ポケダン救助隊 〜最強と呼ばれた所以〜








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救助3 ゴールドランク
第三十八話 きゅうこん’ず れじぇんど
--突然ハーブ(ついでにトノ)を呼び出したポケモンの正体は彼女が憎んでいるバンギラスの相棒のガブリアスであった。当然あのバンギラスの仲間だということも彼女も知っているからかガブリアスをみる目は徐々に敵意を込めていった。

「……一体何のようですか」

 あからさまに自分のことを睨んでいるこのチコリータにガブリアス--キサメは申し訳なさそうに俯く。少しだけ間を置いて彼が答える。

「……君たちを案内したいところがあるんだ……。来てもらってもいいかな?」

「君"たち"って……ソレワシも含んでいるのか?」

 あまり状況を把握していないトノが首をかしげながらそう発した。どうしてあまり彼と関係のない自分が彼に呼ばれるのかがトノにはよく分かっていなかったから。トノに答えるようにキサメは黙って首を縦に振り、自分についてくるように手をしゃくった。


「ちょっといいかしら?」


 少し落ち着いた雰囲気の女性の声--ハーブもトノもこのような声質を持ったポケモンは一人しかしらない。声の主--リンは自分もついていきたいと言ってきた。

「リンよ。なんでお前までついてくるんじゃ?」

「怪我が完治していない子と礼節のなってないバカな新人を医者として、チームメイトとして放ってはおけないでしょ?だからいいかしら?」

「ぐぬぬぬ……」

 さり気なく貶されて閉口するトノだが言っていることはもっともなので反論ができない。キサメは快く承諾し、三人をとある場所に案内する。










~~  ~~

 ハーブたちがキサメに案内されているときを同じくして。グラスとラックは町の長と呼ばれるポケモンに呼ばれており、そのポケモンの住む屋敷の前に立っていた。

「ラックです。グラスを連れてきました」

 長というだけあってかラックの敬語にグラスは違和感を覚えた。そんな彼をよそに長であろうアバゴーラが姿を現す。
 しかしアバゴーラが姿を現したのは屋敷内からではなく彼らの背後から何故か額に汗をにじませながらであった。おかしなことにグラスは何があったのか尋ねようとしたがラックに視線で止められる。

「ラックか……うむ、ご苦労じゃったな」

「ご老人、私に一体何の用なのだ?私もあまり暇ではないのだが……」

 一応彼なりには敬意は込められているのだろうが、傍から見れば隠そうともしないグラスの不遜な態度にラックは思わず"すいません"とアバゴーラに謝罪する。

「かまわんよラック。それでお主を呼んだ訳じゃが……聞いた話じゃグラスよ、お主はたしか元は人間じゃったな?」

「嗚呼、しかしご老人、なぜそのことを知っている?」

「まぁ……アレじゃ、噂で聞いたんじゃよ。それでじゃ…

お主達は"キュウコン伝説"という物語を聞いたことがあるかな?



 僅かにこの時のラックの表情が歪んだ。それをグラスが見落とすことはなかった。

「まさか長……グラスをあの伝説の人間だと思っているのですか?」

 威圧感さえ感じるラックの重い言い回しにアバゴーラは慌てて訂正する。勿論グラスのほうはその"キュウコン伝説"が何なのかはしらないので何故ラックが怒っているのかがよくわからない。

「め、滅相もない!!ただ彼も人間ということでもしかすると何か原因がつかめるかもしれんと思って話しただけじゃよ……」

「……しかしその伝説とやらは一体何なのだ?私は全く知らないのだが」

 少し置いてけぼりにされたような感覚を覚えたグラスが口を開けた。呼ばれておいてこの仕打ちはないと思ったのかアバゴーラは慌てて彼のほうに視線を移し咳払いをし、本題に入った。

「昔の話じゃ、ある一人の人間がキュウコンと呼ばれるポケモンの尻尾をふざけて触ったんじゃ?」

「キュウコン……たしかその尻尾にさわると祟りをかけられるという言い伝えがあったな」

 話始めるアバゴーラと腕組みをして話を聞くグラス。すでに内容を知っているラックは少し下がって二人とは距離をとった。ここからはおそらく自分は用はないと思ったからである。

