ポケモン不思議のダンジョン 葉炎の物語 〜深緑の葉と業火の炎〜









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第一章 英雄祭編
第二十三話 もう一つの因縁
大変長らくお待たせしました。ノコタロウです。今回は本編を読まれるにあたって伝えておきたいことがあります。

・今章からものかき様とのコラボ回ということですすめさせてもらってますがお相手の小説、通称"へっぽこ"が諸事情によって消えてしまいました。そのため二窓で読まれることができない状態です

・今更ですがコラボ回ということで更新ペースは(いつにも増して)不定期です。ご了承ください。

・ギャグ。シリアス・ギャグとカオスです。入り交じってるのが苦手な方はご注意ください




以上の点を了承されましたら以下からは本編です。















「おい貴様!吾輩の前を走るなバカ者!!」
「うるせええええええええええええぇ!御尋ね者がオレに指図してんじゃねえええええええええぇ!!」
「なッ!なんだとッ!」

イーブルの面々を制圧する為に駆り出されたレントラー--ルテア、サメハダー--ジェット……。なのだがこの二人、当初の目的を見失っているのかと思うほどに怒り狂っていた。ただでさえ救助隊と御尋ね者の組み合わせ果てにはルテアとジェットの気質から彼らのギャロップが合うことは絶対にありえないことは誰の目にも見ても明らかであった。

「だああああああああああぁっ!シャナの野郎ッ!なんでこんな野郎を頭数に入れやがったんだッ!それもオレと組ませるとか何考えてやが!」
「んなもんこっちのセリフじゃい!お前のような単細胞でやかましいガキと一緒だぁ!?ジェット様の名がすたるんじゃい!」
「だああぁれが単細胞だぁ!?やかましいだぁ!?暴力的だぁ!?喧嘩売ってんのかぁ!?」
「やってやんぞ!悪いがこのジェット様はリーフのような甘ちゃんとちがって味方でも手加減しねぇからな……」
「いい度胸じゃねぇか!タイマンか!?ちょっと表でろこのやろう!」

さながら威嚇でも使っているのかと思われるほどの形相での口論、そして火花をバチバチと散らしながら飛びかかろうと構え、にらみ合う。そんな彼らを……




「なんと野蛮な内輪揉め……あの様では貴族であるワタクシが出る幕はありませんわね……」

数メートル離れた草影からある声が発せられた。その声の主はしめたものと言わんばかりにその喧騒を眺めていた。

「せいぜい身内どうしで無様に争ってなさいな……疲弊したあとじっくりとあたくしの手柄にしますわ……!」




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「は……はやいよ……ッ!シャナ……さん!」

僕はシャナさんと組んで"イーブル"の鎮圧に向かっている。で、でもシャナさんのが速く僕は少し置いてけぼりに。しかもシャナさんはさっきから何かを考えながら走っているのか全く僕の声が聞こえてないようだ。

「--!」

と、思ってたがようやく気がついてくれた。まるで夢から覚めたかのような目付きでこちらを振り向く。

「ご、ごめんなさい……!」
「いや、悪いのはオレだ。焦って周りが見えてなかったな」

やっぱりさっきからシャナさんの様子がおかしい……。どうしたんだろ……。

「大丈夫ですかシャナさん?さっきから尋常ではない顔してましたけど……」
「あぁ、大丈夫だ。少しイーブルについて考えてな……」

--ゾクッ

両者共に炎タイプであるが全く同時に背筋が凍る感覚に見舞われた。こ、こいつは……!

