの英雄達がきたろ!?」
既にリーフとリンは住人達に囲まれていた。
ワーホンモノノリーファイトブラザーズダー
スゲー
サインクダサイ!
チワー ミカワヤデース
「な、なにこれ!?」
有名ポケモンのような扱いを受け戸惑うリーフ。そんな戸惑いの根源である住人ポケモンを押しのけるようにバイバニラが彼女達に近づいてくる。
「ようこそ!吹雪の島へ!こんなへんぴなところによくおいでなさったな!まぁこんなところじゃあれだから--」
--となされるがままに一行はバイバニラの家に正体されて歓迎を受けることになった。
--マッハを除いて。
「っておおおおおおおおぉい!なんでオレを置いてくんだよ!悪かったな!オレだけ世界救ってなくてよ!」
かたやリーフもリンもかつて世界を救った英雄。かたや一介の探検家に過ぎないマッハとでは知名度はルナトーン(月)とコータス(すっぽん)である。
「くそっ!」
--バイバニラ 家--
吹雪の島住人の歓迎を受けること半時間。リーフは彼らも予想してたのかいちもくさんに食べ物にがっついておりすでに食事を終えている。
「は〜、退屈……」
食事を終え、住人達(主に泥酔したバイバニラ)から彼女にとって退屈な話題しか振られておらず、表には出さないが暇していた。と、そんなところに--
「--??」
不意に自分のしっぽを引っ張られた感覚が走る。彼女のしっぽをひっぱったのはまだ幼い子供であった。
「ねーねー、おねーちゃんって"たんけんか"なの?」
「うん、そうだよー」
その子供--バニプッチはリーフが探検家と知り、途端に目を輝かせた。
「ほんと!ぼくおおきくなったら"たんけんか"になるんだ! だから"たんけんか"のおはなしききたいんだけどいいかな?」
「えぇ。それじゃおねぇちゃんとおはなししよっか!」
「うん!」
リーフ自体が子供っぽい性格だからかこのバニプッチとは波長があった様子。
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「はぁ〜、あいつら……」
一人置いてけぼりを食らったマッハは歓迎の様子をこっそりと窓から眺めていた。。到底終わりそうにない歓迎にマッハはがっくりと肩を落とす。
「こーなったらアレが終わるまでオレ一人で情報収集するしかないかなー」
と、辺りをうろうろと歩き回る。口ではそう言ったものの、名案が思いつかない様子だ。
「そうだ!こういった類のモンって大体村長の家に行けばいいんだ!」
ポンっと手(?)を叩く。彼は村長の家を探す為また村中を歩き回った。
--三分後--
「たしかここだったかなー。村長の家ってのは……」
--トントン
「ごめんくださーい。誰かいますかー」
返事がない。
--ドンドン
「だれもいないのかー!?」
返事がない
--ドンドン!!
「入りますよー!いいんですかー!?」
--ガチャリ
まさか開くとは思ってもおらず。開いた扉に半ば驚きを浮かべる。
「ったくー。ずいぶんと無用心なところだなー」
この男。明らかに不法侵入をやっちゃってるが本人は全く気にしていない。ずけずけと入っていく。玄関先には案の定誰もおらず奥に続く扉に近寄る。
「もしもーし!」
奥の部屋に入っていくと一人のポケモンが横たわっていた。マッハは誰かいたのかと思い安堵しつつそのポケモンに近づいていく。
「おーい!あんた!来客が来たぞ!起きろ!」
「…………」
しかし全く返事がない。マッハがつっついても微動だにしない。そんな様子にマッハは脳裏に悪い予感がよぎる。冷や汗をたらしながらそのポケモンを起こそうとするも、相変わらず微動だにしない。
「お、……おい!?」
焦るマッハ。そんなときマッハが入ってきた部屋の扉がまた開き、別のポケモンが入ってきた……。