「そうじゃ。そして勿論その人間にも祟りが降りかかった。しかしそんな主人をサーナイトと呼ばれるポケモンが庇ったんじゃ。可哀想に思ったキュウコンは、サーナイトを助けたいかと人間に問うた。だが、人間はわき目も振らずに逃げ出してサーナイトを見捨てたんじゃ……」

「…………」

 酷いことをするものだとグラスはその伝説の人間に内心怒りを覚えた。しかしすぐにその怒りは意味がないと考えて話に耳を傾ける。

「そしてその人間に失望したキュウコンは予言した。"あの愚か者は、後にポケモンへと転生するだろう、またそれが起きた時、この世界のバランスが崩れる始めるだろう…"とな……」

「な……ッ!?」

 ポケモンへと転生する。それを耳にしたグラスは一転して驚き、声を震わせた。当然記憶はないが人間がポケモンに転生するなんてそうはないと思ったグラスは自分がその人間なのではないかという考えが頭をよぎらせる。

「これがキュウコン伝説じゃ……。まぁお主ほどの男なら伝説に出てくる人間ではないと思うが……」

「……人間がポケモンに……転生する……」

 アバゴーラの話はグラスの耳には入ってこなかった。ひたすら人間 転生 ポケモンと復唱している。明らかにこの話を気にしているグラスを見てラックが優しく声をかける。

「グラス、この話に出てくる人間がお前さんだと確定したわけじゃない。あまり深く考えるな」

「しかし………」

「すまんな、何か力になれるかと思って話したんじゃが……気を悪くされたようじゃな……」

 アバゴーラのほうからしてみれば悪意なく話したのだろうがこの様子だと明らかに悪いようにしか作用していない。申し訳なさそうに謝罪する。

「とりあえず我々はこれで失礼します。行くぞグラス」

 いつまでも落ち込んでいるグラスを連れてラック達は去っていった。彼らが去っていったのを確認したかのようにあのフラインゴとドンファンが姿を現す。

「ケケケっ……ご苦労様だったなじいさんよ」

「お主達……何故あのもの達のあの伝説を聞かせるんじゃ……」

 アバゴーラの言うことから"キュウコン伝説"をグラスに聞かせるように仕向けたのは彼らの仕業であろう。予想だにしていなかった彼らの要求にアバゴーラもそんなことを要求する彼らの理由がよくわからない。

「ヘッ!ジジイはくだらねぇこと知らねぇ黙ってチビどもにも昔話でも聞かせてやりゃいいんだよ!!」

 クラッシャはグランガ以上に粗暴な口を聞く。その低脳なあらい口調もアバゴーラを恐怖させるには十分であった。

「クラッシャ。無駄口叩いてる暇はねぇぞ。次の準備だ」

「へ、ヘイ!!」




~~ ~~

 キサメに連れらたリン達が案内されたのはやや古い建物。一見して道場にも見える建物の入口前には一人のポケモンが立っていた。老人のようにも見える風体だがたくましい両腕に強面な顔からはいかにも格闘タイプだと見た目から物語っていた。そのポケモン--ローブシンはキサメ達に気がついて視線を移す。

「おやおや、誰かと思えばキサメ君ではないか。どうしたのかね?」

 キサメとはすでに知り合いなのだろうローブシンは親しげにそう話しかけ、またキサメも"お久しぶりです"と返した。強面な見た目に反した彼(話し方からおそらく♂であろう)の口調は紳士的なものであった。そしてキサメはこんなことを口にしだす。










「実はこの二人に修行つけてもらいたいと思いまして……」

『--!!?』


■筆者メッセージ
なんとか間に合った……。

 どうも、ノコタロウです。なんとか日曜更新を続けることができました。

 コレには深い理由がありましてですね、ローブシンさんの名前が全く思いつかずに行き詰まりました。そんな理由かい!と思われるかもしれませんがそんな理由なのが私--ノコタロウなのです。存分にバカにしてやってください。
 
 そして悩んだ挙句結局名前を出させないようにすればいいという結論に至りました←
ノコタロウ ( 2014/04/27(日) 21:44 )