「うぅ……ッ」

白を基調とし両腕に緑の鋭い刃を所持--エルレイドだ……。こいつが放つさっきからこのポケモンがイーブルのポケモンでかつ騒動の主であることはすぐにわかった。この殺気……似ている……そう…。

「兄さんと同じだ……」
「エルザ……」

エルレイド--エルザが放つその殺気はあの兄さんとそれと同じ……完全にこちらを狙っている目付きだ。彼の姿を確認したシャナさんの目付きも変わってる……。

「エルザ、決着を付けようか…」
「この決戦の場で……そんなお荷物を連れてきたのか?」
「ひっ……!」

情けないことにエルザに睨まれて情けない声を上げてしまった。だ……だめだ……レベルが違いすぎる……。何が情けないかってそう言われて何一つ言い返すことができなかったからだ。こいつは間違いなく僕よりも強い……。もしかしたらあの兄さんよりも強いかも……。

--なんで!僕だって強くなったつもりなのに!本当に情けない……

「お荷物?とことん腐り果てたようだな、エルザ」
「……」
「--!?」

今のシャナさんの言葉にはエルザとも同等の気迫を感じた。

「ファイア……すまないがこの勝負、オレの援護に回ってもらえないか」
「え…?」
「こいつは強い。だから闇雲に二人で攻撃したところで勝てる見込みはない」
「で、ですよねー……お荷物なんだからお荷物らしく……」
「違う」

僕の口から漏れた情けない言葉をシャナさんがピシャリと遮った。

「ファイア、君はお荷物なんかではない。援護だって重要な戦術だ。レベルやステータスが強さだけじゃない。それを思い知らせてやれ」

僕が彼の名をつぶやいている間にシャナさんはエルザの方に向き直った。その背中には神経が逆立つほどの気迫を感じられた。やっぱり僕じゃレベルは足りない……。でもそれでもやれるだけのことはやってやる!

一連のやり取りのあと、シャナさんの腕から炎が燃え上がった。バシャーモが戦闘の構えをとったあれだろう。それを最後に僕がこの二人を目で捉えることができなくなった。

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互いに一瞬の隙さえも見当たらないほぼ互角な戦闘。そんな戦闘を僕はただただ見えいることしかできなかった--一体僕には何ができるのか……!

『そんなお荷物を連れてきたのか?』

--やっぱり僕はお荷物だよ!

リーフのようなレベルもない!父さんやルッグさんのような戦略も立てられない!あの3人ならすぐにでも最善の手を思いついてそのアクションを起こしている……。でも自分はリーフ達とは違う。何かできるかと言われたら何もできていた……一体どうすれば……。


「…………」

 〜〜〜〜

『リーフにはリーフの長所がある。ルッグにはルッグの。ファイアお前にもお前にしかない持ち味があるだろ』
『と、父さん……。で、でも……』
『お前のその本気で怒った時の攻撃力は目を見張るものがある。お前にはそれを活かせばいいじゃないか』


 〜〜〜〜

--ありがとう父さん……。僕には僕の長所……それを生かして見せるッ!

すると今まで自分を馬鹿にしていたエルザに恐れていたがふっと悔しさより怒りがこみ上げて来た。と、援護の為に準備をしていたらいつの間にかシャナさんが押されてる!?エルザによって膝をつかれて今にも狂喜乱舞しそうな表情のエルザとなぜかニヤリと口が開ける。

「エルザ……、ファイアがお荷物だってこと……訂正するなら今のうちだぞ…!」
「このごに及んでそんなことをッ!だからお前は偽善者なんだッ!」
「そうか……訂正する気はないようだな」

さっきまでの表情が180度変わったエルザだけどシャナさんの様子は変わることはない。その証拠に彼の腕の炎は全く衰えてないのだから。

「今だファイア!打ち込めぇっ!」
「なっ--!?」

今までお荷物だから気がつかなかったようだなッ!エルザ!これでも……

「くらえええええええええええええええええぇぇぇッ!」




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「くそがあああああああああああぁぁぁッ!全然黒幕見つからねぇじゃねぇかああああああああぁあぁぁ!」

町を襲撃しにきたイーブル一行を(一応)止める為に向かった青コマタナ--ターマンブルー。しかし彼は手下格のポケモンをかいくぐりながら叫んでいた。手柄を取りたくてやまない彼にはこの上なく辛いことだ。

