ポケダン救助隊 〜最強と呼ばれた所以〜








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救助6 最後の使命--そして
第六十九話 悪夢か否か
ベガがリンに助けられて暫く彼女のもとで過ごすことになってからというもののベガの高圧的な態度は鳴りを潜め従順な態度をとり続けていた。そんな彼の心境が訪れたせいか例の悪夢に苛まれることがなくなったのだが--









「--まただ……」

 ブラザーズ--もといリンの世話になってから数週間後、起床したベガは複雑な表情での目覚めだった。悪夢に苛まれることこそはなかったもののあの基地に初めて訪れた時にみた夢を毎日みつづけていたのだった。
 ベガにとっては平穏こそ取り戻したものの唯一同じ夢ばかり見ることが妙に気がかりであった。





「おはようベガ」

「--嗚呼、おはよう」

 神妙な面持ちのベガとは裏腹に快活な笑みと共にリンが姿を現す。一人で思いつめていたベガだが彼女の笑みを眼にした瞬間、そんな感情も一瞬にて払拭された。
 ふっと釣られて笑みを浮かべたベガは手際よく布団を片付けてリンと共に仕事の下準備を整えていた。











「おーい!!リーン!!おるかー!!わしじゃああああああああああああああああぁああッ!!!!」


 基地の入り口から耳を摘みたくなるような大声が発せられた。声の主の正体にはリンもベガにも覚えがあったもののベガにとっては望んでいた者の様子ではなかった。

「おぉっ!!リン!!久しぶりじゃ--












のわああああああああああああああああああああああああああああッ!!?き、きさまはあああああああああああ

ああああああああああぁぁぁッ!!?」

 入り口で待ち構えていたポケモン--ニョロトノがリンと共に現れたベガを見て二度目の大声と共に表情を強張らせた。ベガのほうもニョロトノの姿を目視した途端に先の笑顔が消えていった。ゴミに群がる虫を見るような軽蔑しきった目つきを容赦なく投げかける。

「なななななななな、なんで貴様がここにおるのじゃあああぁ!?」

「うだうだ喚くな。耳が汚れる」

 激昂するニョロトノとしかめ面を浮かべるベガ。その様子を目の当たりにしたリンは自らのミスを悔いる。このニンフィアが悔い改めたことはかつての仲間だったニョロトノ--トノは知るはずもない。場に一瞬して険悪なムードが流れる。
 お互い--にも見えるがどちらかといえばトノのほうが一方的にベガへ敵意を込めた眼差しを投げかけた。ベガはトノほどの敵意こそないにしても挑発的な態度を隠そうともしない。

「ちょっと待ってよ二人とも!!これは--」


 慌ててトノを止めたリンが事情を説明にしに入った。












「ったく……何もこんな奴を仲間にするこたぁないじゃろうが」

「言ってろ。貴様にそんなこと言われる筋合いなどない。とっとと消えろ」


「なんだと!?」

 ベガに煽られて青筋をたてるトノだが慌ててリンと静止にはいる。このままでは喧騒しか起こらないと慌ててリンがトノがここに訪れた理由を明らかにするために話題をすりかえる。
 ようやくリンの静止を受けて渋々ではあるものの喧嘩を止めて腰掛けながらトノが口を開いた。端からトノの話など取るに足りないとまじめに聞く気などなかた。



「なぁリンよ、”キュウコン伝説”のこと聞きたいんじゃがな……」

「--!!?」

 --”キュウコン伝説”その言葉を耳にしたベガの表情が一変。悟られないように平静を装うもののわずかながらに焦りが浮かんでいたようにさえも見受けられた。対照的にリンのほうはというと呆れ果てた様子で返答、かつての仲間であるグラスを逃避行へと追いやったあの伝説をあろうことかこのニョロトノは何も把握していなかったのだった。

 あきれられて苦笑いするトノに対して仕方なく伝説について説明するリン。あらかたの概要を把握したトノは一変して得意げに腕組みを始めた。


「ほーん、それじゃそのろくでなしの人間がグラスに疑われたってことじゃな。まぁグラスに限ってそんな酷い

ことをするとは思えんがな!ガハハハハハ!!」


 なぜか得意げに笑うトノに対して再び呆れ果てるリンと平静を装うベガ。しかし直にその無理な平静も保てなくなっていく。






「そんな最悪な人間、まるでベガ見たいな奴じゃな。あっ、まさかお前がその人間だったりしてな!!」

「まさか、そんな訳ないでしょ」

 大口を広げて笑い続けるトノと冷静に諌めるリン。そんな二人の傍らには脂汗をにじませながらガタガタを震えるベガの姿があったことにはリン達は気がついていなかった。そして彼は何かを思い出したかのごとく唐突に席を立った。

「済まないリン。今日は少し休ませてくれじゃあな」

 それだけ言い残してベガはけたたましく扉を開けてその場を去っていった。一瞬は二人してきょとんとするもトノのほうは鬱陶しいのがいなくなったからとうれしそうに笑みを浮かべた。

「なんじゃあいつ変な奴じゃな……もともと変な奴じゃが」

「それで……トノサマはそれを聞きにここにわざわざ来たの?」

 露骨にうれしそうな態度へと豹変させたトノに対してあくまでも落ち着いた態度を保ち続けるリン。ただ近くで買い物をしてきたついでによってきてそのついでに伝説のことについて聞いたのだとか。相変わらずマイペースな彼ではあるが久しぶりにかつての仲間と再会できたリンの表情はうれしそうなものではあった。
 しばしの雑談を終えてトノと分かれてリンも仕事へと向かっていった。ここからはいつもの通りの彼女の一日が始まり、そしてなんら問題なく終わりを迎えるのであった。
















 --ただ一つ、ベガがその日に帰ってこないことを除けば。








 翌日早朝に扉が開く音がリンの耳に入った。眠気を堪えながら出迎えた先には傷だらけになったニンフィア--ベガの姿があったのだった。

■筆者メッセージ
最終更新日時 8/22



正直済まんかった。
ノコタロウ ( 2015/11/09(月) 01:28 )