「お、落ち着きましょ……?ブルー?」

なだめる彼の仲間キルリア--ホワイトであるがそれで収まる彼ではないことは100も200も承知している。

「うるせぃ!オイラ達正義のヒーローが黒幕を止めるどころかそいつらに会うこともできねぇとはどういうことでぃ!」
「ははは……」

苦笑いしかでてこない。そんな彼らに迫る影が……。

「デギガーン!!」
『--!!!』

怪獣じみた叫び声、ブルーには白けたホワイトには若干の恐れを抱きながら後ろを振り向いた。そこには明らかに三下臭の漂うギャラドスがいた。ブルーには最早手下格のギャラドスの"威嚇"にうんざりするかと思われたが……。

「グガアアアアアアアアアッ!」
「どうするブルー?逃げちゃう……?



ブルー……?」
「…………」

ギャラドスに威嚇されてから明らかにブルーの様子がおかしい。ホワイトは嫌な予感がしていた。

「ギャラドスウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥ!!貴様あああああああああああああああぁッ!ふざけてんのかああああああああああぁぁあッ!」
「ブ、ブルー……!?」

いつもの喧嘩でさえもここまで猛り狂うこともなかった彼がギャラドスの威嚇を貰った途端、いきなり様子が変わった。

「どうしたのブルー!?落ち着いて!」
「なーに落ち着いてる!今オレはあの野郎をどうやってズタズタにするか考えてるからなッ!」

エルザの殺意やジェット・ルテアの喧騒とは違ったベクトルのそれをブルーは惜しみもなく表していた。威嚇するギャラドスとブルーとで互いににらみ合っている。

「ま、まさか……"負けん気"が発動したんじゃ……!」

特性まけんき。自信の能力値が下がると攻撃力が大幅に上がる特性。それは攻撃力も例外でなく威嚇で下げられた分を取り戻すほどに大幅に攻撃の火力は増大する。……しかし人格まで豹変するとは誰も思ってもいなかっただろう。

「てんめぇぇぇぇ!よくもこのオイラを威嚇しやがったな!ただで住むと思うなよおおおおおおおおおおおおッ!」
「グガッ……!グガアアアアアアアアアアァッ」

雄叫びと共にギャラドスは勢いよく地面を揺らした。"地ならし"敵味方関係なくダメージを与え、素早さを必ず下げる地面タイプの技。効果はブルーには抜群であり物理防御が低いホワイトにもそれなりのダメージが与えられるが……。

「調子に……のってんじゃねええええええええええええええぇぇぇッ!」

攻撃を耐えたブルーの怒りに火を注ぐ結果となり彼の攻撃力がさらに増大。血眼になった彼の目には最早ギャラドス以外移ることはなかった。足を奪ったことにより嬉々としてギャラドスはブルー達の後ろをとる。

「しまっ……!」

焦りながら地ならしを受け、重い体を動かすホワイトであるがすでにブルーがアクションを起こしていた。

「オレの後ろに……




立つんじゃねえええええええええええええええええええぇぇぇッ!」

一瞬にしてブルーの姿が消し、直後にドゴッと鈍い音と共にギャラドスの巨体が崩れ落ちた。

「そっか……"ふいうち"をつかったのね……」

高威力かつかならず先に攻撃できる技"不意打ち"。しかしながら相手が攻撃技を選択していないと不発になる技。足を奪われたブルーが瞬時に攻撃できるのはこの技しかないと納得したホワイトはほっと胸を撫でおろす。

「ギャラドス……白目向いて倒れてるけど大丈夫かなぁ……」

人知れず不意打ちをもろに食らったギャラドスに哀れみの視線を投げかけながら先にすすんでいった。

■筆者メッセージ
最後のアレは深夜テンション+酒が入った状態で書いたのでぶっちゃけ勢いにかまけましたw

対戦でキリキザン使ってると結構威嚇もらうんですが負けん気発動したらキザンぶち切れてるんじゃないのかなぁと思ってそんな妄想を取り入れた次第。
ノコタロウ ( 2013/06/14(金) 01:41 )